米上院議会再開~共和党と民主党の追加経済対策の金額に隔たりがある理由
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2020年9月9日 17時35分
ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(9月9日放送)に数量政策学者の高橋洋一が出演。再開されたアメリカの上院議会において、焦点となる新型コロナウイルス関連の追加経済対策について解説した。
アメリカの上院議会再開~新型コロナに関する追加経済対策
アメリカの上院議会が8日に再開された。焦点は新型コロナウイルスに関連する追加経済対策となっているが、共和党と民主党が主張する金額の隔たりが大きく、現時点では成立の見通しは立っていない。
飯田)追加経済対策がどうなるかは、日本もそうですけれども、アメリカも議会のねじれがあるため、難航しているところがあるのですね。
高橋)ある程度は出さなければ、失業率が高止まりしてしまいますけれどね。共和党の数字は「こんなに少なくて大丈夫だろうか」と思ったくらいです。
飯田)共和党は3000億ドル規模でした。
1兆ドルないと来年の失業率を下げるのは難しい
高橋)少し足りないですね。トランプ大統領が「来年(2021年)の前半くらいには失業率が4%ほどになる」と言っていましたが、この数字ではそこまで行きません。そういう議論にすると膨らむはずなのですけれどね。
飯田)民主党側は2.2兆ドル、およそ230兆円です。
高橋)これは他のものも含めて、少し膨らませています。ですから、その間くらいの額に落ち着くのではないでしょうか。
飯田)1兆ドル前後というところですか?
高橋)1兆ドルほどないと、来年の失業率を下げるのは難しくなります。
飯田)アメリカの場合は、議会に予算の権限もあります。
高橋)ですから議会のネゴで、どこかで決まるはずなのです。そういう意味では、ずっと宙ぶらりんになることはないと思います。数字を見ていても、ネゴする数字で、交渉のなかでたたき台を出しているという感じです。
飯田)お互いに言い値を出し合って。
共和党の数字はいろいろな項目を隠している~大統領選までに妥結すればいい
高橋)共和党は少し違うと思うのですけれどね。言い値ではなく、いろいろな項目を隠しているのかなという感じです。隠していて、議会の交渉で出すのではないでしょうか。そこで出せばアピールができるではないですか。いまは議論のスタートで、手の内を明かしていないという感じがします。
飯田)なるほど。そこでトランプさんが、「これだけ積んだぞ」と。
高橋)これから11月にかけて、言って来るのではないかという気がします。
飯田)しかし、予算は早く打たなければ、効果が薄くなるのではないでしょうか。
高橋)1ヵ月くらいは執行にも時間がかかるし、見せ金のような感じですけれどね。それはそれで、11月の大統領選挙の前に妥結すればいいという感じがします。
アメリカの世論調査はバイアスがかかっている~注目すべきは討論会
飯田)その大統領選挙ですが、世論調査ではバイデンさんが有利だとされていましたけれど、最近また風向きが変わって来ましたね。
高橋)日本の世論調査は、だいたいアメリカのメディアの左派系のものを引用しているのです。アメリカのメディアも左派系が多くて、バイアスがかかります。ですから世論調査でも、全国調査レベルで3~4ポイントほどバイデンさんがリードしているというのは、実は均衡しているぐらいなのですよ。
飯田)誤差の範囲と言いますか。
高橋)世論調査自体にバイアスがかかっていて、前回のヒラリーさんのときも、投票日の調査では4%ほどヒラリーさんが勝っていたのです。そんなものですよ。問題は接戦州だけで、ミシガンやペンシルベニア、ウィスコンシン辺りがどうなるかということです。他の45州ほどは、すでに答えが決まっているのです。特にラストベルトがどうなるのかというのがポイントで、私は世論調査はそこだけしか見ていません。どちらに振れるのか、それだけです。
飯田)各々の州、特に五大湖周辺の中西部、ラストベルトと呼ばれるところ。
高橋)前回の大統領選挙も、そこは1%ほどの僅差でした。そこでトランプさんが総取りして、ひっくり返したのです。そこがどちらに転ぶかによって、大統領選挙が決まります。そういう意味では、全米の平均値を見ても仕方がないのです。
飯田)その辺りの州の事情を考えると、まだわからないですね。
高橋)わかりません。それで「ディベートをしないと決めない」というのがアメリカの国民性です。ディベートで両者を戦わせて、そこで見るということです。議論すると、トランプさんは強烈です。バイデンさんは少し鈍いところがあるので、それが表に出てしまい、沈黙してしまえばバイデンさんは苦しい。逆にうまく守りきれば、バイデンさんが勝つかも知れません。
飯田)現地時間で9月29日が、第1回のテレビ討論会です。まずはここに注目と。
高橋)注目です。
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