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田崎史郎氏「経産省の力が落ちてきているので決断できた」……菅首相『排出量50年ゼロ』宣言を分析

ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2020年10月27日 16時50分

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政治ジャーナリストの田崎史郎氏は10月26日、ニッポン放送「辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!」に電話出演し、この日菅総理大臣が臨時国会で初めて行った所信表明演説について解説した。

2020年10月26日、所信表明演説を行う菅総理~出典:首相官邸ホームページ(https://www.kantei.go.jp/jp/99_suga/actions/202010/26shu_san_honkaigi.html)

菅首相所信表明 『排出量50年ゼロ』宣言

辛坊)首相の所信表明演説をお聞きになった印象はどうですか?

田崎)政権としてしっかりした柱が出来たという感じがしますね。携帯電話の料金とか訴えているのですけれど、2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにするとここに宣言しますと。そういうふうに菅総理が発言されたのですね。菅政権になってから携帯電話や不妊治療などの、特別必要とされる政策を打ち出してきたのですけれども。2050年までにという期限についてもヨーロッパ並みなのですけれど、温室効果ガスあるいは温暖化ガスといわれるガスの排出率をゼロにすると。ある意味で国家目標を定めたのですよね。

辛坊)こないだ確か、中国の習近平さんか誰かが2060年くらいまでにゼロにすると発言されていましたね。

田崎)そうです。

辛坊)そのときに日本の新聞で、中国の習近平が2060年までに数値目標を出したのに日本は出していない、と批判した新聞がありましたよね。

田崎)ええ。それをはっきりと出して、2050年までにいろいろな日本の社会も経済も変わっていかざるを得ない。我々だと、暖房費や電気代を使わないために、住宅を建築する際に断熱効果の高いものにしなければならないとか。あるいは電気自動車や食品ロスをなくすとか。企業では石炭火力などを使わないようにしていくと、だいぶ変わらざるを得ないですよ。

辛坊)ただ、そう然りながらですけれど、菅政権が2050年まで持つはずもないわけで、そうすると今回所信表明演説で数値目標を掲げましたと、掲げましたは良いけれどそれを誰が実現していくのか、どのくらいそれは未来に拘束されるのですかね?

田崎)国としての約束になりますから、菅総理個人というよりも、むしろ海外から注目されている話なのですよね。日本としては2050年までにということが内外に知られるわけで、このあとそれに向けて、これから続いていく政権がやっていかざるを得なくなると思います。

辛坊)となると、これは単なる口約束ではなく、世界に宣言した形になるのでそこを目標に何らかをせざるを得ないと、そういう意味では非常に大きい話ではありますよね。

田崎)そうです。

菅内閣が発足  記者会見する菅義偉首相=2020年9月16日午後9時2分、首相官邸 写真提供:共同通信社

「これは安倍政権ではできなかった」と閣僚

辛坊)当然、田崎さんが新聞の編集長なら、26日の夕刊か27日の朝刊は一面トップに持っていきますか?

田崎)そうですね。それで、菅さんは小さい話が多いではないかと批判があったのですけれども、これが国家目標になっていくとなると非常に大きな目標、安倍総理のような憲法改正とか一億総活躍社会とか、いろいろ打ち出されましたけれど、それとはまた違う菅さんなりの目標を打ち出したわけですから。

辛坊)そうですね。今までのところ、携帯電話料金の引き下げなど。それから今回は所信表明にもかなり具体的な話がたくさんあって、携帯電話だとか不妊治療を健康保険でやるといったような話も出てきましたけれど。この手の話は、菅さんが総理大臣になってから2人目に会った民間人の竹中平蔵さんあたりが常に言っている「アーリースモールサクセス」といった、とにかく早い段階で小さな成功談を重ねていくというところのラインに沿ったものだと思いますけれど。

同時に批判がこの1か月くらいに起きていたのは、大きな国家目標のようなものがなくて、ちまちまと総理大臣がいうには公約が小さすぎると言われていたのですけれど、これで一発払拭したいというところがあったのだろうと、私も思うのですけれどね。それでいうと安倍さんあたりの、憲法改正であるとか集団的自衛権の一部行使可能であるとかは、重要な国家目標ではあったのですけれど、これって口にすることによってある一定の敵を確実に作るという政策だったのです。ただ、2050年までに温室効果ガスの排出をゼロにするというのは、一部の原発推進保守派の方々は懐疑的に見るかもしれませんが、おおむね右も左も、比較的左派色の強いところも含めて、歓迎してNOという反対がないという意味では、いいところの戦略を見つけてきたなというところですね。

田崎)はい。先日私も菅さんとお話したのですけれども、前政権からのずっと課題で、菅さんの判断としてはいつかやらざるを得ないのだと。日本はある程度整ってからではないとなかなか打ち出せない。しかしここでいま打ち出して、それを目標に2050年に向けて頑張っていくのだと、そういう発想ですね。私はやはり官邸の中で経産省の力が落ちてきているので、こういう決断ができるようになったという話ですね。

辛坊)実際問題として2050年までに温室効果ガス排出ゼロにするというのは、いうのは簡単ですけれども、安倍政権で経産省の官僚の方々が強かった段階においては、やはりエネルギーの基本は本音のところで原発に置きたいという思いがありますし、火力発電もそんなに簡単にやめられるはずがないだろうという思いもあるので、前政権ならこのタイミングでここまではっきりいえていなかった可能性はありますよね。

田崎)そうです。閣僚の方と話していても、これは安倍政権ではできなかったと閣僚はいいましたね。

辛坊)なるほど。ぶっちゃけ、前政権で経産省の方って、今井さんや佐伯さん、長谷川さんですね。

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