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安倍政権が築いた日本外交の財産を菅総理はどう活かすのか

ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2020年10月3日 11時59分

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安倍晋三首相(左)に花束を渡す菅義偉官房長官=14日午後、東京都港区

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(10月2日放送)に元内閣官房副長官補・同志社大学特別客員教授の兼原信克が出演。菅総理が安倍前総理を訪問したニュースを受け、安倍政権が築いた日本の外交について解説した。

安倍晋三首相(左)に花束を渡す菅義偉官房長官=2020年9月14日午後、東京都港区 写真提供:産経新聞社

菅総理が安倍前総理を訪問

菅総理は10月1日、衆議院議員会館にある安倍前総理の事務所を訪れ、安倍氏とおよそ10分間会談した。菅総理は各国首脳との一連の電話会談の結果を報告し、10月中旬にベトナムとインドネシアを訪問することを計画していると伝えたということである。

飯田)菅さん、ぶら下がりのなかで、「いろいろな人に晋三はどうしている、元気かと聞かれたのです、と報告しました」と答えていたようですが、それだけ大きな存在だったのですね。

兼原)安倍総理はASEANには何十回も出席しています。ASEANなどは町内会みたいな感じになっていました。トランプさんとも、本当にお友達付き合いみたいな感じでした。8年もやっておられると、体育会と一緒で、首脳も長くいるほど偉いのですよ。4回生5回生6回生みたいな。安倍総理ほどの8回生になってしまうと、メルケルさん以外いませんから。

飯田)そうですよね。

兼原)そうなるとみんなの先輩という感じになってしまうのですよね。長くやっている方が強くて偉いのです。

安倍晋三首相の辞任表明を報じる29日付の中国各紙=2020年8月29日 北京 写真提供:産経新聞社

よく考えられた安倍外交~大切なASEANとの関係

飯田)菅総理は10月中旬にベトナム・インドネシアを訪問しますが、これが第2次安倍政権発足直後の動きと同じだと指摘する向きがあります。

兼原)そうですね。安倍外交はよく考えられた外交なのです。安倍総理や中曽根総理など、自分のフィーリングで外交できる人がいるのです。政治感覚がよくて、バランスを取れる人たちです。中国は突然大きくなってしまったのですが、アメリカ、ヨーロッパ、G7といういつものお友達。これに最近、豪州とインドを入れた日米豪印。それとASEAN。ASEANはインドネシアの人口3億人、ミャンマー、タイ、ベトナム、フィリピンが数千万人です。

飯田)同じくらい。

オンライン形式で開かれたASEAN地域フォーラムの閣僚会議=2020年9月12日午前、外務省(代表撮影) 写真提供:共同通信社

ASEANからの留学生の9割がベトナム人

兼原)同じくらいの規模で、これにマレーシアが半分。そして頭のいいシンガポールと。この辺との関係を良好にすることが大事です。そのなかでいちばん大きいのはインドネシアです。あとはフィリピン、ベトナム、タイ、ミャンマーの順番で西へ行きます。ベトナムは日本の技術留学生のトップなのです。中国人より多い。

飯田)受け入れている国の。

兼原)留学生の数はもうすぐ中国を抜きます。中国が嫌いなので、中国には行きません。大乗仏教でお釈迦様、観音様の国ですから、日本に来ると安心するのだと思います。

飯田)社会主義ですが、宗教を全部否定したわけではないですものね。

兼原)ASEAN全体の留学生の9割がベトナム人なのです。圧倒的にベトナムは日本が好き。

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」

今後、大国になる可能性の大きいベトナム

飯田)一方で中国とも戦争し、アメリカとも戦争したというものすごい国ですよね。

兼原)あの国は8世紀くらいに独立してから1度も負けていないのです。元寇も押し返した、フランスにも勝った、アメリカにも勝った。絶対に負けないというのが彼らのプライドなのです。すごい人たちですよ。ベトナム戦争で300万人死んでいるのです。日本も太平洋戦争で300万人ですから。でも彼らは10年やって勝ったのですよね。あの根性はすごいですよ。

飯田)やはりその辺はASEANのなかでも一目置かれている。

兼原)筋金入りですね。

飯田)なるほど。中国に対してというのも。

兼原)ベトナム戦争が終わったときに米中国交正常化があって、中国が後ろからベトナムを刺したのです。5万人殺したのです。ですが5万人殺し返したのです。押し返したのです。根性の入った国ですから、大国になりますよ。

陸上自衛隊と米陸軍が実施したサイバー競技会で、問題に取り組む陸自隊員ら=2019年8月22日、防衛省 写真提供:時事通信社

周回遅れの日本がファイブアイズに入っても恥をかくだけ

飯田)ASEAN外交、東南アジアというところも含めて、アジアに関しては、「自由で開かれたインド太平洋」というスローガンがあると思います。アメリカやヨーロッパに対してなのですが、最近、ここでキーワードとして出て来るのが、アングロサクソン系の機密情報保持の仕組みの「ファイブアイズ」です。そのファイブアイズに入らないかと、ジョンソンさんも誘っているというようなことがニュースに出ていましたが、どうなのですか?

兼原)もともと日本がナチスとやったときは、暗号解読の協力だったのですね。

飯田)もともとそうなのですか。

兼原)通信系の他に。007ではないのです。

飯田)ファイブアイズというと、「スパイの連合に入るのか」みたいな。

兼原)それは違います。どちらかというと、暗号は天才がいないと解けないので、それで協力しあっていたのです。

飯田)それで情報を共有しておく。

兼原)最近はそれにサイバーが入っているのです。通信系が中心ですから、それでサイバー協力になるのです。

飯田)なるほど。このファイブアイズというのはサイバー協力の方の仕組みなのですね。

兼原)サイバーは通信がメインです。日本は2~3周遅れているので。オリンピック選手と国体選手みたいなところがあります。

飯田)日本は国体選手ですか。

兼原)もう少し頑張らないと「オリンピックは無理だよ」という感じがあるのです。まだ努力しないといけません。いま自衛隊や警察、あと内閣官房のNISCというサイバーセキュリティセンターがあって、一生懸命やっているのです。頑張って追いついて足腰をきちんとしないと、入れてもらったのはいいけれど、先頭集団からどんどん遅れますということでは、恥ずかしいので。これは本当に頑張らないといけないと思います。

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