日本学術会議問題~中曽根答弁だけで「ルール違反だ」とするのはいかがなものか
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2020年10月13日 11時35分
会談に臨む立憲民主党・安住淳国対委員(左)と自民党・森山裕国対委員長=6日午後、国会内
ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(10月13日放送)にジャーナリストの有本香が出演。日本学術会議問題について解説した。
日本学術会議の任命拒否について、杉田官房副長官が拒否の判断に関与との報道
菅総理大臣が日本学術会議の会員候補6人を任命しなかったことについて、除外の判断に杉田和博官房副長官が関与していたと、複数メディアが報じている。
中曽根答弁だけで「ルール違反だ」とするのはいかがなものか
飯田)日本学術会議側が推薦リストを提出し、それを総理が任命する。「その任命というのは拒否することができないのだ」と言う方もいらっしゃる。その感覚でいると、「今回の措置は違法だ」というようなことまで出て来る始末ですが、どうご覧になりますか?
有本)一部では、「法を踏み越えて任命拒否をした」という感じで伝えられていますが、「そんなはずはないでしょう」ということです。最初からこのことに対して激しく嚙みついていたのは、日本共産党の機関紙の赤旗ですが、そもそも違法であるという根拠は何かと言うと、1983年の中曽根答弁です。その前もいろいろなことがあったのだけれども、「政府が行うのは形式的な任命に過ぎない」と答弁したと。「そんなことでやって行きましょうよ」ということだったのだけれども、この曖昧な答弁1つをもって、「だからルール違反なのだ」とするのは、問題ではないでしょうか。
推薦した人物が「好ましからざる人物」であった場合、総理大臣が任命拒否できなくてどうするのか
有本)今回はそのようなケースではありませんが、学術会議側からの推薦は、事実上もうこれは各学会の推薦になっているわけです。例えば、誰かを推薦して、その人物にスキャンダルが見つかったという場合はどうするのですか、ということになるわけです。これは難しいところなのですが、ご本人の思想的な自由というところは当然担保されますが、その政治思想のようなものが、逆に学術会議での活動に、何か強烈な影響を与えるということになると、これも問題なわけです。かなり過激な政治的行動を取っていた人が仮にいるとします。例えば公安がマークしているとか、いろいろな団体との付き合いみたいなもので、「好ましからざる人物」ではないか、というようなことになったときに、行政のトップである総理大臣に、任命拒否ができなくてどうするのですか、ということです。
「学問の自由が脅かされる」ということではない
飯田)ただ任命するのではなくて、特別職の国家公務員を任命する形ですから、税金も動くと。
有本)ようやく国民にもわかるようになったわけですけれども、年間10億超のお金が費やされているのです。「学者には、学者の世界でしかわからないこともあるのだ」というようなことを言う人もいますが、それはまったく当たらないことです。今回の問題は、学術会議と直接関係のないような人たち、特定の政党の政治家、または機関紙等々が、「これは違法に任命拒否をしたのだ」というような難癖を付けた。この辺からして筋が悪い。これは「あいちトリエンナーレ」の件と似ていて、これによって、学問の自由が脅かされるという話になっていますが、まったく関係ないですね。
飯田)かなり大きな話に飛んでしまっている。
有本)日本学術会議は学問をする場ではなく、学識者が集まり、それによって政府に提言をする場です。とても学術会議というようなアカデミックな機関について、ものを言う人たちとは思えないほど非論理的なことを言って、既得権を守ろうとしている。この筋の悪さですよね。
「リセットする」という話が出るのは当然
有本)それから学問の自由ということで言うのであれば、「軍事研究はしません」というような宣言をすることによって、むしろ学問の自由を学術会議側が歪めてしまったという経緯がある。それでいて、他国の研究には協力しますよと。利敵行為になりかねない。日本の安全をも脅かしかねない。こういう状況にあるのであれば、「リセットしましょう」という話が出るのもむしろ当然ですね。
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