いま「日本のワイン」が熱い! 知っておきたいその特徴と、美味しいワインの見分け方
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2020年10月30日 11時30分
山梨大学ワイン科学研究センターの柳田藤寿教授が、上柳昌彦アナウンサーがパーソナリティを務める、ラジオ番組「上柳昌彦 あさぼらけ」内コーナー『食は生きる力 今朝も元気にいただきます』(ニッポン放送 毎週月・金曜 朝5時25分頃)に出演。ブドウ・ワイン・乳酸菌などを用いた様々なヒット商品の開発をするほか、ワインコンクールの審査員も務める柳田教授に、日本のワインを支えるブドウ「甲州」や、日本ワインの特徴、おいしいワインの見分け方などを聞いた。
日本ワインの歴史は浅いが、この10年で世界的に評価されるレベルに達し、近年ますます注目度が上がっている。柳田教授によると、10年前までワイナリーの数は200ほどだったが、ここ4〜5年で100以上も増え、改めてワインブームを実感しているという。国際コンクールでも日本ワインの入賞が相次いでいるが、この背景には日本固有のブドウ品種「甲州」の存在があるという。
■世界に誇る日本固有のブドウ品種「甲州」
柳田:日本の独特な白ワイン用の品種で「甲州」というブドウがあります。
上柳:濃い紫色をしたブドウもありますが、この甲州ブドウは淡くて薄い色をしたブドウですね。(実食してみて――)うーん! おいしいですね!
柳田:甲州ブドウは昔、生食用として売られていたのですが、最近はシャインマスカットなど皮も食べられるおいしいブドウが出てきたので、今はどちらかというとワイン用に変わってきました。
上柳:ああ、そうだったんですね。
柳田:甲州ブドウを使った日本のワインが世界に認められたこともあり、日本のワイン生産量はずっと右肩上がりです。2010年に世界の「国際ぶどう・ぶどう酒機構」というところが、この甲州ブドウを世界的なワイン用の品種として認めたんです。
上柳:はい。
柳田:つい最近、10年前くらいのことです。それ以降、日本のワイナリーはこの甲州ブドウを使い、オリジナリティをもって世界と戦っています。さらに、世界ソムリエコンクールで日本の田崎真也さんが1位になったこともあり、この甲州ブドウは見直されています。
■日本ワインの特徴、合う料理
上柳:ワインって食べるものを選びますよね。簡単に言うと、肉は赤ワイン、魚は白ワインといいますが、日本のワインはどんな食べ物と合うのでしょうか?
柳田:例えば、甲州ブドウですが、色がちょっと赤っぽいんですけど、白ワインができるんです。
上柳:ほう。
柳田:だから、日本では白ワインが作られているし有名なんです。味の特徴ですが、甲州ブドウで作るワインはどちらかというと軽いです。そして、あんまり特徴がないんです。でも、その「軽い」「特徴がない」っていうのは逆に利点で、強みなんです。
上柳:それも特色だということですね。
柳田:そう。だから、料理を邪魔しないんですよ。
上柳:あ~!
柳田:例えば、日本料理は洋食と比べて素材を生かした料理ですよね。日本人は魚や肉を塩・コショウで食べたりしますが、海外へ行くと魚をムニエルにしたり、ステーキには赤ワインのソースをかけたり。だから、日本ワインは素材を活かしている日本料理の邪魔をしないわけです。
上柳:なるほど!
柳田:そういう意味で今、非常に甲州ブドウが人気です。だしとの相性も凄くいいです!
上柳:不思議ですねぇ。
柳田:カルパッチョとか、ああいうものとも合います。
上柳:海外にも、素材を生かした料理がありますもんね。
柳田:そうです。だから、イタリア料理店へ行っても、軽いタイプの前菜には甲州ブドウのワインがピッタリ合うんです。
上柳:じゃあ、「この前菜には……日本の甲州ワインでいこうかな?」という人は“分かっている人”ということなんですね。
柳田:ツウの人はそういう感じで飲んでいますね。
■おいしいワインの見分け方
上柳:あのー……ストレートな言い方ですが、おいしいワインの見分け方を教えていただきたく(笑)
柳田:いろいろな所で講演もしていますが、そこでも「どこのワインがおいしいですか?」とよく聞かれます(笑)
上柳:聞きたいです(笑)
柳田:ワインコンクールの審査員長もしていて、僕の持論ですけど、やっぱり「1万円までは味とワインは比例する」と思っています。
上柳:ほぉ。
柳田:やはり、安いワインは安い、それなりの味です。そこから先は、例えば、有名なソムリエの田崎真也さんがおいしいと言ったとか、有名な方が飲んでいるとか、有名なワインジャーナリストが100点を付けたとか……、そういうものは値段が上がります。
上柳:その一言で、ポンッと値段が上がるんですね。
柳田:10万円のワインと5,000円のワイン、作り方はほとんど同じです。極端なことを言えば。1本100万円以上する有名なワイン「ロマネ・コンティ」と、1万円のワインも作り方はほとんど変わりません。何がおいしいか、ですが、ワインはどちらかというと嗜好品です。自分の好みによるので難しい問題で、濃い味が好きな人は濃いものを飲めばいいし、そうじゃなければ、ミディアムボディとかライトボディとかを選べばいいんです。重さとか、いろいろと説明が書いてありますからね。
■ワインは1週間持つ! 意外な保存方法
柳田:僕は保存の研究もしているんですけど、冷蔵庫保存は非常にいいんですよ。
上柳:ワインクーラーを買う人もいますよね?
柳田:でも、ワインクーラーは高いですから。みなさん、「ワインは開けたらすぐに飲まなければいけない」と言いますが……。
上柳:そうですね、早めがいい、飲み切らなきゃいけないって思いますね。
柳田:酸化はしますけど、ちゃんと栓をして冷蔵庫に入れておけば、一週間くらいは大丈夫です。なので、無理にガブガブ飲まなくて大丈夫です。例えば、半分くらい飲んだらペットボトルに移せば、空気に触れる部分が少なくなります。そして、しっかりとフタをして冷蔵庫に入れれば一週間持ちます。味もあんまり変わりません。
上柳:ちょっと色気はないけど、ペットボトルに移し変えればいいのですね。ワインの空気をシュクシュクと抜くものも売っていますけど……、あれは効果があるのですか?
柳田:それもいいと思いますよ。でも、普通の人はもっていないと思うので、普通にフタをして冷蔵庫に入れておくだけで大丈夫です。
日本の食卓に合う日本ワイン。しかし、製造の歴史が浅いこともあり、「日本ワインって実際どうなの?」「世界のワインと比べたらまだまだでしょう?」と思う方も多いかもしれないが、イマイチだったのはもう、何十年も前の話。素晴らしい自然の恵みと、造り手の努力が功を奏し、世界から注目されるようになった日本ワインを選んでみてはいかがだろうか。
柳田藤寿教授と上柳昌彦アナウンサーの詳しいトーク内容は、「食は生きる力今朝も元気にいただきます」特設コーナーHPから、いつでも聞くことが可能だ。
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