ウイグル人への人権問題~日本の国会も声をあげるべき
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2020年9月29日 17時35分
(200622) -- BEIJING, June 22, 2020 () -- Chinese President Xi Jinping meets with President of the European Council Charles Michel and President of the European Commission Ursula von der Leyen via video link in Beijing, capital of China, June 22, 2020. (/Wang Ye)
ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(9月29日放送)にジャーナリストの有本香が出演。中国によるウイグル族などへの同化政策について解説した。
加藤官房長官~ウイグル人などの人権が尊重されているか注視して行く考えを示す
中国の新疆ウイグル自治区の統治政策をめぐり、習近平国家主席が思想や宗教の統制を徹底して行く方針を示したことについて、加藤官房長官は9月28日午前の会見で、ウイグル人などの人権が尊重されているかどうか注視して行く考えを示した。
飯田)25日~26日に、新疆ウイグル自治区の統治政策に関する会議が、最高指導部のメンバー全員出席で開かれました。そこでの発言をめぐってというところです。
ウイグル人権法につづき、強制労働によってつくられた製品を取り扱わないという法案が出されたアメリカ
有本)すでに、この発言の前からそういう政策は実施されて来ていて、世界中がいろいろな形で非難をしたり、制裁の対象にしています。日本国内でも、在日ウイグル人の人たちを中心にした抗議行動が大規模に、しかも深くなって来ています。アメリカではウイグル人権法というものを通し、先日も、強制労働によってつくられた製品を取り扱わないという法案が出されて、下院では可決されました。上院で否決される理由もないし、トランプ大統領のことだから、署名を後回しにすることもないでしょうから、成立すると思います。日本も実効性のあることをしなければいけない状況になって来ているのです。
日本の国会からも声をあげるべき
有本)加藤官房長官のご発言も、本当はもう少し強く言って欲しいのですが、日本の官房長官が普通に「これは懸念がある」と言うようになっただけでも、進歩はしているのかなと思います。ただ、アメリカの動きを見ていてもわかるように、欧米各国はチベット問題やウイグル問題に関しては、議会の方が活発な動きをしています。日本の国会の方にもそういう動きをしてもらうように、いま在日ウイグル人の人たちが働きかけをしています。
飯田)議員さんに対して。
有本)日本には、何千人ものウイグル人の方がいらっしゃいます。帰化して日本国民になっている人もいます。そういう人も含めて、日本に住んでいるウイグル人のほとんど全員が、故郷にいる親族と電話連絡が取れない状況なのです。しかも、自分の家族、または親しい友人がある日突然、いなくなって収容所に入れられてしまう。収容所に入っていなくても、例えば警察が、「あなたのお兄さんを監視しているよ」などと電話口で言って来るようなことが、相次いで起きているわけです。ですから、在日ウイグル人の人たちにしてみれば、それまでは「自分たち民族の問題」と言っていたのですが、まさに個人の問題になっているのです。そんななかで、日本の国会が何もしないというのはおかしいし、特にそこで区別するわけではありませんが、帰化している人は日本国民なのです。日本国民に対する人権侵害が起きているということを、もっと深刻に受け止めて欲しいと思います。
各国の研究機関が調査報告を発表
有本)アメリカのシンクタンクであるジェームズタウン財団など、欧米の研究機関が調査報告を発表しています。オーストラリア戦略政策研究所は、「ウイグル人の強制労働の問題によって、世界企業にどのような部品が供給されているか」という詳細な調査報告を出しています。
飯田)企業名まであげて出していますね。
有本)そのなかには日本を代表する日系企業も入っていますので、日本の財界も含めて、対岸の火事のような、「ビジネスはビジネスだ」という不見識なことを言っている場合ではないだろうと思います。
チベット人に行われている移住政策と産児制限
有本)産経新聞にも書かれていますが、中国はチベットの農民に対して、「職業訓練」と称して土地を取り上げているのです。チベット人はほとんどが牧畜民ですから、そのチベット人から土地を取り上げて、中国政府的に言うと、「家畜や土地を国営企業に譲り渡せ」ということをやるわけです。譲り渡しても、雀の涙ほどのお金しか貰えない。そして他の土地に行かされる。これは最近起きたことではなくて、10年以上も前からあります。しかも、各地域でノルマがあるのです。まずは移住をさせる。移住をさせてアパートに住まわせる。そこで仕事がなくても、雀の涙ほどの生活費が支給されるのです。でもアルコールだけはあります。すると生き甲斐がありませんから、アル中の人が増える。これはアメリカでの、かつてネイティブ・アメリカンの人たちに行った政策に似ていると言われています。これについては、10年以上も前からイギリスのメディアなどが告発しています。もう1つは、産児制限です。これも個人の意思に関係なく、計画的に行っています。ただ、アメリカも含めて、これほど国際社会が本気になっているというタイミングはないので、ここに日本の政府もしっかり乗って欲しいです。隣国ですからね。
モンゴルで起きていることは、かつてチベットや新疆ウイグル自治区で起きたこと
飯田)いまチベット、ウイグル、さらに南モンゴルなどでも文化を取り上げる、文字を取り上げるということが起きています。
有本)モンゴルで起きていることは、かつてチベットや新疆ウイグル自治区で起きたことなのです。
飯田)すでに起こっている。
有本)特に内モンゴル自治区では、ここに来て、ものすごいスピードで起きています。
飯田)北京語教育が始まって、モンゴル語を取り上げようとしています。
有本)ウイグル人の地域で、同じことが起きたときには、ウイグル人の学校の先生の仕事がなくなってしまったのです。いままではウイグル語でほとんどの教科を教えていた。これが、全部漢語になり、そこに多くの中国人の先生たちが入って来て、職を奪ってしまったのです。中国語教育をやるにしても、中国語で高い教育を受けたウイグル人がいるわけです。しかし、そういう人には仕事は行かない。民族で差別を受けてしまうのです。そして、そのような知識層も、低収入に落とされてしまう、というようなことが、今後モンゴルでも始まる恐れがあります。そうさせないためにも、いまこの初期の段階で、国際社会が関わって行くことが必要です。
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