「所得税未納報道」が逆にトランプ氏に有利に働く~アメリカ大統領選
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2020年9月30日 17時30分
ホワイトハウスで指名受諾演説に臨むトランプ米大統領(アメリカ・ワシントン)
ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(9月30日放送)に地政学・戦略学者の奥山真司が出演。トランプ候補とバイデン候補によるアメリカ大統領選挙について解説した。
アメリカ大統領選~オハイオ州で初めてのテレビ討論会を実施
11月に控えるアメリカ大統領選挙、共和党のトランプ候補と民主党のバイデン候補による初めてのテレビ討論会が、日本時間の9月30日午前、オハイオ州のクリーブランドで行われる。2人の候補が意見を戦わせるのは初めてで、90分間にわたり、6つのテーマで討論を行う。
飯田)いよいよ直接対決、討論会が始まります。
奥山)トランプさんの無茶苦茶な議論に対して、まともなバイデンさんがどう受け答えるのかというところです。バイデンさんは討論が苦手です。奇抜なトランプさんとバイデンさんがどう戦うのか、そのマッチングが楽しみです。
飯田)派手なヒールと地味なベビーフェイスという感じですか?
討論会で選挙の流れが決まるということはない
奥山)プロレスに例えるとそんな感じになるのかも知れません。大統領選において、討論会が重要であると言われています。しかし、討論会を学問的に調べた人がいて、討論会で流れが決まるかどうかについては、あまり関係がないということです。
飯田)「第1回討論会の頭30分ぐらいで大統領選が決まってしまう」というようなことを言われたりしますが。
奥山)ところが、綿密に調べると、それほどインパクトはないのではないかという研究が出ています。
飯田)投票行動に直接の影響はないと。
国内の分断が激しくなっているアメリカ~このままでは外交に余力を出せなくなる
奥山)それ以前の、現職の実績などが作用すると言われています。これに関して気になっているのは、アメリカが討論会を行っている状況のなかで、アメリカの政治思想の分断、分裂が激しいものになっているということです。アメリカのメジャーなメディアには出て来ませんが、地方の現地メディアの情報がネットにあがっていて、YouTubeでも観ることができます。そこでは、カウンター・デモも含めて、デモ隊同士が暴力沙汰になっていることが報道されています。車で相手のデモ隊を轢く、または機関銃AR-15という殺傷力の高いもので撃ってしまうようなことが起こっています。撃ち合いをする世界が展開されているのです。これほどの分断状況を、次の大統領がまとめることはできるのでしょうか。また、そのような状況が続けば、下手をすると、アメリカが内戦的なことになって、外交の方に余力を出せなくなるのではないかということが心配されます。
飯田)内向きというのが、意図的に戻って行くのではなく、実象として、それだけで限界にまでなってしまうのですね。
奥山)それがいちばん恐れているシナリオです。
飯田)そうなると、かつて南北戦争がアメリカでありました。あのように州で別れるより、さらに細かな分断になるのでしょうか?
奥山)私もどういうシナリオになるかはわかりませんが、内部で抱えている火種が強くなり過ぎてしまい、外に向かう、例えば中国を懲らしめるという方向に行かなくなってしまう。我々日本は安全保障をアメリカに頼っている部分もありますので、中国に対抗してくれないと困ります。また北朝鮮に対しても、何かあったときに、アメリカにお願いしても来てくれないという状況になると、厄介な問題になります。
トランプ氏の節税はスマート~所得税未納報道
奥山)もう1つはニューヨーク・タイムズが出したスクープ記事で、「トランプ大統領が就任前の15年間のうち、10年間にわたって所得税を納めていない。また2016年、2017年の納税額も、日本円にして8万円ほどだった」というものです。アメリカのリベラル側のメディアは、トランプさんのことを「とんでもない」と言っています。ここで指摘したいのは、それとは逆で、トランプさんが国税を納めていなかったことは、「頭がいい」ということで、むしろ国民の評価が上がるということです。
飯田)そうなのですか。
奥山)アメリカの文化として、連邦政府にお金を払わないことは、「えらい」ということになるのです。日本では「納税は国民の義務」とされていますが。
飯田)社会の授業でも習いますね。
奥山)アメリカではそういうことはなく、「連邦政府が国民からお金を摂取するのを回避することは、頭のいい人間がする」という考えです。
飯田)連邦政府にお金を持って行かれるのはマヌケな奴だと。
奥山)2016年にトランプさんがヒラリー・クリントンさんと討論したときに、「あなたは政府に税金を納めていないではないか」と言われました。そこでトランプさんは、「払わないのは俺がスマートだからだ」と切り返し、喝采されました。納税をするのはスマートではないという認識がアメリカ国内にはあります。トランプさんは、それをアピールできるという現実があります。
飯田)もともと独立自主というか、政府の縛りはいらないという人が集まっていますよね。
奥山)それだけに、政府にお金を取られるのは悪という考え方があります。むしろ、納税しないトランプさんを見習いたいという人たちがいることを、我々は忘れてはいけません。これはアメリカ文化の1つです。
追い上げてはいるが、まだ厳しいトランプ氏の状況
飯田)いまのところ、世論調査ではバイデンさんがリードとなっていますが、まだわかりませんか?
奥山)追い上げてはいますが、まだ厳しいでしょう。コロナで20万人が亡くなっていますし、経済は落ち込んでいます。株価は上げていますが、雇用関係が不安定です。アメリカの有権者は、前の大統領がやった仕事によって、自分たちの生活がどれだけ向上したかというところを見ています。トランプさんは状況的に厳しいです。
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
ハリス氏、対中政策巡りトランプ氏批判「史上最大の貿易赤字招いた」 米大統領選討論会
産経ニュース / 2024年9月11日 21時58分
-
「アメリカ大統領選討論会」を若者たちが見た本音 ニューヨーカーたちとバーで討論会を見てみた
東洋経済オンライン / 2024年9月11日 21時0分
-
予備選挙で各党の候補者決定、本選は538人の「選挙人」獲得を競う 米大統領選の仕組み
産経ニュース / 2024年9月11日 14時40分
-
米大統領選討論会 アフガンの米軍撤収 トランプ氏「米国史上、最大の恥だ」
産経ニュース / 2024年9月11日 12時1分
-
大統領選残り2カ月、互角の戦い 10日に討論会、情勢に影響も
共同通信 / 2024年9月4日 15時30分
ランキング
-
1臓器192件移植できず 実施施設の人員・病床不足の理由も 厚労省が初調査
産経ニュース / 2024年9月24日 18時32分
-
2対向車のライトで人が消える「蒸発現象」に注意! 日が短くなる時季にドライバーと歩行者が気を付けたいこと
CBCテレビ / 2024年9月24日 18時13分
-
3東京都 墨田区・港区の一部地域の水道水から異臭 「油のような匂いがする」「シンナー臭がする」 原因分からず 都は水道水を飲むことを控えるよう呼びかけ
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年9月24日 20時28分
-
4深圳の男児刺殺、中国・王毅外相「政治化や拡大化を避けるべきだ」と上川外相に注文か…日中外相会談
読売新聞 / 2024年9月24日 11時43分
-
5大雨被害の能登、母の頬の泥拭い「母ちゃんごめんな」…新たな犠牲者に悲しみ広がる
読売新聞 / 2024年9月24日 21時35分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください