アメリカ人の相容れない「2つの本音」……どうなる米大統領選
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2020年11月5日 12時10分
アメリカ・ニュージャージー州在住のジャーナリスト冷泉彰彦氏が11月4日、ニッポン放送「辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!」に出演し、大接戦となっているアメリカ大統領選挙について、その背景となる国民性をもとに解説した。
アメリカ人の相容れない2つの「本音」
辛坊)3日から4日朝にかけてニューヨークの株式が500ドル以上、いわゆる爆上げ状態になった理由は、「バイデンさんで早々に決まるので、トランプさんも揉めようのないくらいの負け方をすると、そんなに次の大統領が誰になるかで揉めることがないからその辺りは安心だよ」ということが材料になって買われたみたいな報道があったのですが、3日から4日朝にかけてのニューヨークの株式市場の上げはなんなんだという話になりますよね。
冷泉)そうですね。経済を動かしている、いわゆる「エリート」の人たちの見方と、実際に動いている、学歴で切ったときに、いつもなら選挙に行かなかった人が押し寄せたかもしれないという動きが、相当乖離があるのでしょうね。
辛坊)アメリカ人の本音はどこにあるんでしょうか。
冷泉)これが、核が2つに分断していて、「グローバルな経済を回して行こうよ」とか、「普通にヨーロッパやアジアみたいにコロナ対策をしようよ」というグループがニューヨークやカルフォルニアにいるとすれば、「やっぱりそうじゃないんだ。俺たちはアメリカでだだっ広いところに住んでいるのだから、ヨーロッパとは違うんだ」「自分たちは独立、自由で食ってきているんだから、それに対して営業禁止なんてとんでもない。コロナ対策なんて吹っ飛ばせ」という人たちとのあいだにはまったく違う世界があります。
辛坊)今回、大統領選挙の前に黒人差別問題というのが急浮上して暴動が起きることなどがありましたが、こういうことは選挙にどう作用したとお考えですか。
冷泉)開票しながらいろいろな論説が出てきたところを総合すると、どうも、それがかなり薄くなってしまって、コロナと経済というのが全面に出た。だから、トランプさんがやっていた、南部の黒人層を自分の方に取り込むことで、ある程度票が動いたということも言われています。あとは、激しいデモがあったところは、トランプさんがかなり有利になっています。
辛坊)じゃあ、いわゆる黒人差別問題で黒人の方が亡くなったりして、それを核に暴動が起きたようなところは、治安というようなことも含めて、「トランプさんじゃないと、この治安が維持できない」と、そっちの方に振れてしまったということですか。
冷泉)そうです。ウィスコンシンとかではそういう現象が起きている報告があります。
トランプが勝ったフロリダ ヒスパニックの複雑な心情
辛坊)フロリダは、トランプさんも直近の世論調査でも下回っていたのですが、結果を開けてみたらかなり他に比べると、早いとまでは言いませんが、割とあっさり共和党で決まりました。ここは前に、ブッシュ対ゴアのときに最後までカウントで何週間も揉めましたよね。
冷泉)そうですね。
辛坊)その割には今回はあっさり決まりましたね。
冷泉)だから、民主党支持者の人たちは「ちょっとどこか不正があるんじゃないか」ということを言っていますが、どうも、ヒスパニック、キューバ系の人たちが多いのですが、トランプさんがやっている、壁がどうこうという話や、移民反対ということに対して、「人種差別じゃないか」という反感もあるのですが、それ以上にフロリダの場合は観光産業とか、飲食店とか、これが「バイデンさんになったら閉鎖させられるんじゃないか」というので、「トランプさんで経済を回せ」みたいな、そっちのモメンタムが大きかったみたいです。
辛坊)また、キューバに住んでいらっしゃるヒスパニックの皆さんって、心情が非常に複雑で、キューバの共産主義体制から逃げてきた人たちで、それも合法的に逃げてきて人たちということになると、「不法移民と一緒にするな」という話だの、「キューバに関してはそんなに甘い顔をすべきじゃない」と思っている元キューバ出身の人など、けっこういらっしゃるんですよね。
冷泉)そうなんですよ。キューバ系の人たちも複雑で、民主党主義の人たちはキューバとの関係で、親戚とのつながりもできるので、やりたいという人がいますけれども、やっぱり、「独裁体制のキューバに対して毅然とした態度を取るんだ」という人たちは共和党支持だし、その辺りも複雑さみたいなところもありますが、そこまでは行かずに、彼ら全体をまとめて経済ということで、「コロナより経済なんだ」というメッセージがかなり効いている感じがします。
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