北朝鮮による拉致被害者家族の「この18年」~横田拓也
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2020年10月15日 17時40分
ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(10月15日放送)にジャーナリストの鈴木哲夫が出演。北朝鮮による拉致被害者が帰国して10月15日で18年となる。「北朝鮮による拉致被害者家族連絡会」事務局長の横田拓也さんに電話をつなぎ、拉致被害者家族の18年間について訊いた。
北朝鮮による拉致被害者の帰国から18年
北朝鮮による日本人拉致被害者の方々が、2002年に日本に帰国を果たして10月15日で18年となった。今後の北朝鮮との交渉について菅政権は、「条件を付けずに会う」と発言している。
飯田)拉致被害者、横田めぐみさんの弟で、「北朝鮮による拉致被害者家族連絡会」事務局長の横田拓也さんと電話がつながっています。横田さん、よろしくお願いします。本日(10月15日)で18年が経つということです。ご自身、どうご覧になっていらっしゃいますか?
横田)5人の拉致被害者の皆さんが帰国できたことは素晴らしい事実だと思うのですが、一方で私の姉・めぐみが13歳のときに日本国内から強制的に拉致されてから、43年間も国家が何もできないということは異常なことだと思います。
飯田)「誰の身にも起こったことだと想像してください」と横田さんは繰り返しおっしゃっています。この18年間で、日本国内の雰囲気は変わりましたか?
横田)親の世代が活動していたころ、この問題はまったく認知されていなかったのですが、現在は日本国内の世論のご理解は深まっていますし、国際社会でも大きく認知されているので、そこの部分では大きく前進していると思います。ただ、その長い時間のなかで親世代が他界した事例がいくつもあり、時間の残酷さを肌で感じる次第です。
親の世代が亡くなって行く
飯田)お父さんの滋さんも亡くなってしまいました。ご自身の身にもそういうことが起こって来たということにも、時間の長さを感じますか?
横田)有本さんのお母さんとか、私の父とか、高齢の方々が1人ひとり戦いの前線からいなくなるということは、とても寂しいことです。横田家で言うと、めぐみに会うことを楽しみにしていた父が会えなかったということは、本当に残念でなりません。
飯田)政権も代わりましたが、総理とはお話しになりましたか?
横田)先日、菅総理と総理官邸で面会させていただきました。そのときに私の隣に母が座っていて、その正面に菅総理がお座りになっていました。私は「母を目の前にして言うのは何ですが」と断りを入れた上で、「父が他界したのが87歳で、母がいま84歳ですから、仮に姉が帰って来たときに母が他界しているようなことがあっては、本当の喜びは味わえないので、本当に強い外交、具体的な交渉を進めて欲しい」ということを菅総理にお伝え申し上げました。
外野の声ではなく、当事者の声を中心にこの問題の本質をマスコミには取り上げて欲しい
鈴木)私たちマスコミに対しての思いや考えがあれば教えてください。
横田)報道で1つでも多く取り上げていただきたいということが本音です。我々当事者は、全拉致被害者の即時一括帰国だけを望んでいるということを要求水準として挙げていますが、それ以外のことを外野の方々がおっしゃるときがあります。そういう外野の声を取り上げないで、私たちの声を中心に、「この問題の本質は何だ」ということを取り上げていただきたいということが、報道に求めたいところです。
鈴木)私たちも訴え続けて来て、無力感を感じているのです。「でも私たちはやり続けるのだ」ということをもう一度、ここで覚悟しなくてはいけないと思います。そういうことですよね?
横田)18年経過しているとなると、いまの若者たちはリアルタイムでこのことを知りません。考え方の左右ということを別にして、報道で取り上げていただくことが、認知を深めることにつながるので、一文字でも一行でも多く書いて欲しいと思います。
飯田)めぐみさんが13歳で拉致されたということを考えると、自分の身や自分の子供や孫に同じことが降りかかってもおかしくないという出来事、そしてその国がそのままいまも同じ形で統治体制が存在しているということですよね。
横田)親子3代、人が変わったと言っても、やっていることは独裁政権なので、そこにある人権侵害、拉致被害者のことが変わらないということはいまも同じですから、そこはもう日本国、世界が一丸となって改革に臨んで欲しいと思っています。
飯田)いまの北朝鮮の体制に対してはどんな思いをお持ちですか?
横田)彼らは彼らなりに、やらなくてはならないことはたくさんあるのでしょうけれど、国際社会、特に日本と対話をしなければならないというのは、彼らもわかっていると思います。それには人権問題、拉致問題を解決しなければ、米朝の問題、日朝の問題も進みません。そこを金正恩委員長によく判断して欲しいと思います。
日米の提案を受け入れるという英断をすることが金正恩委員長の仕事
飯田)アメリカのトランプ大統領は、この拉致問題に非常に心を寄せてくださっているという話もあります。実際にお話しになって、お感じになったことはありますか?
横田)この問題は人権の問題なので、「北朝鮮のやっていることは悪いのだ」ということは認識されていましたし、トランプ大統領をはじめ、過去の大統領はみんな同じことを思っています。それを受け切れない北朝鮮側に問題があると思っています。アメリカも日本も、明るい未来を描けるのだということを伝えているので、そこをどれだけ英断できるかということが、金正恩委員長の仕事なのかなと思っています。
飯田)アメリカの歴代政権も「同じ思いだ」とおっしゃいました。ということは、前政権の副大統領だったバイデンさんになっても、ここは変わらないだろうということですか?
横田)政権としては、いまの共和党よりも強い北朝鮮政策を取るというようなことも言われていますけれども、人権問題に関しては、党は関係なく、皆さんこの問題に向き合ってくださっているので、そこは大きくぶれることはないと信じています。
めぐみが日本に帰って来て、家族と抱き合って再会できる日を期待して欲しい
飯田)18年が経ってしまいました。最後に、ラジオをお聴きの方にメッセージをお願いします。
横田)本当にめぐみが日本に帰って来て、家族と抱き合って再会できる日を期待して欲しいし、それを日本政府に一声でもいいから伝えて欲しいと思っています。
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