日本が北朝鮮に対して取るべき「2つの選択」~「新たなミサイル」と「拉致問題」
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2020年10月13日 17時35分
11日、北朝鮮・平壌で開催された朝鮮労働党政治局会議で話す金正恩党委員長(朝鮮中央通信=共同)
ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(10月13日放送)にジャーナリストの有本香が出演。北朝鮮が行った軍事パレードに対して、加藤官房長官が「新たなミサイルには、従来の装備品では対処が困難だ」と語ったニュースについて解説した。
加藤官房長官が北朝鮮の軍事パレードについて「従来の装備品では対処が困難なものもある」と述べる
加藤官房長官は10月12日の記者会見で、北朝鮮が10日に行った軍事パレードに関して、「詳細は分析中」とした上で、「新たなミサイルには従来の装備品では対処が困難なものもある。総合ミサイル防空能力の強化に取り組みたい」と述べた。
飯田)10日の深夜に平壌で北朝鮮の軍事パレードが行われました。
有本)これに関して日本政府は、「詳細は分析中」としていますが、加藤官房長官がおっしゃっていたのは、ICBMと、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)である可能性のものが公開されたということです。いろいろな経緯はありましたが、北朝鮮がミサイル開発を行った四半世紀の間、日本は座視していたようなものです。
飯田)そうですよね。
「抑止をどうするのか」ということを議論するべき
有本)日本の技術がいろいろな形で北朝鮮に流れていたということは、既に報道されていて、いくつかの案件が指摘されています。北朝鮮という貧しい国に、自国を脅かすような力を与えてしまった25年間、これを日本は大いに反省すべきです。「従来の装備品では対処は困難である」ということを政府がはっきり言っているのですから、悠長なことを言っている場合ではありません。例の陸上イージスをやめて、イージス艦で対処するかどうかも含めて、明確な議論を国会ですべきです。少なくとも、北朝鮮が持っていると言われるものについての対処型については、はっきりさせるべきでしょう。
飯田)従来の装備品だと、飛んで来るミサイルに対してどう守るかだけれど、飛ばさないようにするにはどうすればよいのか……。
有本)抑止をどうするのかという議論をすべきですよね。そこで怖がっていては前に進みません。
飯田)そのためには法律なりを整備する。あるいは憲法が障害になるのであれば、いったいどっちが大事なのだと。国民の人たちを……。
有本)国民の命を守れない憲法を守ってどうするのだという話です。
移動式発射台付のICBMと潜水艦発射弾道ミサイル~日本は速やかに対応法を議論すべき
有本)北朝鮮の兵器について言うと、ICBMだと言われていた「火星15型」が登場した。ただし、以前は移動式発射台がなかったのが、移動式発射台が開発され、片側が9輪であったのが11輪に大型化されています。どんどんバージョンアップしています。それと、先ほど申し上げた潜水艦発射弾道ミサイル。これができたのではないかということです。これらは即、日本にとっての脅威になる存在なのです。
「米国派」と「人民解放軍派」の争いか
有本)そのような新たなミサイルが日本にとっての大きな脅威だということ以上に、その背景にある政治的なことがむしろ重要ではないかと言っている北朝鮮ウォッチャーもいます。金正恩委員長の弱々しいコメントが発表されたり、金与正氏の存在が見えないということも注目されています。
飯田)涙ぐんでいるようにも見えました。
有本)平壌の奥の院では、米国派と人民解放軍派の間で深い対立があるということも言われています。今回のパレードに関しては、人民解放軍派が強烈に自己主張した結果ではないかと。つまり、中国が後ろにいるのだと言っている識者もいます。ですから、パレードに登場した兵器については、日本側は速やかにどう対応するかという実質的な方向性を出すべきだと思います。
飯田)なるほど。
拉致問題を解決するチャンス
有本)それと同時に、北朝鮮のなかで、どのような政治闘争が起きているのか。これは南もそうなのですが、朝鮮半島というのは、常にどちらの大国につくかということで、内輪争いを始めるのです。これが何千年も続いて来たキーワードです。いま、米国派と人民解放軍派で争っているという面があるのであれば、ある意味、それは日本にとってのチャンスなのです。
飯田)なかが崩れかかるところで、当然弱くなって来る。そこで我が国としては、拉致被害者を奪還しなくてはいけない。その辺の糸口が見つかる可能性が出て来る。
有本)政治的に可能性が出て来ます。指導者が弱くなって来ているというところで、近い将来に大きな混乱があることも予想されます。クーデター説ということも、何度か言われています。それだけの状況が見えているのであれば、「拉致被害者を返せ」という政治的な交渉をもう少し前に進められないかということです。
飯田)交渉なり、工作なりと。
有本)本来であれば工作すべきなのですけれど。
飯田)茂木外務大臣が今度モンゴルに行くという話があります。ウランバートルというところは情報の結節点でもあると言われています。
有本)モンゴルは北朝鮮と近いですからね。
飯田)かつて横田滋さんと早紀江さんがお孫さんと会ったのがモンゴルでした。
朝鮮総連を解体するべき~そうしなければ違う局面は見えない
有本)日本政府は日本にとっての善意の第三国に対して、北朝鮮拉致問題に一層の協力をお願いするという姿勢には出ています。総理も拉致問題に関しては、何としても解決したいという意思をはっきりと示されています。ただ、いままでのようなことを繰り返しても、解決には結びつかない。いま、向こうがそうした政治的局面が崩れかかっている、または対立が深くなっているのであれば、そこにどのような工作を入れるかということです。
飯田)歴史的な経緯から見れば、アメリカからの圧力が強まった状態というのが、いちばんものが動くようにも見えますが。
有本)そうでしょうね。
飯田)そうすると、日本としても圧力の部分をきちんとかけて行く。
有本)そうですね。ですから日本国内のかつての協力者ですよ。これをきちんとあぶり出す必要があります。拉致の実行に関わった人は、もしかすると時効になっているのかも知れませんし、関係者には亡くなっている人もいるというようなことも聞きますが、それでも情報を国民の前に公開すべきです。それから朝鮮総連の存在です。これをどうするのか。政権としては、朝鮮総連を解体する方向に決断することを望みます。そうでなければ、違う局面は見えて来ません。
拉致問題を解決するのならば、日本国内や周辺にいる関係者に強い圧力をかけるべき
飯田)さまざまな情報の面もそうだし、お金の面もそうだし、いろいろな橋渡しになっていたということは、国連の調査でも出て来ていることです。
有本)はっきりしていますからね。ところがここに対してまったく手が入らないということは、これは実際にワシントンにこの拉致問題で行かれている国会議員の方から聞きましたけれども、アメリカ側は「なぜ日本はそこに制裁をかけないのだ」と、日本国内の関係者に対して、驚いたように言っています。普通に考えたらそれはそうです。国民が拉致されている、しかも、認定されている拉致被害者以外に、何人が拉致されているかわからないわけです。このことを一刻も早く解決したいと思うのならば、当然、日本国内や周辺にいる関係者に強い圧力をかけることは当たり前の話です。
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