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「大阪市を4分割で218億円コスト増」報道~報道を「事前に知っていた」人がいる可能性も

ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2020年10月28日 17時35分

「大阪市を4分割で218億円コスト増」報道~報道を「事前に知っていた」人がいる可能性も

大阪都構想の住民投票をめぐりコスト議論が紛糾している。27日には制度設計を担った大阪市の担当部局などが緊急記者会見を開き、「人口約270万人の大阪市を単純に4市に分割した場合、標準的な行政サービスにかかるコストが毎年度約218億円増加する」との一部報道により「市民に誤解が生じている」として「特別区に移行した場合の数字ではない」と異例の説明を行った。都構想の財政議論は複雑なため、正しい理解による判断を呼びかけた格好だ。会見する大阪市財政局長(右)と副首都推進局長

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(10月28日放送)に数量政策学者の高橋洋一が出演。毎日新聞が掲載した「大阪市を4分割すると218億円コスト増になる」という記事について解説した。

市分割コスト報道で大阪市の緊急記者会見=2020年10月27日 写真提供:産経新聞社

「大阪市を4分割で218億円コスト増」という報道に大阪市が「誤解が生じている」と主張

10月27日、大阪市の担当部局などが緊急記者会見を開き、「大阪市を単純に4つの政令都市に分割した場合、毎年度約218億円のコストが増加する」という一部報道により市民に誤解が生じているとして、異例の説明を行った。

飯田)大阪の紙面では毎日新聞が最初に1面トップで報じていました。東京の紙面では25面の社会面でした。都構想を巡り行政コスト増。大阪市を4つの自治体に分割した場合、標準的な行政サービスを実施するために毎年必要なコスト、基準財政需要額の合計が現在よりも、およそ218億円増えることが市の財政局の試算で明らかになったということです。こんなにお金がかかるのかと、大阪では大騒ぎになっているようです。

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」

1つの自治体を4つの「政令市」に分割すればコストは増えるが、「特別区」ならば同じ

高橋)そういう記事ですよね。財政の専門家であれば、これはすぐにミスリーディングだとわかります。制度で、1つの自治体を4つの政令市に分割すれば、基準財政需要額が自動的に増えるというのは明らかです。

飯田)4つの政令市に。

高橋)政令市に分割すれば、「人口補正」というのがあり、基準財政需要額が必ず増えるということは、財政を行っている人ならば、即答できます。ただし、4つの「特別区」に分割する場合は、基準財政需要額は同じということも制度としてそうなのですぐにわかります。その意味でこの記事を見た瞬間に、これは少し違うと思いました。この新聞では、「4つの自治体に」と曖昧に書いてあります。

飯田)そうですね。書き出しで、「大阪市を4つの自治体に分割した場合」と書いてあります。

政治 2020大阪都構想住民投票 期日前投票 新型コロナ対策をとりながら実施=2020年10月13日午前、大阪市中央区 写真提供:産経新聞社

住民投票前にこれまでと違う試算を出すことはあり得ない

高橋)これは曖昧に書いてあるので、誤解を招きます。ポイントは市財政局の試算だということです。その後に、「松井市長はこれを知らなかった」と言っているので、あり得ないことです。住民投票の直前に、このような異なった試算をマスコミに流すということは、公務員としてはしません。

飯田)ミスリーディングを呼びそうな試算ということですね。

高橋)通常ならば、このタイミングでやるなら、きちんとした手続きがなければなりませんし、手続きがあったら、住民投票の前なので行いません。

飯田)予断を与えてはならないということですか。

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」

市財政局がメディアに試算を出すことは通常あり得ない~松井市長も知らなかった

高橋)これまでの情報公開の話でしかやりません。これを市で行ったということに、すごく違和感があります。おまけに、この報道が出る前の日の大阪の番組で、共産党の方が「218億円があるけれども」ということで松井さんと議論しています。

飯田)「218億円高くなってしまうではないですか」ということですね。

高橋)松井さんは当然知りませんので、「その試算はどこですか?」と言って議論になっています。これは少しおかしいですね。こういう報道を事前に知っていた人がいる可能性がある。更に大阪市から出た話なのに、市長は知らなかった。すごくミステリアスな話です。

飯田)メディアが独自に試算するというのであればわかるのですが、公に試算を頼んで出してくれるというのが、「そんなことあるのか?」と思いました。民間のシンクタンクに頼むというのであればわかりますが。

高橋)これは大阪市ですよね。

飯田)大阪市の財政局ということならば、予算に関して、財務省に「すいません」と言って試算を出してもらうようなことですよね。

高橋)そんなことはやらないです。

飯田)そうですよね。驚きました。確かに大阪市のホームページに、説明の見解が出ています。「複数の報道機関から財政局に対し、大阪市を4市に分市した場合の基準財政需要額と大阪市の基準財政需要額の比較について試算作成の依頼があった。機械的に作成し、提供したものだということです。大阪市を4つの政令市に分割する簡略な方式で試算したもので、今回の特別区の制度設計の内容に基づいたものではありません」というように書いてあります。

高橋)これは混乱を起こすだけです。おまけにこうしたときに市長が知らないというのはおかしいですよね。

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