「食べチョク」代表・秋元里奈~農業の課題である“高齢”と“やりがい”を克服する「食べチョク」の新機能
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2020年10月1日 8時10分
黒木瞳がパーソナリティを務める番組「あさナビ」(ニッポン放送)に株式会社ビビッドガーデン・代表取締役社長の秋元里奈が出演。現在の農業の課題について語った。
黒木)今週のゲストは産直通販サイト「食べチョク」を運営されている、株式会社ビビッドガーデン・代表取締役社長の秋元里奈さんです。生産者と消費者を直接結ぶ産地直送サイト「食べチョク」ですけれども、多くの方が利用なさっているのですね。
秋元)生産者さんの登録が2300軒、お客さんも数十万人の会員さんが登録してくださっています。
黒木)何人くらいのスタッフでやっていらっしゃるのですか?
秋元)社員は15名です。まだまだ少ないのでバタバタなのですが。
黒木)農家の方々が悩んでいること、困っていることなど、現在の農業の課題について教えていただけますか?
秋元)根本にある課題というのは、「こだわっても、それが正しく評価されない」という部分だと思います。生産者さんを回っていると、こだわりの強い方がたくさんいらっしゃるのですが、既存の流通であると、価格に評価されるのは、基本的には「きれいな形をしているかどうか」というところなのです。規格にあったものであれば、すべて価格は一緒なので、どんなに味を濃くつくろうが、こだわってつくろうが、それは金銭的には評価されません。直接お客さんからのフィードバックを得ることがないので、自分の野菜が「おいしい」と言われている声も聞けないのです。こだわっても、その分のリターンが少ないということは課題だと思っています。農家さんからすると、どうしても「つくって出して、それで終わり」になってしまっています。お客さんに褒めてもらってモチベーションが上がるということがないので、経済的にも辛いのですが、精神的にも大変な部分が多いのではないかと思っています。
黒木)生産者と消費者の顔が見えないということですね。
秋元)いまは昔のように、「つくれば売れる」という時代ではなく、ものが溢れているなかで、どう差別化して、いかに高く売るかなど、経営的な面が重視されるようになって来ています。そうなったときに、顧客の声を聞けないというのは、マーケットへの発想を持ちづらい理由の1つになります。農家さんに経営者として大きくなってもらうためには、お客さんの声を直接聞くということは必要不可欠ではないかと思います。
黒木)本当ですね。やりがいにもなり、「もっとこだわってつくろう」という前向きな気持ちにもなります。
秋元)そうですね。高齢の方が多いですし。平均年齢がいま、67歳くらいです。
黒木)高いですね。
秋元)数年前に比べると、IT化は進んでいるのですが、高齢の方はどんどんやめて行ってしまいます。高齢の方が廃業してしまうと、その人たちが持っていた栽培ノウハウもなくなってしまいます。
黒木)そうですね。
秋元)そこに対しての危機感がすごくあります。
黒木)ITの考え方や技術を提供することが大切になりますね。
秋元)最近、生産者さんが、近所で寄り添って出荷できるという機能をスタートしました。「ご近所出品」というのですが、若い生産者さんが、隣のおじいちゃんをサポートしながら一緒に売るというものです。これによって、最高齢である94歳の方が、「食べチョク」に登録してくださっています。ちょうど先日、90歳で登録されている方にお電話で取材を受けていただいたのですが、「『食べチョク』を通じて、若い人たちと一緒に仕事ができて嬉しいです」と言ってくださいました。そういう高齢の方も置き去りにせずに、しっかりと輪のなかに入れられるような仕組みを構築したいと思っています。
秋元里奈(あきもと・りな)/株式会社ビビッドガーデン代表取締役社長
■神奈川県相模原市出身。実家は農家。
■慶應義塾大学理工学部を卒業後、株式会社ディー・エヌ・エーへ入社。
■webサービスのディレクター、営業チームリーダー、新規事業の立ち上げを経験した後、スマートフォンアプリの宣伝プロデューサーに就任。
■2016年に独立。日本の農業の抱えるさまざまな課題を、IT技術を用いて解決して行くことをミッションに掲げ、11月にビビッドガーデンを創業。
■2017年8月17日にオーガニック農作物を栽培している生産者と消費者をダイレクトに結ぶ「食べチョク」を正式リリース。
<食べチョクとは……>
■品質にこだわる農家・漁師から旬の食材を直接お取り寄せできる産直通販サイト。
■登録しているこだわりの生産者は全国2000軒以上。
■独自の基準をクリアした厳選生産者から、旬の食材や、市場に出回らない珍しい地場野菜など、生産者さん直売ならではの「限定商品」が豊富に揃う。
■つくり手と買い手、お互いの声が直接届くので、「生産者のこだわり」が適正に評価される。野菜・お米・果物・肉・魚介類の、新しい流通の仕組み。
■生産者自身で値決めができ、生産者への還元率も高いため、食べることで応援にもつながる(*新型コロナ・豪雨災害などで厳しい農家さんを応援できる!)。
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