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いま大阪府と大阪市の関係が良好という「ジレンマ」……都構想の賛否を問う住民投票、いよいよ日曜日に投開票

ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2020年10月31日 19時50分

いま大阪府と大阪市の関係が良好という「ジレンマ」……都構想の賛否を問う住民投票、いよいよ日曜日に投開票

【2020都構想住民投票】 中央区役所で始まった大阪都構想の可否を決める期日前投票 入口に消毒液や立会人らとの間にビニールシートを張るなどして新型コロナ対策もとりながら実施されている 記入する鉛筆も消毒しながら使用している 一時間に一回程度選挙管理委員が換気や消毒をおこなっている=13日午前、大阪市中央区

キャスターの辛坊治郎氏が10月29日(木)、自身がパーソナリティを務めるニッポン放送「辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!」に出演。11月1日にその是非を問う住民投票が実施される「大阪都構想」について、その背景・課題を整理した。

2020大阪都構想住民投票 期日前投票 新型コロナ対策をとりながら実施=2020年10月13日午前、大阪市中央区 写真提供:産経新聞社

大阪は、横浜・札幌・福岡など他の政令指定都市と何が違うのか

大阪市を廃止し、4つの特別区に再編する大阪都構想の是非を問う2度目の住民投票が、次の日曜日11月1日に実施される。賛成多数の場合は2025年1月に大阪市24区を、淀川区、北区、中央区、天王寺区の4つの特別区に再編。大阪市長や大阪市議会は廃止し、各特別区に区長や区議会を設置するという内容だ。政令市を巡っては都道府県と権限が重なる二重行政の問題が長年指摘されていて、今回の住民投票をきっかけに大都市のあり方に関する論議が活性化するかも注目されている。

辛坊)関東の皆さんはこれにどのくらい興味があるのかなと。私は関西にいてこの問題は深く関わっていますから、喋ろうと思えばいくらでも喋れるのですが、関東の方の認識としてはどうですか、飯田くん。

飯田浩司アナウンサー)私は神奈川の出身なので、例えば横浜とか川崎とか相模原というのは同じような政令市というものなので。

辛坊)それが、大きく大阪は違うのですよ。背景が違うのは当然のことながら、政令指定都市というものを作ったものだから、それを包含している都道府県との権限の問題というのは、政令指定都市のあるところはどこにでもありますよね。しかし大阪は何が違うのかというと、大阪府というのは圧倒的に小さいのです。なので、神奈川県における横浜市とか、北海道における札幌市とか、福岡県における福岡市というのと、大阪府における大阪市というのが位置付けが全然違うのは、大阪府って47都道府県のうち、少し前までいちばん面積が小さかったからなのですよ。ところがいまは、確か46番目になっているはずです。何が起きたと思いますか?

飯田)どうしたんですか?

辛坊)埋め立てで面積が増えたのです。

飯田)あ、そういうことか。なるほど。

辛坊)47都道府県のなかでいちばん面積の少ない自治体だったのですが、大阪府というのが大変小さいものだから、大阪市というのがその真ん中にどん、とあって大阪湾に面しているわけで、そうすると大阪湾を開発しましょうというときに、例えば神奈川県だったら管轄が他にいっぱいあるわけですよ。

飯田)これが、東京湾を開発しようとすると、横浜市と川崎市があるので、出口が横須賀市しかなかったりするのですよ。

辛坊)ああ、なるほど。だから同じような悩みがあるのです。だからそもそも、政令指定都市という都道府県と同じような権限の街を作るということが、日本の自治の上で本当に良かったのだろうかという反省はあってもいいかもしれないですね。戦後いつの間にかそういうものが作られてしまったのだけれど、基本的に日本は統治機構として国というのがあって、中間の自治体の都道府県があって、住民サービスに特化した区市町村というものがあります、という構図だったのに、都道府県と同じような権限の大きな街に政令指定都市という権限を与えてしまったので、都道府県の権限と政令指定都市の権限がバッティングするじゃないか、ということは日本全国で実は同じことが起きています。だから同じような問題が取り上げられて将来的に政令指定都市の中に看板を下ろそうよ、というところが出ないとも限らないのだけれど。

大阪 道頓堀

いま大阪市と大阪府がうまくいっているというジレンマ

辛坊)大阪府というのは少し特殊で面積があまりにも小さかったので、そのうちの大きな面積を占める大阪市と大阪府が過去数十年権限の取り合いで、「府と市が合わさると不幸せ」というスローガンのようなことは昔は本当に当たり前のように行われていて。大阪市なんて、大体の大阪市民はもう忘れているかもしれませんが、20年くらい前に、同規模の自治体に比べて圧倒的に市の職員の数が多く、そしてその市の職員の優遇度がひどいという話で大騒動が勃発して、当時5万人くらい市の職員がいたのですが、横浜市と比べると大阪市の方がはるかに人口は少ないのに市の職員は倍くらいいるみたいな、極端にいうとそういう構図だったのですよ。

飯田)事業は同じようなことをやっていますからね。

辛坊)その5万人の規模だった大阪市で、市の職員全員にスーツを配った。それを市民に「スーツってどういうこと?」ってツッコまれたら、「これはユニフォームですから」といってポケットを裏返すと普通のスーツとして着られる、というデザインのもので、ポケットのところにイニシャルがあってそこをひっくり返すとその市章が消えて普通のスーツとして着られる、というものを市の職員全員に配ったりだとか、相当無茶苦茶があったのですよ。

それで2000年代から夕張が破綻した後は次に破綻するのは大阪市か大阪府か、なんて言われていた時代があって、これは二重行政をなんとかしなければいけない、というのが出発点で始まったのだけれど、いま大阪府も大阪市も両方維新が議会も首長も占めているということで、大阪市長の松井さんが、基本広域行政に関しては昔は何かひとつすると戦争が勃発したぐらいの話なのだけど、いま大阪市長側が広域行政は大阪府知事に任せますから、と言って、いま非常にうまくいっているのですよ。これがジレンマで、これがうまくいってなければ「なんとかしなければまずいよね大阪は」と思うのだけれど、いまたまたまそういう状況でうまくいっているから「今のままでいいじゃん」という話になるのですよ。

飯田)これは属人的なものですよね。うまくいったのは。

辛坊)属人的なものというか、議会と首長を同じ政治勢力が占めている。もともと、その政治勢力を占めている側が、大阪市の権限の広域行政に関するところを大阪府に持っていこうという政治的な主張をしているところが大阪市の側にいるから。例えば、2025年に大阪万博が決まったじゃないですか。あのときに昔なら、どっちが先に記者会見をして全面に出るかで間違い無く大げんかですよ。

飯田)そこでもすでに大げんか。

辛坊)今はそこがうまくいってますから、いやいや、広域行政の方ではそっちがやってよ、と言って市長がグッと後ろに引く、という形で何もあらが目立たないという状況になっているのだけれど。だから今回の住民投票は、1ヶ月くらい前は、賛成が多数と言われていたのですが最新の世論調査では、今のままでいいじゃん、という人もだいぶ出始めている。そのような状況のなか、11月1日に審判の時がきます。

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