「日本学術会議」よりも滞っている「新型コロナ経済対策」の議論を~国会で代表質問開始
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2020年10月29日 17時30分
ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(10月29日放送)にジャーナリストの鈴木哲夫が出演。10月28日に行われた菅総理の所信表明に対する代表質問について解説した。
国会で菅総理の所信表明に対する代表質問が開始
菅総理)個々人の任命の理由については、人事に関することであり、お答えを差し控えますが、任命を行う際には総合的、俯瞰的な活動、国民に理解される存在であるべきということを、私が任命権者として判断を行ったものであります。条文の文言のみで比較することは妥当ではないと考えます。
菅総理大臣の所信表明演説に対する各党の代表質問が10月28日、国会内の衆院本会議で行われた。立憲民主党の枝野代表は学術会議の任命拒否の問題に関して、「誰がどのような資料や基準をもとに判断したのか」と説明を求めた。
飯田)総理は「多様性が大事だ」ということを念頭に、「私が判断した」と答弁をしています。
強めのトーンで答弁をした菅総理
鈴木)学術会議の任命問題は、最初から1つの与野党がやり合うということは想像がつきました。答弁も追及もある程度、想像通りでした。私が意外に思ったのは、菅総理が強めのトーンに変わったということです。淡々と同じことを繰り返すのかと思っていました。しかし、それによって、ただの平行線が、より強い平行線のようになってしまう気がします。この問題はどこかでけじめをつけないといけないわけで、それをつけるのは、いままでの任命スタイルを変えた総理サイドにあるのだと思います。このポイントは予算委員会でしょう。1対1でやり合うなかで、何かしら答えるということです。それがなければ、前に進まない感じがします。その辺りが注目なのだけれども、菅総理は少し強硬になっている気がします。
飯田)語気も強くなっている感じがします。いままでの委員会答弁を見ていると、基本的に決まったことを繰り返すという感じで、決してテンションが上がらない人というイメージがあります。
鈴木)淡々とね。トーンもそうだし、言葉もそうです。偏りがあるとか、大学の話や人材バランス、多様性という話がありました。多様性ということならば、「外した6人も認めていいではないか」となります。強い言葉になると、更に野党はそこを突いて来ます。謝るという話ではないけれども、この混乱を治めるために、ストレートに理由は言えないのではないかなと。「なぜこの6人か」という共通項も、一生懸命取材している人には何となく見えているのだけれども、この辺りも、明らかにするのか、しないのかということで、また変わって来ると思います。
飯田)世論の受け止め方も、変わって来ます。
コロナ対策、経済対策が滞っている
鈴木)この学術会議もそうなのだけれども、何と言っても、菅さんは「コロナ対策を一生懸命やるのだ」と言っていたわりには、国会が始まる前までの40日間、本当にコロナに手を打っているのかなという気がします。Go To の延長を決めるとか、ワクチンの話などはいいのだけれども、倒産は500件を超えました。失業もそうです。「離職」という表現もしていますが、実質、失業ではないですか。コロナ失業です。アルバイトも含めると、12月までに10万人まで行ってしまうのではないかという予測もあります。ここに対して何をするのかということです。まさに経済です。財政出動を含めて、3次補正と言われていますが、これが少しでもいいから、何かしら形が見えて来ないと安心できません。年末年始、それから年度末も来ます。コロナ対策、経済対策が滞っているのではないかと思います。
飯田)この臨時国会では議論せず、その先の通常国会の冒頭でという話が出ています。
鈴木)それでは遅くないですか?
飯田)遅いと思います。
鈴木)3次補正案が12月までに形として出るとして、新年度と合わせて15ヵ月予算となるかも知れない。それでは、実際、審議するのは来年(2021年)の通常国会の冒頭ということになるわけです。そこで成立して、解散がどうなるかによりますが、普通に考えれば、そんなスケジュールになります。そうなると、3次補正、経済対策が実際に動き出すのは、来年の春以降です。遅いですよ。
3次補正の使い道~自民党内からは5万円給付金の案
鈴木)それと予備費。まだ8兆円くらい残っているのではないでしょうか。
飯田)7~8兆円残っているはずです。
鈴木)これをどう使うかとかね。この辺りの議論を、国会がせっかく開いているのだから、早急にして欲しいです。
飯田)その辺り、枝野さんは代表質問のなかで、時限的な消費税の減税や、所得税の減税をやるべきだと提言しました。一方、与党のなかからも、5万円の給付金を出すという案も出ています。
鈴木)長島さんですよね。
飯田)長島昭久さんたちが提言をするなど、アイデアとしてはいろいろ出ています。
鈴木)その長島さんを取材しました。もちろん総理は個別に「やる、やらない」ということは言いませんが、長島さんが言うには、感覚的なものだけれども、「それなりの財政出動を考えている」と受け取ったということです。3次補正の話も出て来ましたが、それは早くやって欲しいです。一方で、麻生さんが「配った10万円は貯金に回ってしまって意味がなかった」と言っていましたが、「いまから財政出動を」という流れでのあの発言はブレーキです。あえてのブレーキなのかはわからないけれども、菅さんはどんどん突っ走っていますが、閣内でうまくコミュニケーションできているのでしょうか。その辺り、「麻生さんは財務省とうまく行っているのかな」というような不安も感じさせます。
消費税についても問題提起をして欲しい
飯田)総理は答弁のなかでは、「所得税や消費税の減税は考えていない」という感じでした。
鈴木)総裁選のときに、「社会保障のために消費増税は考えなければいけないかも知れない」と1度言っているのです。私は、その発言に拍手を送りました。増税がいい、悪いは別としても、社会保障が苦しい状況で、そこにも手をつけなければいけないということを問題提起しました。いままで、消費税について逃げて来たではないですか。だけど、あえてそこに放り込んで議論をしたと思ったのですが、翌日に撤回してしまいました。「10年間は上げない」と。税というのは、選挙などを考えるとどこかタブーです。せっかく攻める菅さんなら、そこを問題提起して欲しいです。実際に上げる、下げるは別として。
飯田)そこは政治的な側面があるから。
鈴木)「コロナ税」という話も一部で出ています。コロナでたくさんお金を出しているのだから、その分、復興税みたいに税金で取るというように。そんなこともオープンにして議論して欲しいです。
飯田)予算委員会で、そういうところで突っ込んだ議論が出るといいのですが。
鈴木)1対1ですから。変な方向にまた盛り上がったりはして欲しくないですけれども。
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