菅新政権は安倍政権時の先を進める「仕事し内閣」になる
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2020年9月15日 17時30分
安倍晋三首相(左)に花束を渡す菅義偉官房長官=14日午後、東京都港区
ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(9月15日放送)にジャーナリストの有本香が出演。菅自民党新総裁の誕生となった今回の総裁選について、また、第99代内閣総理大臣となる菅氏の今後の政策について、自由民主党参議院議員の松川るいを電話ゲストに招き解説した。
菅自民党新総裁の誕生
自民党総裁選は9月14日に投開票が行われ、菅義偉官房長官が、岸田文雄政調会長と石破茂元幹事長を大差で破り、第26代総裁に選出された。菅氏は16日に召集される臨時国会で第99代内閣総理大臣に指名され、新内閣を発足させる見込みだ。
飯田)まずは、菅新総裁の決意表明をお聞きください。
菅総裁)新型コロナウイルスが拡大をするという、まさに国難にあって、政治の空白は許されません。この危機を乗り越えて、国民の皆さん1人ひとりが安心をして、安定した生活をすることができるように、安倍総理が進めて来た取り組みを継承し、進めて行かなければなりません。私にはその使命があると認識をいたしております。
飯田)また、目指す社会像についてです。
菅総裁)私の目指す社会像というのは、自助、共助、公助、そして絆であります。まずは、自分でできることは自分でやってみる。そして、地域や家族でお互いに助け合う。その上に立って、政府がセーフティネットでお守りをする。そうした国民から信頼される政府をつくって行きたいと思います。そのためには、役所の縦割り、既得権益、そして悪しき前例主義。こうしたことを打破して規制改革を進めてまいります。そして国民の皆さんのために働く内閣をつくってまいります。
飯田)新総裁が誕生しました。決意表明の様子を、まずは2カットに分けてお聞きいただきましたけれども、いつもの菅さんの会見での喋り方とはだいぶ違いました。
規制改革と「守らなくてはいけないもの」
有本)官房長官としての淡々とした話し方と違い、新しさはありました。それから、「本当に総裁になったのだ」という高揚感のようなものがありました。お言葉のなかに「悪しき前例主義に乗らない」、「規制改革を進めて行く」とありました。行政改革は常に必要なものだと思います。民間組織でもそうですが、時代が過ぎて行けば、組織というものは黙っていたら肥大化し、いらない仕事が出て来るので、そこを削ぐということは必要だと思います。ただ、国家像ということについて、規制改革をして、いらない規制を取っ払って行く。そして社会が活性化するように動く一方で、「守らなくてはいけないもの」をはっきりとさせて欲しいです。そこを守るための規制を、新たにかけるべきである分野もあります。この辺りのバランスを、今後、もう少しはっきりさせて欲しいと思います。これは、我々の取材テーマにもなって行く気がします。
安倍政権の外交のよいところは継続し、重視すべき分野では独自色を出して行く
飯田)ここで、自由民主党参議院議員の松川るいさんと電話がつながっております。松川さん、おはようございます。
松川)よろしくお願いいたします。
飯田)松川さんは政治家になられる前、外交官としてご活躍されていました。菅さんは外交が弱いのではないか、ということも言われていますが、どうご覧になっていますか?
松川)これまでは官房長官という立場もあって、外交に関しての発言は、対外的にはそれほどなかったと思うのですが、7年8ヵ月も安倍総理とご一緒になって、外交政策に関わる決断をしているはずです。外交についても、思っていらっしゃることはいろいろあるのではないかと思います。8年近い安倍外交を支え、ともに実行して来た当事者なので、そういう意味では、基本的な安倍政権の外交政策の継続になると思います。安倍政権の外交のよいところは継続し、菅総裁ご自身の新しい味付けや、重視するべき分野においては独自色を出して行かれるのではないかと思います。
飯田)その独自色のなかに、例えば中国との外交が大きく変わるということはあると思いますか?
松川)私は、それはないと思います。
飯田)スタジオには、ジャーナリストの有本香さんもいらっしゃいます。
有本)アメリカと中国の対立は、武器を交えはしないけれど、戦争をしているような状況です。いまの国際情勢に関して、日本も他人事ではなく、ある意味で危機のなかにいるという状況にもかかわらず、自民党の総裁選という舞台で論戦が聞かれなかったということについて、正直、松川さんたちのような内部の方々は、どう感じていらっしゃるのでしょうか? 私は残念だったのですが。
松川)私もそこは聞きたかったところなので、あまり触れられなかったのはとても残念ではあります。しかし、今回の総裁選は、安倍総理がご体調の関係でお辞めになられて、急に起こった総裁選のため時間がなかったということもあり、3候補とも重視しているところや得意分野、またコロナもありますので、直近のことに集中したのではないかと思います。ただ、各都道府県で予備選をやっていますので、結果については、かなり公正なものだと思います。
北朝鮮拉致問題も含め、安倍政権時の先を進める「仕事し内閣」になる
有本)そうですね。それは私たちも感じます。もう1つ、松川さんのご専門と言っていいと思いますが、朝鮮半島の情勢も動きが不透明になっています。そのなかで、菅さんが首班指名で新たな総理になったあと、私たちがすぐに期待したいことは、拉致問題に対するアプローチです。これも、安倍政権時代と変わらない方向でやって行くと思われますか?
松川)外交は相手がある話です。仮に、安倍政権が続いていたとしても、いままでのアプローチでうまく行かなかったら変えよう、ということは当然あり得たと思いますし、菅新総裁は約8年の安倍政権のなかで、基本的な考え方は一緒につくっていたので同じだと思います。しかし、仮に安倍政権が続いていたとしても、「ここがこうなったからこう変えよう」とか、外交分野ではないですが、規制緩和も含めて「これをやりたかった」「これは次に踏み込む予定だったけれど、時間が足りなかった」ということを、次々とやって行かれるのではないか、「仕事し内閣」ではないかと思います。
有本)「いままでのビジョンのなかで進めて行く」ということが見えるのではないか、ということでしょうか?
松川)菅政権というのは、あまり派手ではないかも知れませんが、よく働く内閣で、より政治主導でやって行く内閣になるのではないか、具体的なことをやる内閣になるのではないかと思います。それは外交においても変わらないと思います。外交は、手を付けないといけないものではなく、置いておけば生涯いいというものもあるので、「外交理想で優先順位がどこにあって、そこを抑えるといいことがある」のかどうか。例えば対中関係、対米関係はそうだと思います。官房長官時代に、どの方にどのような能力があるのかということを、見極めていると思います。
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