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江本孟紀~ソフトバンクはなぜ強いのか

ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2020年9月16日 8時10分

江本孟紀~ソフトバンクはなぜ強いのか

黒木瞳がパーソナリティを務める番組「あさナビ」(ニッポン放送)にプロ野球解説者の江本孟紀が出演。ソフトバンクの工藤監督について語った。

江本孟紀

黒木)今週のゲストはプロ野球解説者の江本孟紀さんです。徳間書店から出された『監督・原辰徳研究 この「名将の器」に気付かなかった面々へ』という本のなかには、さまざまな名監督のお話も書いてあります。

江本)野村監督は、世間では名将として有名ではないですか。でも24年間監督をして、12回はBクラスで、4年連続最下位にもなっている監督なのです。それでも名将と呼ばれる。原監督はBクラスは1回しかなく、優勝回数も多いです。原監督の方が成績は上なのですね。しかし監督というのは、世間にどうアピールするかということですから、野村監督はうまかったですよね。「勝てば自分、負ければ選手のせい」という。そこは徹底しておかないと、いい監督になれません。本のなかでは、その辺りも含めて、原監督以外の監督を少し批判しているところもあります。

黒木)辛口な部分もありましたね。

江本)辛口というよりは、本音です。

黒木)いろいろな名監督と呼ばれる方々のお話も書いてありますけれど、ちなみに現在の福岡ソフトバンクホークスの工藤監督は、どんなタイプでいらっしゃいますか?

江本)彼の場合は、環境に恵まれていますね。球団の姿勢やチームづくりは、監督がやることではありません。編成がいて、スカウトがいて、将来を見越していい選手を入れたり、俗に言う2軍や3軍をきちんと確立してチームを底上げする。いい選手はどんどんつぎ込んであげる。工藤監督は、それをうまく1軍で使っているのではないですかね。

黒木)そうですか。

江本)工藤監督というよりも、ソフトバンクほど全体がうまく回っている球団はありません。季節ごとに活躍する選手をうまく使っています。1シーズン通して活躍する選手は、なかなかいないのですよ。そこを2軍、3軍から引っ張り上げている。ソフトバンクのキャンプを見たらわかるのですが、1軍と2軍と3軍がみんな同じところで練習しているのです。3軍の選手は2軍を見ながら、「俺も次は2軍へ行くぞ」と。そして2軍へ行くと、2軍の選手も「俺は絶対1軍に行くぞ」となります。そこに大きな競争心が出るわけです。逆に1軍は2軍へ、「俺はお前らのところに行きたくない」と。そして、2軍の選手は3軍には行きたくないわけですよ。そういう競争心を煽る環境づくりが、よそと違うところなのです。

黒木)なるほど。

江本)よそはだいたい分かれていますから。スタッフもよく変わります。私も独立リーグの監督をやっているときに、ソフトバンクの監督と会えば挨拶するのですけれど、翌年に行くと、もう変わっているのですよ。「昨年の人はどうしたの?」と聞くと、スカウト部門へ変わりました、とかね。そのうちスカウト部門からも、いきなり「3軍の監督です」と言う人が現れる。そのように、全体がいい機能をしています。そのなかで工藤監督も、うまく選手を使っているのではないでしょうか。

黒木)今年(2020年)はどうでしょうかね?

江本)優勝はすると思いますよ。一応、予想していますから。

黒木)今年はソフトバンクですか?

江本)はい。パ・リーグでは優勝するでしょう。

黒木)では、セ・リーグは?

江本)セ・リーグは巨人ではないかと。この本の通り、現在も展開が進行していますので。そのまま優勝して、日本シリーズはソフトバンクと巨人の戦いになると思います。

徳間書店『監督・原辰徳研究 この「名将の器に気付かなかった面々へ」』(著:江本孟紀)

江本孟紀(えもと・たけのり)/プロ野球解説者

■1947年、高知県生まれ。
■1971年に東映フライヤーズ入団後、南海ホークスに移籍。1976年からは阪神タイガースに移籍し、1981年に現役引退。
■プロ通算成績は113勝126敗19セーブ。防御率3.52、開幕投手6回、オールスター出場5回、ボーク日本記録。
■1992年、参議院議員初当選。2001年に参議院初代内閣委員長就任。2期12年を務め、2004年に参議院議員を離職。
■現在はサンケイスポーツの他、フジ『enjoy! Baseball Live』、ニッポン放送『ショウアップナイター』などで解説者として活動。
■アメリカ独立リーグ初の日本人チーム・サムライベアーズに協力。クラブチーム・京都ファイアーバーズを立ち上げ、総監督に就任。タイ王国ナショナルベースボールチーム総監督として、北京五輪アジア予選に出場するなど、野球界の底辺拡大と発展に努める。
■著書に『プロ野球を10倍楽しく見る方法』『人生9回裏の戦い方』など多数。最新刊は『監督・原辰徳研究 この「名将の器に気付かなかった面々へ」』(徳間書店)。

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