江本孟紀~コロナ禍における“プロ野球観戦の楽しみ方”
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2020年9月14日 8時10分
黒木瞳がパーソナリティを務める番組「あさナビ」(ニッポン放送)にプロ野球解説者の江本孟紀が出演。コロナ禍におけるプロ野球の状況について語った。
黒木)毎日さまざまなジャンルのプロフェッショナルにお話を伺う「あさナビ」、今週のゲストはプロ野球解説者の江本孟紀さんです。今年(2020年)は新型コロナウイルスの影響で、いつもとは異なるシーズンとなってしまいましたね。
江本)そうですね。12球団すべての開幕がこれだけ伸びると、調整が大変でしたね。
黒木)今年は開幕が延期して、143試合から120試合に短縮されました。初めは無観客でしたよね。
江本)無観客で放送しましたが、妙な感じでしたね。お客さんが周りにまったくいないではないですか。選手が打ったり、走ったり、捕ったりする音が聴こえるので、それはそれで面白いという人もいました。アナウンサーが大きい声を出しすぎて、ベンチまで届いてしまってクレームを付けられたことがあります。無観客というのは変な感じでしたけれどね。
黒木)江本さんが解説するときも、静かに話されたのですか?
江本)いや、解説は賑やかにやっていましたよ。
黒木)それは選手に聴こえてもいいのですね。
江本)音響効果を入れたりしながらやっていたので、お客さんがいないというだけで、解説に関しては違和感はなかったですね。
黒木)選手のモチベーションは、どのように保っていたのですか?
江本)解説者も、選手と接触をしてはいけなくなったのです。選手たちと話ができないので、選手のモチベーションなどの感覚が、肌で知りにくいところがありました。なかには、昨年(2019年)まではものすごく打っていたのに、今年は調子が悪いという人もいるのですよ。それは西武の選手なのですけれどね。去年はホームランをバンバン打っていたのですが、今年はちょっとペースが落ちています。そんな選手とも、直接話ができないのです。
黒木)解説なさっていると、12球団すべての監督からコーチから選手から、全部把握しなくてはならないですものね。
江本)大丈夫です。解説者は、見て来たように嘘をつくのが職業ですので。
黒木)今シーズンならではの楽しみ方というのは何でしょうか?
江本)野球選手が打ったときの独特な当たりの音など、いつもは聴くことができない音を聴けます。それから静かなので、1球1球、集中して観られるということがあると思います。ゴルフでパターを打つときやショットをするときに、「静かに」となるではないですか。お客さんも静かになったところで、1球の勝負に集中して、固唾を飲んで見守る。そういう見方をすれば、それはそれで面白いと思います。
黒木)選手の方々も、いままでとは違う集中力が必要になりますね。
江本)逆にお客さんが多いと、成功したときは拍手や歓声があるのですけれど、失敗したときはボロクソに言われるではないですか。それがないだけいいのではないでしょうか。
江本孟紀(えもと・たけのり)/プロ野球解説者■1947年、高知県生まれ。
■1971年に東映フライヤーズ入団後、南海ホークスに移籍。1976年からは阪神タイガースに移籍し、1981年に現役引退。
■プロ通算成績は113勝126敗19セーブ。防御率3.52、開幕投手6回、オールスター出場5回、ボーク日本記録。
■1992年、参議院議員初当選。2001年に参議院初代内閣委員長就任。2期12年を務め、2004年に参議院議員を離職。
■現在はサンケイスポーツの他、フジ『enjoy! Baseball Live』、ニッポン放送『ショウアップナイター』などで解説者として活動。
■アメリカ独立リーグ初の日本人チーム・サムライベアーズに協力。クラブチーム・京都ファイアーバーズを立ち上げ、総監督に就任。タイ王国ナショナルベースボールチーム総監督として、北京五輪アジア予選に出場するなど、野球界の底辺拡大と発展に努める。
■著書に『プロ野球を10倍楽しく見る方法』『人生9回裏の戦い方』など多数。最新刊は『監督・原辰徳研究 この「名将の器に気付かなかった面々へ」』(徳間書店)。
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