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柳亭小痴楽~落語の楽しみ方? 「ザワザワした雰囲気の寄席で聴くあの空気感」ですかね

ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2020年9月25日 8時10分

柳亭小痴楽~落語の楽しみ方? 「ザワザワした雰囲気の寄席で聴くあの空気感」ですかね

黒木瞳がパーソナリティを務める番組「あさナビ」(ニッポン放送)に落語家の柳亭小痴楽が出演。落語の楽しみ方について語った。

柳亭小痴楽

黒木)今週のゲストは落語家の柳亭小痴楽さんです。小痴楽さんから落語の楽しみ方を教えてください。

小痴楽)落語の空気感ですかね。寄席で聴くのがいいです。雑な感じで、他のお客さんもすぐに席を立ってしまうし、ザワザワしている。出る方も、「きょうウケて人生を変えてやる」とか思っている人は誰もいなくて、「とりあえず演る」という感じで高座にあがっています。お客さんも「なぜかここにいて、なぜだかわからないけれど落語を聴いている」というくらいの感覚で来ています。お互いお金が発生しているのに、誰も何も求め合っていないあの空気感。浅草の演芸ホールや新宿の末廣亭などの木造の古い建物も含めて、すべて雑な感じで落ち着きますね。おしゃれなレストランでご飯を食べるのもいいけれど、「たまには赤提灯に行きたくならない?」という。寄席での楽しみ方はそれですかね。

黒木)16歳のときに、落語家になろうと決めたのですよね?

小痴楽)親父が聴いていた、8代目の春風亭柳枝師匠のCDがCDプレイヤーに入っていたのをたまたま聴いたのです。三味線のチャンチャカチャンが聴こえたので、「ああ親父の商売か、いままで聴いていなかったな」と思って聴いてみたら、これが面白くて。「面白い、これが好き」というよりも、「やりたい」になってしまったのです。言い出すまでに1年くらいかかりましたけれども。前からお笑いの方には行きたかったのですが、漫才には相方が必要ではないですか。コンディションによってイライラさせたりするし、寝坊して行ったら迷惑がかかるし、それは嫌だなということで、落語ならば全部自分でできます。何より柳枝師匠の言葉の軽さから、14~15歳だったあのとき、本当に想像できたのですよ。「おひつ」なんて見たこともないけれど、なぜか想像できたのですよ。面白いという前に、「すごい」となったのですかね。初めて聴いたときはびっくりしました。

黒木)今後はどんな落語家を目指していらっしゃいますか? 落語家として、ご自分では謙遜されていますが、生きて行く覚悟のようなものをヒシヒシと感じます。

小痴楽)ありますかね? 他の落語家の方に失礼ですが、私は落語家という商売は底辺だと思っているのです。資格が必要なわけではないし、勉強が必要なわけでもありません。「やりたい」と言って、師匠に「いいよ」と言ってもらえればなれる商売なので、覚悟というようなものはないのです。売れたいとかいうことよりも、高座にあがる前の、めくりが小痴楽になったときの高揚感が好きなんです。高座にあがったときに、お客さんがヘラヘラしている、ニコニコしているような柔らかい空気感のある人になりたいという思いはあります。根がいい加減だから、そのいい加減で「怒らずに笑ってください」というのを夢にしたいのですよね。

黒木)去年(2019年)、真打に昇進されたときに、本当は「6代目柳亭痴楽」という襲名もできたけれど、やられなかったというのは、いまおっしゃったことに通じるところがあるのですか?

小痴楽)そこは少しこだわりがあります。「柳亭痴楽」は4代目が大きくした、すごい名前なのですよ。「たかだか5代目の息子が継ぐというのは違うだろう」というのがあるのです。「継いでも、文句が言われないようになってから、いただけるならいただきたい」ということを師匠にも相談したら、「まだだな、わかった」と言ってくれました。小遊三師匠と米助師匠はうちの親父と同期なのですが、2人からは「俺が生きているうちにやってくれよ」と言われました。「お前は面倒くさいな」、「そういう面倒くさいところが、お父さんの痴楽にそっくりだ」と言って笑ってくれたけれど、「ごめんなさい、そのプレッシャーは私には重くて潰れてしまう」と許してもらいました。

黒木)そういう思いがこれから目指すものにつながりますね。

小痴楽)そうですね。「そういう人間になれたら、いただいていいですか」と、ヘラっと言いたいですよね。

柳亭小痴楽

柳亭小痴楽(りゅうてい・こちらく)/落語家

■1988年12月、5代目・柳亭痴楽の次男として誕生。本名:沢辺勇仁郎。
■2005年10月、16才のとき、入門を申し出た途端に父が病に伏したため、2代目・桂平治(現:桂文治 )へ入門。「桂ち太郎」で初高座。
■2008年6月、父(痴楽)の門下に移り「柳亭ち太郎」と改める。
■2009年9月、父(痴楽)の没後、父の弟弟子・柳亭楽輔の門下へ。
■2009年11月、二ツ目昇進を期に「3代目 柳亭小痴楽」を襲名。その後、二ツ目の若手落語家と講談師11人によるユニット「成金」を結成。メンバーには講談師の6代目 神田伯山ほか、昔昔亭A太郎・瀧川鯉八など。
■2011年2月、「第22回 北とぴあ若手落語家競演会」奨励賞を受賞。
■2015年、2016年と2年連続「NHK 新人落語大賞」ファイナリスト。
■2019年9月、真打に昇進。同時に6代目・柳亭痴楽襲名の話もあったが襲名せず。
■ユニット「成金」については、メンバーの誰かが真打になったときに終了するとされていて、小痴楽の真打昇進前日の2019年9月20日に終了。全メンバーが出演する年末開催の「大成金」は継続。

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