伝説のカレー店『早稲田メーヤウ』復活にこぎつけたファンの熱意
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2020年11月6日 5時40分
それぞれの朝は、それぞれの物語を連れてやってきます。
ホテルやスイーツブランドがクリスマスケーキの予約をスタートし、デパートや料亭では、おせち料理の予約を始めています。郵便局からは、年賀はがきの購入申込書が来てしまいました。年の瀬がグングン迫っています。
年賀はがきと言えば、淋しいことにここ数年、喪中の年賀欠礼のはがきが増えました。それだけではありません。「年を取るってこういうことなんだなあ」と最近つくづく感じるのは、若いころから通い詰めていた店の閉店! 大好きだったメニューとの別れです。
味覚のふるさとの崩壊とでも言うのか、相当にショックなものです。
さて、早稲田大学近くの小さなカレー屋さん『早稲田メーヤウ』が、およそ20年の歴史に幕を閉じたのは、2017年3月25日のことでした。店内は現役の学生だけでなく、卒業してからも10年、15年と通い続けた『メーヤウ』のファンでいっぱい!
ラストオーダーを取った後、当時の店長・高橋忍さんが挨拶をしました。
「学生さんと一緒に、私もメーヤウを卒業します!」
店内には大きな拍手が起きて、誰もが最後のカレー皿を見つめながら、自分の青春の1ページに静かな別れを告げていたと言います。
メーヤウとは、タイ北部の片田舎にある村の名前。『早稲田メーヤウ』の味の原点は、その村のスパイスにあると言われています。
『早稲田メーヤウ』のカレーの特徴は、とにかく辛い、激・激・激辛! その辛さは、10種類以上のスパイスを独自に配合した結果だそうです。しかし、辛さの奥から伝わって来るのは、何とも言えないうま味。そのうま味には習慣性があるのだとか。
ランチで食べて「辛い、辛い」と泣いたはずなのに、夜にはまた食べたくなるという、とにかく恐ろしいほどに辛くてうまいカレーのようです。
『早稲田メーヤウ』の名物は、もっとも辛い「チキンカリー」。もともと辛いこのカレーを、さらに店の限界まで辛くしたカレーは、サークルの先輩が新入生に食べさせる「洗礼の儀式」に使われました。
ランチにこのカレーを食べると、午後の授業に出る戦意を喪失してしまう。学生たちは、この状態を「整う」と表現したと言います。
「整う」……一切の煩悩や雑念が清められ、解脱したような状態でしょうか? それは、授業どころではなくなるかも知れません。
早稲田の卒業生で、現在はIT関係の会社に勤めている高師雅一さんは、33歳。サークルの先輩に『メーヤウ』のカレーで洗礼を受けた1人です。
「最初は辛いばっかりで涙が出ました。変な汗をかいて授業どころではない。けれど、ふと気がつくと、あのカレーが欲しくなっているのです。でも他では食べられないし、自分でもつくれない。病みつきになるカレーです」
こう振り返る高師さんは、卒業してからも『メーヤウ』に通い続け、これまで優に1000食は食べて来たそうです。そのため、閉店を知ったときはショックで頭のなかが真っ白になり、言葉も出なかったと言います。
そんな高師さんのスマホが鳴ったのは、2018年夏のこと。見れば、ビデオ通話の画面に知らない女性の顔がありました。高師さんは訊いたそうです。
「どちらさまですか?」
「いえ、そちらからかかって来たのですが」
間違い電話かと思って切ろうとしたとき、高師さんはハッとしたそうです。
「もしかして、メーヤウの店長さんですか?」
「そうですけど……」
「と、とにかく一度だけ会って、話を聞いてください!」
ツイッターを見た以外、元店長である高橋忍さんの電話番号も知らないのに、なぜビデオ通話がつながったのか? それは、いまだに謎だそうです。
実は閉店して以来、高師さんは高橋忍さんにSNSで「店を継がせて欲しい」とお願いしたことがあるそうです。しかし、元店長の返事はNO。「もう、メーヤウは復活しません」というものでした。
この話が、奇跡のようにつながったビデオ通話から再燃。高師さんは、カレーの価格、立地、調理の一部機械化など、練りに練った経営計画プランを提示。この熱意が高橋忍さんを動かしたのです。
そして2019年、ついに新生『メーヤウ』が準備に向けて走り出しました。復活のためのクラウドファンディングを実施すると、全国から早稲田の卒業生をはじめ、300人以上の支援が集まりました。
今年(2020年)の7月、復活オープン当日は100人の『メーヤウ』ファンが大集合! なかには感激のあまり、店の前で泣きくずれる女性もいたと言います。
現在はテイクアウトとレトルトに限った営業ですが、評判は上々。代表についた高師さんは言います。
「なくなって悲しいものがあったら、復活させればいいんですよ」
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