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柳亭小痴楽~どの演目にするかはお客さんの顔を見てから決める

ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2020年9月22日 8時10分

柳亭小痴楽~どの演目にするかはお客さんの顔を見てから決める

黒木瞳がパーソナリティを務める番組「あさナビ」(ニッポン放送)に落語家の柳亭小痴楽が出演。1人で演じる落語の特徴について、また、当日の演目の決め方について語った。

柳亭小痴楽

黒木)今週のゲストは落語家の柳亭小痴楽さんです。小痴楽さんは去年(2019年)真打に昇進された、いまもっとも注目されている噺家さんでいらっしゃいます。新型コロナの影響があると思いますが、いまの落語界の現状はどうなっていますか?

柳亭)都内各地に何ヵ所かある寄席が、6月からようやく再開し始めました。入場制限をしてやっとできるようになったのですが、かなり仕事がなくなりました。延期したものもあって、苦しい状況になっています。

黒木)自粛中は家で自粛をされていたのですか?

柳亭)そうですね。9割9分、家から出ませんでした。煙草を買いに行くくらいで、あとは一切出ていません。

黒木)そんなとき、落語のお稽古はするのですか?

柳亭)私は根がだらしないので、ゴールが見えないと気が入らず、やろうとは思ったのですが、やりませんでした。ずっと本を読んで、映画を観てお風呂に入って、ダメな生活をしてしまいました。

黒木)落語家の方は、我々のような役者とは違って、ものすごく長いストーリーを1人で演じ分け、1人でお客様に語りかけますよね。役者の場合は1人芝居でない限り、1人でやることはありません。 

柳亭)たまに役者さんとお話をすると、「落語は難しくて大変ですよね」と言われます。しかし、桂雀々師匠というドラマにも出た人が、ドラマをやっていて「落語は簡単だと思った」と言っていました。落語は全部、自分でできるので。

黒木)落語の方が簡単だったのですか?

柳亭)「人と絡んでやって、ツーカーの方が大変だ」と言っていました。桂歌丸師匠は、晩年でも90分くらいの噺をやっていました。私はそういう長い尺の噺はやらず、その上、扇子で蕎麦を食べるなどの仕草がなるべく出ない噺をやっています。

黒木)そういう仕草がないものですか。

柳亭)あっても、大して必要ないと思ったら、その仕草を抜いてしまいます。なるべく楽な方を自分で築き上げています。

黒木)それは、小痴楽さんの個性を育てるためですか?

柳亭)やると芸がないのがバレるので、どうにか口だけで行けるように。我々はたくさん噺があるなかから、自分で選べるのです。自分の師匠以外にも噺を習いに行くことができます。協会が違っても、「いいよ」と言ってくれれば教えてくださるのです。これが落語会のいいところで、財産をタダで教えてくださいます。どの噺をやりたいか選ぶときは、少なくとも出て来る2~3人のキャラクターに共感できるもので、「このキャラクターのこのせりふは気持ちいい、好きだ」とか、「この人はいいな」というものを選びます。好きではない噺を覚えろと言われても、たぶん覚えられないと思います。自分が好きだから覚えられるのです。当たり前なのですけれどね。

黒木)よく、寄席で高座に座ってからやる噺を決めると聞くのですが、そうなのですか?

柳亭)人によってですね。家を出るときから「これをやる」と思って出ても、現場に行くとできない場合も多いです。ネタ出しと言って、前もってチラシに出しているときはやりますが、基本的に前の出番の人が何をやったのかを聞いてから、似ていない噺をやるので、あまり決め打ちをしすぎると、自分が痛い目をみるのですよ。だから、あまりみんな考えないです。私の場合は現場へ行ってネタ帳を見て、自分の持っている噺のなかからできそうものを2~3個探し、そのどれかをやるという気持ちで高座にあがります。枕という前振りのところの話で、お客さんが笑ってくださる反応を見て、「こっちで行ってみようかな」などと決めます。

柳亭小痴楽

柳亭小痴楽(りゅうてい・こちらく)/落語家

■1988年12月、5代目・柳亭痴楽の次男として誕生。本名:沢辺勇仁郎。
■2005年10月、16才のとき、入門を申し出た途端に父が病に伏したため、2代目・桂平治(現:桂文治 )へ入門。「桂ち太郎」で初高座。
■2008年6月、父(痴楽)の門下に移り「柳亭ち太郎」と改める。
■2009年9月、父(痴楽)の没後、父の弟弟子・柳亭楽輔の門下へ。
■2009年11月、二ツ目昇進を期に「3代目 柳亭小痴楽」を襲名。その後、二ツ目の若手落語家と講談師11人によるユニット「成金」を結成。メンバーには講談師の6代目 神田伯山ほか、昔昔亭A太郎・瀧川鯉八など。
■2011年2月、「第22回 北とぴあ若手落語家競演会」奨励賞を受賞。
■2015年、2016年と2年連続「NHK 新人落語大賞」ファイナリスト。
■2019年9月、真打に昇進。同時に6代目・柳亭痴楽襲名の話もあったが襲名せず。
■ユニット「成金」については、メンバーの誰かが真打になったときに終了するとされていて、小痴楽の真打昇進前日の2019年9月20日に終了。全メンバーが出演する年末開催の「大成金」は継続。

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