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防災・危機管理アドバイザー 山村武彦~コロナ禍において災害から身を守るには

ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2020年9月7日 8時10分

防災・危機管理アドバイザー 山村武彦~コロナ禍において災害から身を守るには

黒木瞳がパーソナリティを務める番組「あさナビ」(ニッポン放送)に防災・危機管理アドバイザーの山村武彦が出演。コロナ禍における防災のあり方について語った。

山村武彦

黒木)毎日さまざまなジャンルのプロフェッショナルにお話を伺う「あさナビ」、今週のゲストは防災・危機管理アドバイザーの山村武彦さんです。新型コロナウイルスで自粛になりましたけれども、新型コロナと避難所の対策については、どのように考えていらっしゃいますか?

山村)自治体としては、大わらわで避難所対策を改善しようとしているところです。特に、避難所の環境改善が必要です。従来であれば避難所に収容できる人数として、体育館で500人を収容できたとしても、3密を防ぐために一定の収容面積を決め、通路も幅を広くとると半数以下の収容人数になってしまう。200人程度しか収容できない、ということになるのです。そもそも日本の避難所はかなり劣悪な環境のなかにありまして、例えば一部の避難所では「立って半畳、寝て一畳。雨露凌げばそれで頂上」と言われるくらいに、1人あたりの専有面積が1平方メートル~2平方メートル程度というところもあります。でも3密を避けてソーシャルディスタンスを取ろうとすれば、1人あたりの専有面積は4平方メートル程度ないと無理なのです。従来の避難所のスペースだけでは足りないので、教室を解放しようとか、公共施設の指定をするというような対応策を考えているところです。

黒木)数を増やすと言っても、場所の問題などもありますし、密になるかも知れないということを恐れて、避難しない人が出て来るかも知れませんよね。

山村)避難しなければいけない人が避難をためらってしまって逃げ遅れたら、それこそ本末転倒です。「難を逃れる」ということを第一に行動しなくてはいけない。ただし、それは避難所だけでなく、その他の避難設備を考えることも大事だと思いますし、例えば車中避難だとか、親戚や知人宅への避難など、そういう分散避難を考えてもいいと思います。大規模災害が発生すれば、インフラがすべて途絶えてしまう。手洗いをこまめにしたいのに、水が出ないということにもなりかねないですし、換気も悪くなってしまう。換気扇も止まってしまうかも知れない。そういうことを考えると、通常の災害だけではない、足し算でなく掛け算であるという、非常に困難な状況に陥る可能性が高いです。

黒木)どうしたらいいですか?

山村)それをこれから準備してやらなくてはならない。心構えとして、まずは家族で防災会議を開き、我が家の安全を確認すること。せめて自分の家は安全なのかどうか、もし安全であれば、家のなかで暮らせる準備には何が必要なのか、そういうことを家族で話し合うところから始めることだと思います。

黒木)防災家族会議ですね。

山村武彦

山村武彦(やまむら・たけひこ)/防災・危機管理アドバイザー

■1943年、東京都出身。防災システム研究所所長。
■1964年、学生時代に遭遇した「新潟地震」でのボランティア活動を契機に、防災システム研究所を設立。
■その後、50年以上にわたり、世界中で発生する災害の現地調査を250ヵ所以上で実施。
■その知見を活かし、報道番組での解説や3000回以上の日本各地での講演、執筆活動などを通じ、防災意識の啓発に取り組む。また、多くの企業や自治体の防災アドバイザーを歴任し、BCP(事業継続計画)マニュアルや防災マニュアルの策定など、災害に強い企業、社会、街づくりに携わる。実践的防災・危機管理の第一人者。
■座右の銘は「真実と教訓は、現場にあり」。
■著書は『感染症×大規模災害 実践的 分散避難と避難所運営』(ぎょうせい)、『災害に強いまちづくりは互近助の力 ~隣人と仲良くする勇気~』(ぎょうせい)など多数。

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