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江本孟紀~なぜ原辰徳は監督として「名将」と言われないのか

ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2020年9月15日 8時10分

江本孟紀~なぜ原辰徳は監督として「名将」と言われないのか

黒木瞳がパーソナリティを務める番組「あさナビ」(ニッポン放送)にプロ野球解説者の江本孟紀が出演。新刊『監督・原辰徳研究 この「名将の器」に気付かなかった面々へ』を書くことになった経緯について語った。

江本孟紀

黒木)今週のゲストはプロ野球解説者の江本孟紀さんです。ラジオ、テレビ、新聞などで解説者として活動を続けていらっしゃる江本さんですけれども、7月に徳間書店から新しい本を出版されました。タイトルは、『監督・原辰徳研究 この「名将の器」に気付かなかった面々へ』です。これは、「原監督は名将の器である」ということを書かれた本ですね?

江本)あるライターの方から、「原監督はこれだけいい成績を挙げているのに、世間から高く評価されない。監督として、名将や名監と言われないのは、なぜなのでしょうか?」と聞かれたことがありました。原監督が巨人の監督をするのは今回で3度目ですが、成績は素晴らしいものです。これまで世間で名監督や名将と言われている人よりも、優秀な結果を残しています。私は「多分、顔がいいからではないですかね」と言ったのです。だいたい名将と世間で言われる皆さんは、エグい顔をしています。そういう人が言葉を発したり、それらしい雰囲気を出したりすると、世間的にはいい監督だと思えて来るものです。イメージの問題があるのではないかと思うのです。そのときは半分冗談で、「原は顔がいいからね」なんて言いましたけれど、多少はあるのではないでしょうか。

黒木)名将の器に気付かなかった人たちに、「原監督にはこういうところがあるのだ」と書かれたのですよね。

江本)そうですね。いちばん大きいのは、優勝回数をはじめとした数字です。総じて言うと、原監督は厳しいですね。非情と温情を使い分けながら、選手の可能性を常に引き出してやろうという気持ちが強い監督です。

黒木)根性というよりも、理知的ですよね。

江本)そうです。原監督は色紙に、「時を待つ」という言葉を使います。それは自分の経験から来ているのです。あっさり「こいつは駄目だ」と見切るのではなくて、「こいつは使っているうちに、どこかで活躍してくれるのではないか」という可能性を、最後まで待ってあげるということです。原監督の父親も監督でしたし、長嶋さんの下で選手時代を送っています。藤田元司さんが監督のときに自分が4番で打てなくて、ファンからもマスコミからもボロクソに言われ、「日本シリーズではもう原を変えろ」と言われていました。しかし、藤田監督は頑として原監督を使い続けたのです。そして、最後の最後に大逆転のホームランを打ち、日本シリーズをひっくり返してしまいました。原さん自身が、自分がそういう使い方をされて、監督の信頼に応えたという経験があるのですよ。だから自分が監督になったときも、そういう目で選手を見ようと思ったわけですね。

黒木)監督次第で勝敗は決まるものですか?

江本)そうですね。いろいろな監督がいますけれど、選手時代にピッチャーをやり、キャッチャーをやり、さらに外野手もやったという人はいないわけです。ピッチャーはピッチャーだけ、野手なら野手と、自分のポジションしかやっていないけれども、監督をやるときは全部を見なければいけません。そうすると、自分の横に置いておく参謀のような人たちでスタッフを組むことも大事だし、選手の能力をどれだけ把握するかなど、いろいろなことが必要になります。その上で、ゲームでの采配になるのですが、原監督は非情ですよね。クリーンナップという3番、4番、5番は、中心選手でありスタープレイヤーですから、プライドが高いです。そういう選手でも、ランナーが出て「ここはランナーを進めなくてはいけない」というときには、バントさせるわけです。これがなかなかできないのですよ、ヤワな監督では。

徳間書店『監督・原辰徳研究 この「名将の器に気付かなかった面々へ」』(著:江本孟紀)

江本孟紀(えもと・たけのり)/プロ野球解説者

■1947年、高知県生まれ。
■1971年に東映フライヤーズ入団後、南海ホークスに移籍。1976年からは阪神タイガースに移籍し、1981年に現役引退。
■プロ通算成績は113勝126敗19セーブ。防御率3.52、開幕投手6回、オールスター出場5回、ボーク日本記録。
■1992年、参議院議員初当選。2001年に参議院初代内閣委員長就任。2期12年を務め、2004年に参議院議員を離職。
■現在はサンケイスポーツの他、フジ『enjoy! Baseball Live』、ニッポン放送『ショウアップナイター』などで解説者として活動。
■アメリカ独立リーグ初の日本人チーム・サムライベアーズに協力。クラブチーム・京都ファイアーバーズを立ち上げ、総監督に就任。タイ王国ナショナルベースボールチーム総監督として、北京五輪アジア予選に出場するなど、野球界の底辺拡大と発展に努める。
■著書に『プロ野球を10倍楽しく見る方法』『人生9回裏の戦い方』など多数。最新刊は『監督・原辰徳研究 この「名将の器に気付かなかった面々へ」』(徳間書店)。

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