会津若松駅「会津を紡ぐわっぱめし」(1000円)~磐越西線の“駅弁を運ぶ”快速列車、出発進行!
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2020年11月3日 11時50分
【ライター望月の駅弁膝栗毛】
東北新幹線「やまびこ」で東京から80分、郡山にやって来ました。
新幹線ホームからいちばん近い1番線で待ち受けるのは、磐越西線の快速・会津若松行。
磐越西線では、2020年春から指定席が連結された快速列車に「あいづ」の愛称が復活。
新幹線から乗り換えて、必ず座っていきたいとき、指定席の存在は、とても安心しますね。
指定席にはリクライニングシートが装備され、快適でゆったりとした旅が楽しめます。
今回、乗り込む郡山8:29発の快速・会津若松行は、全車自由席の“無印”快速。
東京から猪苗代・会津若松方面へは、この列車が一番列車となります。
この時間は、朝の通勤・通学輸送の折り返しということもあって4両編成での運行。
そんな快速列車に、大人2人がかりで、大きな荷物を積み込もうとしています。
しかも乗務員室へと運び込まれたこの荷物、いったい、何が入っているのでしょうか?
大きな荷物の上には……「福豆屋」という文字が書かれています。
そう、この荷物には、郡山で製造された「駅弁」が詰まっているんです。
じつはコレ、10月31日から磐越西線で始まった「快速列車による駅弁輸送」の取り組み。
「福豆屋」でつくられた駅弁が毎日、快速列車で会津若松へ運ばれることになり、初日は、この輸送の模様が報道陣に公開されました。
初日ということもあって、福豆屋の小林文紀専務も駅弁の積み込み作業を見守ります。
この日、積み込まれた駅弁は、JR東日本仙台支社の「会津若松エリアプロジェクト」と共同で開発した新作の「会津を紡ぐわっぱめし」(1000円)、28個。
今回の取り組みを始めるにあたって、福豆屋では積み込みや列車の振動に伴う影響など、さまざまなテストを行い、問題をクリアしたうえで、実現にこぎつけたのだそうです。
定刻通り、8:29に郡山を発車した快速列車は、積み込まれた28個の「駅弁」も載せて、紅葉が見頃を迎えた会津磐梯山に見守られながら、磐越西線を順調に下って行きます。JR東日本ではこれまで新幹線の駅弁輸送の実績はありましたが、在来線では初めて。
福豆屋単独では会津若松への輸送は厳しいことに加えて、JRでも新幹線物流の活用が始まったことを受けて、駅弁を「快速列車で運ぶ」取り組みが実現したと言います。
快速列車は、予定時刻通り9:40、終点・会津若松駅の1番ホームに到着。
乗客の降車が済んだところで、駅弁を販売するNEWDAYSの方によって、先頭車両の乗務員室から駅弁が運び出され、台車に載せて改札外の店舗へ運ばれます。
会津若松駅での駅弁販売は、午前10時から。
約15分の間に、会津若松駅に2店舗あるNEWDAYSに駅弁が陳列されていきます。
先着100名までの方には、購入特典として会津木綿のコースターも用意された発売初日、既に会津若松駅のNEWDAYSには、10人以上の行列ができていました。
新作を待つ地元の皆さんが見守るなか、駅弁が1つ1つ丁寧に並べられていきます。
会津若松駅では長年、他の業者による駅弁が販売されてきましたが、撤退に伴って、残念ながら“駅弁空白駅”となっていたわけです。
午前10時、「会津を紡ぐわっぱめし」の販売が始まると、2店舗合わせて28個の駅弁は、わずか10分で完売してしまいました!
地元の皆さんにとっても“待ちに待った”駅弁の復活だったことが伺えます。
やはり、地元に愛される「駅弁」を味わうことが、旅人にとっても大きな喜び!
さあ、発売即完売した「会津を紡ぐわっぱめし」、いったいどんな駅弁なのでしょうか?
まず、見た目がカラフルで美しく、思わず手に取りたくなります。
掛け紙には、新鋭の「株式会社はらっぱ 原山織物工場」と、老舗の「山田木綿織元」の協力を得て、会津の伝統工芸「会津木綿」のデザインを使用。
女性を意識しながら幅広い世代に向けて、列車でいただくのはもちろん、手土産としても使える「駅弁」を目指したと言います。
【おしながき】
・白米(会津産コシヒカリ)
・会津地鶏そぼろ
・会津地鶏玉子そぼろ
・会津地鶏だし巻玉子
・にしん天ぷら
・いか天ぷら
・ぜんまい煮
・どっさりきのこ煮
・アスパラ焼き
・花人参煮
わっぱの蓋を開けると、鶏そぼろのいい香りと、玉子の鮮やかな黄色が食欲をそそります。
会津地鶏の旨味が凝縮した鶏そぼろ&濃厚な玉子そぼろはもちろん、「海苔のりべん」でおなじみの絶品だし巻き玉子も、会津地鶏の玉子を使うことで、さらにグレードアップ!
鰊とイカは「干物の天ぷら」となっていて、海のない会津ならではの食文化を味わえます。
きのこ&ぜんまい煮でアクセントを付けながら箸も進んで、心地よく完食できました。
JR東日本仙台支社「会津若松エリアプロジェクト」の松田丈史さんによると、会津若松は、磐越西線の郡山と新津方面、只見線や会津鉄道線との結節点であり、駅弁のニーズが高いことから、2020年2月から会津の素材を使った駅弁の開発を行ってきたと言います。
また、現在は1種類のみですが、今後、駅弁の種類や数を増やすこともあると話しており、城下町散策や東山温泉などからの帰りにも重宝する、会津の駅弁に期待が高まります。
「会津を紡ぐわっぱめし」は、会津若松駅の他、郡山駅の福豆屋でも販売があります。
松田さんによると、快速列車による駅弁輸送はトライアルではなく継続的な取り組みで、今後、東日本エリアにおける水平展開もあり得るとのこと。
まずは、快調なスタートを切った、磐越西線の“駅弁快速”。
会津の魅力的な味がギュッと詰まった新作駅弁と共に要注目です。
連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/
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