レバノンとイスラエルが歴史的合意に~「敵の敵は味方」ということ
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2020年10月2日 17時35分
![レバノンとイスラエルが歴史的合意に~「敵の敵は味方」ということ](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/nipponhoso/nipponhoso_247556_0-small.jpg)
ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(10月2日放送)に元内閣官房副長官補・同志社大学特別客員教授の兼原信克が出演。レバノン国民議会のベリ議長が、敵対する隣国イスラエルとの海洋の境界策定について、「枠組みづくりで合意した」と発表したニュースについて解説した。
![](https://news.1242.com/wp-content/uploads/2020/10/photo-1521618602568-18d984a3ea32-2.jpg)
ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」
レバノンとイスラエル
地中海の東の端ドン付き、北にレバノン・南にイスラエルと並んでいる位置関係。東地中海、天然資源があるため開発利権をめぐり、長年対立して来た両国が、いま歴史的な転換点を迎えようとしている。レバノン国民議会のベリ議長は10月1日、敵対する隣国イスラエルとの海洋の境界策定について、「枠組みづくりで合意した」と発表した。ただ最終合意には至っていないとしており、協議は10月中にもレバノン南部国境付近でアメリカや国連の仲介で行われる見通しである。
飯田)この東地中海の周辺は天然ガスが出るのですね。
兼原)最近たくさん出るのです。問題はですね、中東は第一次世界大戦の前はオスマン帝国とペルシャ・イランだったのです。
飯田)トルコとイランと。
![](https://news.1242.com/wp-content/uploads/2020/10/2019102411953-2.jpg)
シリア内戦新局面 トルコとロシア、実益確保 23日、トルコ国境に接するシリア北部テルアビヤドに立つトルコ軍の兵士ら(ロイター=共同)=2019年10月23日 写真提供:共同通信社
「昔、俺たち帝国だったんだよね」と大きな顔をするトルコとペルシャ
兼原)いまは冷戦も終わってのんびりしていて、ロシアの力も落ちたので、トルコとペルシャが「昔、俺たち帝国だったんだよね」と言って大きな顔をしているのです。トルコが海ではかなり大きな顔をしています。シェイクスピアのオテロに出てくるキプロス島がトルコの近くにあるのですが、あの下のキプロスというギリシャと仲のいい独立国の上半分をトルコが抑えていて境界確定が乱れているのです。そこでトルコはもう天然ガスを堀り始めているので、いろいろな国が「何しているんだ」と言うと、トルコは軍艦を出したりするのです。
飯田)このレバノンとイスラエルも、トルコに対しては共通の利害があるだろと。
イスラエルとUAE、バーレーンとの国交正常化
兼原)レバノンとイスラエルは早く海を仕切って、揉めているのをやめようということがあると思います。もう1つ、アメリカはイスラエルが可愛いわけです。自分たちはキリスト教ですから。特に共和党系の福音主義者の票が来るので可愛いわけです。イランとかシリアはロシアに取られてしまったのですけれども、エジプトとヨルダンを抑えて、「イスラエルと仲よくしてくれ」とやって来ていました。それで、この間UAEをひっくり返しました。これをイスラエルとくっつけたので、バーレーンがついて来た。これには驚きました。アラブのドンの人たちですから。イスラエルとUAEの国交正常化はトランプさんの大きな得点となったのです。
![](https://news.1242.com/wp-content/uploads/2020/10/map-3473138_1280-2.jpg)
ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」
レバノンとイスラエルが手を結ぶということ
兼原)レバノンには、ヒズボラという組織がたくさんいて、イランの影響がすごく強い人たちなのです。このレバノンがイスラエルとくっつくというのは、アメリカの方からすれば、イラン勢の切り崩しになります。エジプト、ヨルダンと昔から持っているところに加えてUAE、バーレーンと来て、今度、イラン側だと言われていたレバノンのヒズボラの人たちがいるにも関わらず、レバノンがイスラエルを引っ張ったのです。これはアメリカの方から見ると、また得点を得たという感じなのだと思います。それはアメリカが頑張っているというよりも、イランが怖いのです。イランとトルコがあそこでブイブイやり始めると周りの国々は怖いのです。
飯田)アラブの国々が対イランや対トルコというところで、「喧嘩している場合ではないだろ」となったと。そうすると宗教というよりも、各国が国益や実利で結んで行くという形になるのですか?
敵の敵は味方~日本の室町時代と同じ
兼原)一言で言うと「敵の敵は味方」。これだけですね。
飯田)戦国時代みたい。
兼原)同じです。徳川と武田のように突然結んだというようなことも、「あるよね」という感じです。
飯田)宗教が入り口だからわかりにくいと日本人は思っているけれども、実は。
兼原)室町時代と思ってもらえればいいです。敵の敵は味方なので、誰かが強くなると周りがくっつくのです。イランとトルコが昔のことを思い出してブイブイやり始めているので、焦ったアラブがいろいろと動いているのだと思います。可哀想なのはパレスチナなのですよ。沈んじゃうのですよね。イスラエルとアラブの地盤の紛争の問題はパレスチナなので。
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
緊迫するイスラエルとヒズボラの影で、イランが狙う「終わりなき消耗戦」と戦争拡大の危険性
ニューズウィーク日本版 / 2024年7月2日 14時21分
-
イスラエルがハマスと同時にヒズボラにも戦争を仕掛けたがる理由
ニューズウィーク日本版 / 2024年6月29日 21時18分
-
2024年世界平和度指数、中東・北アフリカ地域は9年連続で最低(中東、アフリカ)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年6月25日 9時30分
-
2023年の中東含む西アジアへの対内直接投資額は前年比9%減の652億ドル(中東、アラブ首長国連邦、サウジアラビア、トルコ、オマーン、レバノン、アジア、米国)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年6月24日 1時30分
-
池上彰「第三次世界大戦は起きない」と考える理由 人類が「2度の世界大戦」から学んだこととは
東洋経済オンライン / 2024年6月16日 18時0分
ランキング
-
1石丸伸二氏「国政も選択肢」=広島1区に言及―都知事選
時事通信 / 2024年7月7日 21時56分
-
2小池氏が都知事3選=石丸、蓮舫氏ら破る―保育無償「制度設計を推進」
時事通信 / 2024年7月7日 23時47分
-
3円安・物価高の一因「異次元緩和」の後処理策「資産課税くらいやらないと」 石川和男が指摘
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2024年7月7日 9時0分
-
4【都知事選】「石丸2位」の衝撃!Xトレンド入り「マジか」「ネットが力を」「かなりの力」驚き
日刊スポーツ / 2024年7月7日 20時31分
-
5都知事選で3選確実の小池百合子氏「東京大改革をバージョンアップさせる」…支援者ら前にあいさつ
読売新聞 / 2024年7月7日 20時30分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/point-loading.png)
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)