『三谷かぶき 月光露針路日本 風雲児たち』予測不能の歌舞伎ロードムービー!
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2020年10月3日 13時0分
【Tokyo cinema cloud X by 八雲ふみね 第910回】
シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信する「Tokyo cinema cloud X(トーキョー シネマ クラウド エックス)」。
今回は、10月2日公開の『三谷かぶき 月光露針路日本 風雲児たち』(みたにかぶき つきあかりめざすふるさと ふううんじたち)をご紹介します。
ロシアからふるさと日本を目指す! 三谷幸喜作・演出の新作歌舞伎が、今度はシネマ歌舞伎として観客を魅了する!!
歌舞伎の舞台を映画館でデジタル上映する「シネマ歌舞伎」シリーズ第36弾は、三谷幸喜作・演出で話題となった『三谷かぶき 月光露針路日本 風雲児たち』。
みなもと太郎の人気歴史ギャグ漫画「風雲児たち」を原作に、エンターテインメント性たっぷりに、歌舞伎の古典的表現を存分に活かした冒険コメディです。
本作は、2019年6月、東京・歌舞伎座で上演され、連日大盛況。人気の演目が早くもシネマ歌舞伎化され、スクリーンに登場しました。
『三谷かぶき 月光露針路日本 風雲児たち』のあらすじ
鎖国によって外国との交流が厳しく制限された、江戸時代後期。大黒屋光太夫(だいこくやこうだゆう)らを乗せた商船・神昌丸は、伊勢から江戸へと向かう途中で激しい嵐に見舞われ、大海原を漂流してしまう。
乗組員は17人。再び故郷の伊勢へ戻るため、方角もわからないまま海の上で陸地を探すも、8ヵ月後、彼らがたどり着いたのは日本ではなく、ロシア領のアリューシャン列島アムチトカ島だった。
異国の言葉と文化に戸惑いつつも、島での生活を始める光太夫たち。厳しい暮らしのなかで仲間を失いながらも、彼らは日本への帰国の途を模索し続ける。
やがて光太夫は、サンクトペテルブルグで女帝エカテリーナに謁見することとなるが……。
『三谷かぶき 月光露針路日本 風雲児たち』のみどころ
原作の大ファンだと公言している三谷幸喜氏。今回は作・演出のみにとどまらず、シネマ歌舞伎の監修として映像編集にも参加しています。
コミックで初めて光太夫の場面を読んだときから「歌舞伎で見たい!」と思ったと言う三谷氏にとって、その念願を自ら叶えた形となった本作には、松本幸四郎、市川猿之助、片岡愛之助、そして松本白鸚と、これまで舞台や映像で何度も三谷作品に参加して来た顔ぶれがそろいました。
なかでも、白鸚・幸四郎・染五郎の高麗屋三代にわたる共演や、市川猿之助・片岡愛之助・尾上松也ら「半沢直樹」トリオの活躍など、キャスティングの妙には唸らされるばかり。
また、三谷作品でおなじみの八嶋智人が本作で歌舞伎に初挑戦。観客の笑いを誘う好演を見せているのも、演劇ファンには嬉しいところです。
ロシアへ漂着する物語ゆえ、背広にドレスと普段の歌舞伎とは違った装いも楽しく、そこに歌舞伎ならではの表現方法が加わることで、さらなる新鮮さを覚える人も多いのではないでしょうか。
そして、波間を漂流する船上、女帝エカテリーナの宮殿など、歌舞伎座の大きな舞台をあますところなく使って描かれる世界観は、実にダイナミック。特に、光太夫たちを乗せた犬ぞりが広大なロシアの雪原を走るシーンは、必見です。
歌舞伎の演目を映画館のデジタル上映で楽しむ新しい観劇空間、シネマ歌舞伎。
まるで劇場の特等席で鑑賞しているような臨場感と迫力を楽しめるのと同時に、俳優の息遣いや衣装の刺繍といった細やかな部分までじっくりと堪能することができるのは、シネマ歌舞伎ならではの魅力。
劇場に足を運んだと言う人も、シネマ歌舞伎で同じ演目をご覧になると、きっと新たな発見がありますよ。
歌舞伎通はもちろん、「歌舞伎に興味はあるけど、ちょっと敷居が高いかな……」という初心者の方も、これを機に“シネマ歌舞伎体験”してみてはいかが。
<作品情報>
■シネマ歌舞伎『三谷かぶき 月光露針路日本 風雲児たち(みたにかぶき つきあかりめざすふるさと ふううんじたち)』
2020年10月2日(金)から東劇・新宿ピカデリーほか全国公開
作・演出:三谷幸喜
原作:みなもと太郎「風雲児たち」(リイド社「コミック乱」にて好評連載中)
<配役>
大黒屋光太夫:松本幸四郎
庄蔵/エカテリーナ:市川猿之助
新蔵:片岡愛之助
キリル・ラックスマン/アダム・ラックスマン:八嶋智人
マリアンナ:坂東新悟
藤助:大谷廣太郎
与惣松:中村種之助
磯吉:市川染五郎
勘太郎:市川弘太郎
藤蔵:中村鶴松
幾八:片岡松之助
アレクサンドル・ベズボロトコ:市川寿猿
清七/ヴィクトーリャ:澤村宗之助
次郎兵衛:松本錦吾
小市:市川男女蔵
アグリッピーナ:市川高麗蔵
ソフィア・イワーノヴナ:坂東竹三郎
九右衛門:坂東彌十郎
三五郎/ポチョムキン:松本白鸚
語り:尾上松也
(C)松竹株式会社
英題:Cinema Kabuki “Mitani Kabuki TSUKIAKARI MEZASU FURUSATO Fūunji tachi”
公式サイト https://www.shochiku.co.jp/cinemakabuki/
連載情報
Tokyo cinema cloud X
シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信。
著者:八雲ふみね
映画コメンテーター・DJ・エッセイストとして、TV・ラジオ・雑誌など各種メディアで活躍中。機転の利いた分かりやすいトークで、アーティスト、俳優、タレントまでジャンルを問わず相手の魅力を最大限に引き出す話術が好評で、絶大な信頼を得ている。初日舞台挨拶・完成披露試写会・来日プレミア・トークショーなどの映画関連イベントの他にも、企業系イベントにて司会を務めることも多数。トークと執筆の両方をこなせる映画コメンテーター・パーソナリティ。
八雲ふみね 公式サイト http://yakumox.com/
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