習近平政権、米大統領選が大混乱に陥った時、台湾へ行動を取る可能性
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2020年10月29日 12時45分
中国問題に詳しい評論家の石平(せき へい)氏が10月28日(水)、ニッポン放送「辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!」に出演。中国・習近平政権の台湾に対する行動について解説した。
辛坊)26日辺りに産経新聞が書いて明らかになったのですが、去年の11月の時点で尖閣諸島の付近を飛んでいた海上保安庁の航空機が中国の艦船から、「尖閣は中国のものだから上空を飛ぶと領空侵犯だから出ていけ」という警告を受けたというのがニュースになっていますが、こういうことって、前はあまりなかったですよね。
石平)前はなかったですが、問題は、このあとにあるかどうかということです。もし、中国共産党政権が意思決定をして戦略としてやるならば、こういう警告はずっと発することになると思うのですがどうやら産経新聞の記事を読んでも、「去年そういうことが1回あった」ということで、「1回あった」ということは、いまはおそらくないということから、習近平が方針を決めて「やれ」ということではなくて、下の方でやってしまったという可能性があります。
辛坊)なるほど、なるほど。その辺り、いまのところ中国が尖閣で大きなことを考えているということはないということですか。
石平)彼らの念頭にあるのが、尖閣というよりは台湾です。習近平自身は、彼らの言葉で言えば、中国統一、要するに台湾併合。そういうことを最近、強く意識しています。だから、習近平が10月に入ってから中国の海兵隊を視察したり、あるいは先週でも朝鮮戦争出兵の話をネタにして、アメリカに対して恫喝を行ったり、あるいはきょう28日の人民日報系の環球時報の社説でも、「もうそろそろ台湾に対して行動を取らなければ遅い」という論調で、中国国内でも「台湾に対して軍事行動をとるぞ」というムードをつくり出している最中です。
辛坊)中国のメディアは基本的に中国共産党の宣伝機関ですから、いまおっしゃった環球時報がそう書いてきたというのは、当然中国共産党が書かせているということですよね。
石平)そうです。環球時報で勝手に台湾に対して行動をとるとか、勝手に書けるわけがないから、中国共産党がもし、本気で何かをやるということになったら、まず環球時報をつかって観測気球を出すような意味合いもあります。あるいは、国連へ向けて徐々に戦争ムードに持っていくという意味合いもあります。けっこう、いま彼らが本気で台湾に対して行動を取ることは、習近平と習近平の周辺が考えている可能性が十分あります。
辛坊)最近、アメリカは台湾に対して対艦ミサイル、つまり地上から撃って、中国の艦船を沈めるようなミサイルを売っていたりしますし、台湾の軍事力って、かなり強いので、台湾と中国が本気で戦争を始めたら単なる局地戦では済まないような大戦争になる可能性があります。本当にそんなことまで考えているんですかね。
石平)そういう可能性が十分あるのですが、ただし、中国共産党政権や習近平たちが自信過剰になっているかもしれません。彼らが唯一恐れていることは、米軍が出てくることです。もし、彼らがそういう確信を持って、米軍が出てこないだろうと思えば、おそらく台湾に対して行動を踏み切る可能性が十分にあり、彼らが待っているタイミング的なチャンスとして、もし万が一、アメリカ大統領選がいままでのようにすぐに決着をつかずにして、どちらも負けを認めないとなり、アメリカが大混乱に陥ってしまえば、何か行動を取る可能性がないわけでもない。
辛坊)アメリカの権力が空白になって、大統領が有意な決定を下せない状況になったら、たしかにチャンスとみる向きもあります。
石平)いままでのアメリカの大統領選は、1日で決着がつきます。負けた側は祝福の電話をすれば、それで終わりです。今回は、おそらくそうはならない。どちらが負けても負けを認めないということなれば、最高裁の判断に持ち込むなど、けっこう判断に時間がかかって、大混乱に陥ってしまう。そこが、中国共産党政権にとって、隙間のチャンスになるかもしれません。
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