ボブ・ウッドワードのトランプ氏に関する新刊が与える「大統領選への影響」
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2020年9月13日 11時30分
![ボブ・ウッドワードのトランプ氏に関する新刊が与える「大統領選への影響」](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/nipponhoso/nipponhoso_244279_0-small.jpg)
ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(9月11日放送)に外交評論家・キヤノングローバル戦略研究所研究主幹の宮家邦彦が出演。トランプ大統領について書かれたボブ・ウッドワードの新刊について解説した。
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ボブ・ウッドワード著『Rage(English Edition)Kindle版』(※画像はAmazonより)
ボブ・ウッドワード~トランプ大統領に関する新刊
ボブ・ウッドワード氏は1970年代のウォーターゲート事件をめぐるスクープで、ニクソン大統領を退陣に追い込んだという、アメリカを代表するベテランジャーナリストである。そのボブ・ウッドワード氏がトランプ大統領について書いた新刊『怒り(Rage)』が刊行される。
飯田)『大統領の陰謀』という映画にもなり、ロバート・レッドフォードがボブ・ウッドワードさんを演じました。
宮家)ご本人はあんな映画のようにカッコよくはないですけれどね。しかし、カリスマのある人です。
飯田)会ったことがあるのですか?
宮家)ありませんけれども、彼は政権が変わるたびに、大統領に肉薄してインタビューし、面白い話を引き出すのです。この人はインタビューの天才だと思います。そして必ず分厚い暴露本を、任期の途中の場合もありますが、節目、節目で出すのですよ。トランプさんについても既に1冊書いたのですが、それは伝聞だけのものです。今回のように、直接インタビューして書いた本は、ボブ・ウッドワードさんとしては初めてなのです。
新型コロナの脅威を軽く見せたかった
飯田)その本のなかで、「新型コロナウイルスの脅威を当初から認識しつつ、軽く見せたかった」と3月のインタビューで語っていたことが、ここに来てワシントンポスト紙の報道で明らかになったということです。
宮家)2月7日の段階で、「空気感染する」ことと「普通のインフルエンザよりも、はるかに致死性が高い」ということを知っていた、とペラっと喋っているわけです。3月に入り、コロナ問題でお尻に火がつき始めたのだけれども、逆にトランプさんは「パニックを起こしたくなくて、できるだけプレイダウンした。静かにさせようと思っていた」などと喋ってしまうのです。ボブ・ウッドワードさんがインタビューの天才だと申し上げたのは、トランプさんもこんなことをペラペラ喋ってしまうのはおかしいのだけれども、そういうことを言わせるためにあらゆる勉強をして、いろいろな情報を集め、誘導してインタビューするのです。普通のインタビュアーにはできないことです。きょう(11日)の朝、早速トランプ大統領の釈明会見がありましたよ。
飯田)朝早くから。
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24日、米共和党大会で親指を立てるトランプ大統領(左)とペンス副大統領=2020年8月24日 ノースカロライナ州シャーロット(UPI=共同) 写真提供:共同通信社
大統領選への影響は大きくないか
宮家)今朝スタジオに来る前に観たのですよ。非常に往生際の悪い、しかし歯切れはいい会見でした。「死者が18万人も出たけれど、自分がきちんとやったからその数で済んでいる。本来ならば100万人、200万人になる」と言っていました。嘘つけ、と思いますがね。「中国がきちんとやっていればアメリカは平気だったのだ」というのも嘘です。そして極め付けは、「ボブ・ウッドワードも、自分がそう言ったことを知っているのに、それが悪いとは一言も思っていない。間違っているとも思っていない。もし悪いと思っているならば、すでに報じられているはずだ」と。「そういうことは当局に伝えればいいのだ」と言っていますが、おいおい、その当局とはあなたのことだろうと。トランプさんについては、その姪っ子が書いたものなど、暴露本がたくさん出ているのですが、この大統領は絶対に非を認めません。そして絶対に責任を取らない。見事ですね。昨日届いた米共和党系弁護士の友人のメールに、「またすごい本が出た」と書いてあったのです。そして、「普通の政治家ならこれ一発で撃沈だけれども、トランプ大統領はどうかな」と言っていました。共和党の人がここまで言うのですけれど、よく正直に言ってくれたものだとは思いますが、このくらいではトランプさんはまだまだ平気だと思います。ダメージと言っても、内容的にはみんな知っていることばかりですから。
飯田)大統領選にも、どこまで影響するかというのは。
宮家)わかりません。
飯田)わからないですよね。
宮家)これだけ開き直るのがうまい人は、案外生き残るかも知れません。
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