菅新内閣~長期政権になるためには「早期解散」が必要
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2020年9月17日 17時40分
ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(9月17日放送)にジャーナリストの鈴木哲夫が出演。9月16日に発足した菅内閣の今後について、産経新聞論説委員長の乾正人を電話ゲストに迎えて解説した。
菅内閣~閣僚人事に見る、今後の政権の戦略と課題
安倍前総理大臣の総裁任期途中の辞任を受けて、9月16日に発足した菅内閣。どのような戦略が取られるのか、また今後の課題について考える。
飯田)最優先課題は新型コロナと経済再生ということですが、行政の縦割り打破、規制改革というところに注力して行くのでしょうね。
菅総理に未知数な“外交”
鈴木)菅さんの未知数なところは、外交だと思います。ここが安倍路線の継承なのかどうか。従来通りの日米関係なども、いま中国を含めて激変しつつあります。北朝鮮の拉致問題に関しては、菅さんも早い段階からやっていたので、それなりの知見があるかも知れませんが、外交全体をどう描くのか。安倍政権は外交が看板だったわけで、そこを菅さんはどうするのでしょうか。
飯田)官房長官として、内政をやっていたということもありますが。
鈴木)外交官などと付き合いがあったとは言うけれども、外交はどうなのか、という部分はありますよね。
安定感はあるが、ときめかない新内閣~河野太郎氏がどこまでやれるか
飯田)産経新聞の論説委員長、乾正人さんと電話がつながっています。17日は産経新聞の一面で、論説委員長論文も出されていますが、この菅内閣の人事、閣僚の顔ぶれについて、乾さんはどうご覧になりましたか?
乾)安定感はあるけれど、ときめかない内閣だとは言われていますね。
飯田)規制改革など、いろいろなメニューが並んでいますが、乾さんが注目されているのはどういう点ですか?
乾)やはり河野太郎氏がどこまでやれるか、ですね。この1点だと思います。
飯田)「思い切ってやれ」と言われているとのことですが。
河野氏のこれからの課題
乾)このポストは昔、中曽根さんが行政管理庁の長官を務めて、総理の座の大きな一歩を示しました。これは重要なポストなのです。それだけに難しい。
飯田)いろいろな省庁とぶつかる最前線ですよね。
乾)結果が目に見えてわかります。中曽根さんは、ここから国鉄の民営化に踏み出して行くわけですが、そういう目玉をつくれるかどうかが、河野氏のいちばんの課題だと思います。
今回の内閣は「NASA政権」~長期政権にするためには早めの解散が必要
飯田)産経の記事でも見出しになっていますが、この内閣に名前を付けるとすると、どういう政権になりますか?
乾)「NASA政権」としました。二階さんのN、安倍さんのA、菅さんのS、もう1つのAは麻生さんと。こういうことで、権力分散型にならざるを得ない。
飯田)その権力分散型というのが、河野太郎さんがやろうとしているものと、ぶつかることになるわけですか?
乾)強力な内閣でないと、行政改革・規制改革はできませんからね。そのためには選挙をやらなくてはいけない、というのが17日の記事です。
飯田)解散は早いのでしょうか?
乾)二階さんが言っているとおり、総理の腹1つです。菅さんは長期政権を目指しているのですが、本当に長期政権になろうと思えば、国民の信がないと長期政権にはなりません。やはり、早い時期に信を問わなければならない。かつての麻生政権がそうだったのですが、早くやっておけばよかったのに、「仕事をしてから」などとやっていて、1年経ったら負けてしまったということもありましたからね。
飯田)鈴木さんは、解散についてはどうご覧になりますか?
鈴木)私は早期解散の可能性があるだろうと思っています。意外と菅さんは主戦論者ですからね。
長期政権になれば菅総理の外交もそれなりの形になる
鈴木)菅さんの外交が未知数ですけれども、乾さんはどのようにお考えですか?
乾)外交というのは、経験を積まないとできません。安倍さんの後で、すぐに華やかなステージに立つことはできないと思います。だからこそ長期政権になれば、それなりの形になって行くでしょう。誰だって最初は初心者ですから。
鈴木)そのためにも解散、ということですよね。
飯田)そこにつながる。
乾)プーチンさんなどは、海千山千ですから。習近平さんもそうですが、ほとんど永久政権のような首脳たちに立ち向かわなくてはいけないのです。かなりの修練が必要になります。
鈴木)これから長く政権をやり、安倍さんの影を払拭するためには、菅さん自身の手で解散をして勝つ。これが大事なわけです。安倍さんが長期政権を続けられたのは、自分の手で選挙に勝って来たからです。だから解散をしろというのは、乾さんらしいですね。
勝てるのならば「やれ」と言うのが菅総理
飯田)いろいろな解説がされていますけれども、麻生政権のときに、解散を先にやろうとしたけれどできなかった。あのときはリーマンショック対応で解散が打てなかったとされていますが、当時、選対の副委員長が菅さんでした。菅さんは止めたのですか?
鈴木)「あのときに止めたから、菅さんは解散には慎重だ」と言う人たちがいるのですけれども、実はそうではなく、簡単な原理だったのです。あのときに取材したのですが、「負けるからやってはいけない」ということでした。リーマンで大変なときにやったら負けるから、「やめなさい」と言ったのです。それは「ずっと待ちましょう」ではなく、「いまは待って、次に出て行くタイミングを計ろう」ということです。残っている当時の取材メモがあって、年が明けて小沢さんの政治資金問題である陸山会事件が出て来たり、景気対策で少し効果が出て来た。そのときには「やれ」と言っているのです。「勝つときにやれ」ということです。
飯田)なるほど、「1月、冬に打っていれば」だったのですね。ところが、あのときは更に延ばしてしまった。
鈴木)「負けるからダメだ」、「勝てるのだから行け」という、極めて簡単な原理です。「絶対に解散すべきではない」などという理念思想があるわけではない。「勝てるならやれ」と言うのであれば、それは「いまでしょう」となって来るのです。その可能性があるということです。それをやることによって、初めて菅政権は信任される。そういう展開を菅さんが描いてやれるかどうか、ということですよね。
飯田)その本格政権のなかで、2021年9月の総裁選に臨む。
鈴木)そうですね。選挙に勝てば長期政権となる。もちろん、そうではないリスクもあるし、石破さんなどは、来年(2021年)の総裁選に出るべきだと思います。そういう意味で、自民党は活性化する1歩手前のところに来ている。果たして、活性化の新しい展開があるのかどうか。安倍さんが長くやった後の自民党が、どうなって行くのかということです。
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