落合恵子~「なければつくってしまえ」と始めたオーガニック食材の販売
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2020年11月5日 8時10分
黒木瞳がパーソナリティを務める番組「あさナビ」(ニッポン放送)に、作家で児童書籍専門店「クレヨンハウス」主宰の落合恵子が出演。オーガニック食材の販売やレストランも展開する現在の「クレヨンハウス」について語った。
黒木)今週のゲストは、作家で子どもの本の専門店「クレヨンハウス」を主宰している落合恵子さんです。落合さんが主催されている子どもの本の専門店「クレヨンハウス」ですけれども、現在は本だけではなくて、オーガニックの食材の販売、レストラン、またオーガニックの生活雑貨なども扱われています。この多彩な展開は、いつごろから変わったのですか?
落合)もう20数年にはなると思います。本が心の栄養だとすれば、私たちの体は食べたものでできています。40代のころに、私自身がアトピーぎみになってしまい、体にいいものを食べたいと思って、食べ物の勉強を始めたのです。オーガニックのものが欲しかったのですが、お店がなくて、買いに行くのがすごく大変だったのです。
黒木)なければつくってしまおうと。
落合)そうです。だからつくってしまおうと。いろいろな生産者のところに行って、「すみません。取引をさせていただけませんか」とお話ししたら、皆さん誇りがあって、「レストランには卸せない。八百屋さんに卸したい」と言うのです。「まずは生産者として八百屋さんを育てたい」と言われたときに、仕方なく、八百屋を始めたのです。昔食べたトマトの味やにんじんの葉っぱの美味しさに、久しぶりにそこで出会って、体調もとてもよくなりました。薬ではなくて、食べ物で自分の体をもう一度考えたのです。その当時も小さなレストランをやっていたのですが、そこの食材もオーガニックのものに変えることにしました。ただし、お天気によって入って来ないものがたくさんあって、コックさんたちがいつもイライラしているのも知っています。
黒木)長雨があったりして、野菜も高騰していますし。
落合)しかし、オーガニックの世界は素敵で、宅配のネットワークが沖縄から北海道まであるのです。主要なところでやっている方に「キャベツが手に入らない」とお電話したり、メールを送ったりするでしょう。すると誰かが見つけてくださるのです。そして、誰かが「いまどこから送る」と言ってくださるのです。いまはソーシャルディスタンスを取れと言われますが、私はディスタンスのない人間関係の、精神的なお付き合いが本当にあるのだと感動しました。
黒木)多彩な展開の「クレヨンハウス」ですが、それぞれのフロアの専門スタッフが試していらっしゃる。
落合)そうですね。本は毎月100冊単位くらい来るのですが、みんなで読んで、それぞれが好きな本のコピーを書いて、それをポップにしてお薦めします。私がお願いするのは、「押しつけはしないで欲しい」ということです。子どもは自分で選びます。大人にももちろんそうお願いしています。オーガニックの野菜も、自分で食べて、スタッフが生産者と話しています。
黒木)ご自分がオーガニックの野菜が欲しいからと、八百屋さんをやってしまうのも大胆不敵というか。
落合)無謀の落合です。そう言われていますし、「いつまで無謀をやるのだ」と言われています。ただ、私は普段の生活においては、欲望が強くないのですよ。あれが欲しい、これが欲しいというのがまったくないのです。「自分が本当に欲しいものは欲しいです。それ以外はいりません」という感覚です。これで割とバランスが取れているのかなと思うのですけれども。
落合恵子(おちあい・けいこ)/作家・クレヨンハウス主宰
■1945年、栃木県宇都宮市生まれ。
■1967年、文化放送にアナウンサーとして入社。「セイ!ヤング」「こんばんは、落合恵子です」などでパーソナリティを担当。
■1974年に文化放送を退社。本格的な文筆活動を開始。
■海外取材で子供の本の専門店を見たのがきっかけで、1976年、本をはさんで大人と子どもが向かい合う場として児童書籍専門店「クレヨンハウス」を開設。
■東京都渋谷区神宮前に開店。1986年に港区北青山へ移転。約5万冊の児童書、オーガニックレストラン、子どもと大人の本のフロア、安全安心な玩具、女性の本やオーガニックな生活必需品などを扱う。
■1991年には大阪府吹田市に「クレヨンハウス・大阪店」をオープン。
■クレヨンハウスが絵本や児童書を月に1度届けるサービス「絵本の本棚」も人気。
■その他、総合育児雑誌『月刊クーヨン』、オーガニックマガジン『いいね』の発行人も務め、絵本の刊行や翻訳も多数手がける。
■近著に『泣きかたをわすれていた』『明るい覚悟』などがある。
■2020年、第55回ENEOS児童文化賞を受賞。
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