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トランプ氏とバイデン氏~日本の国益になるのはどちらの候補か

ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2020年11月6日 6時40分

トランプ氏とバイデン氏~日本の国益になるのはどちらの候補か

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(11月5日放送)に外交評論家・キヤノングローバル戦略研究所研究主幹の宮家邦彦が出演。アメリカ大統領選挙の結果が世界に、また日本に与える影響について解説した。

2020年10月22日、米テネシー州ナッシュビルで開かれた2回目の候補者討論会で発言するトランプ大統領(左)とバイデン前副大統領(ゲッティ=共同) 写真提供:共同通信社

菅総理、日米同盟強化へ向け次期アメリカ大統領を注視

菅総理大臣は11月4日の衆議院予算委員会でアメリカ大統領選挙に関して、「日米同盟は日本外交の基本だ。そのもとで次の大統領としっかり付き合って行きたい」との考えを示した。日米同盟強化へ向け、選挙結果や次期大統領への対応を注意深く見極める方針である。

飯田)4日の予算委員会の時間帯を考えると、まだ何かを発言するには早いという感じです。

宮家)そうですね。次の大統領が同じかも知れないし、違うかも知れないですよね。

飯田)「勝者確定次第、速やかに電話で祝意を伝えて適切な時期の訪米を考える」ということです。

宮家)確定するまで時間がかかるかも知れません。

米ケンタッキー州の選挙集会で演説するトランプ大統領=2019年11月4日(ロイター=共同) 写真提供:共同通信社

延期となっているアメリカが議長国のG7サミット

飯田)今年(2020年)はG7サミットをまだやっていませんが、アメリカが議長国ですよね。

宮家)トランプさんはキャンプ・デービッドでやりたかったのです。9月くらいでしたかね。彼は選挙のことしか頭にないから、G7を集めて「みろ!すごいだろ」と打ち上げたかったのだけれども、コロナの影響で流れてしまいました。それで「選挙の後だ」と言うのだけれども、どうするのでしょうかね。対面でやるということは難しいでしょう。アメリカは相変わらず多くの感染者が出ているわけですから、ヨーロッパの人たちは来ないですよ。

飯田)ヨーロッパはヨーロッパで、また蔓延して来ているようです。

宮家)大統領選挙の結果にもよるし、やるにしてもリモートではないですかね。

2020年9月29日 オハイオ州クリーブランド ケース・ウェスタン・リザーブ大学で行われた第1回大統領候補討論会でのバイデンとトランプ AFP=時事 写真提供:時事通信

トランプ氏とバイデン氏~日本の国益になるのはどちらの候補か

飯田)日本にとって、「日米同盟」は当然ながら、外交の基軸中の基軸です。

宮家)そうですが、大統領が誰かもわからないのに、細かい具体的な方針は立てられません。いまはいろいろと頭の体操をしている時期ではないかと思います。

飯田)バイデンさんがいいのか、トランプさんがいいのか。「どちらの候補の勝利が国益となるのでしょうか」と、川崎市のラジオネーム“テッチャン”さんから質問をいただいています。

宮家)「どちらがいい、悪い」ということはないと思います。私も北米局は全体で10年くらいしかやっていないけれども、その間、何代かアメリカの大統領は変わりましたが、どれもみんな手強いです。それは、アメリカだって日米のためだけにやっているわけではないので、トランプさんであろうが、なかろうが、「アメリカ第一」で来るに決まっているし、こっちだって「日本第一」でやります。4年ごとに人が変わる、下手したらワシントンで2000~3000人のが変わるのです。それを追いかけて行かなければならないし、政権に入って来る人の性格や考え方の違いで、「あれ?」という人たちも出て来ます。ですから、「バイデンさんがこうだ」「トランプさんがああだ」と言っても、結局は普通の外交当局同士の付き合い方、あるいは軍との付き合い方では、人の要素が非常に大きいので、そう簡単ではありません。

衆院予算委員会に臨む菅義偉首相=2020年11月4日午前、国会・衆院第1委員室 写真提供:産経新聞社

どちらになっても「手強い」相手となるアメリカ

宮家)バイデンさんがなったら、中国に対する態度は、厳しいままだとは思いますけれども、彼の側近、もしくはアドバイザーになるであろう人たちが、ほぼ共通して言っていることは、「中国は懸念だ。だけど、その前にアメリカの経済を何とかしないといけない。アメリカの経済を立て直さないことには中国と競争もできない」という趣旨のことをおっしゃっています。私は、それは正しい判断だと思うので、おそらく貿易交渉とか、TPPとか、経済の問題については、これから重要になる可能性はあります。もちろん、安保同盟関係も大事なのだけれども、経済の問題について相当こだわったやり方をするのではないでしょうか。

飯田)TPPに、仮に復帰ということになっても、いろいろな条件を付けるでしょうか?

宮家)いろいろな条件を付けて来て、「自分で出て行ったではないか」と思うのだけれども、彼らもただでは入って来ないと思います。

飯田)関税をいじったり、非関税障壁などでいろいろ。

宮家)中国の方がはるかに問題でしょうけれども、「アメリカの経済をどう立て直すか」ということを、彼らは頭においた上で、日本だけではなく、アジアの他の国や、ヨーロッパとどう付き合うか。要するに、トランプさんが続くにせよ、バイデンさんに変わるにせよ、どちらも手強いのです。トランプさんも、安倍さんがいようがいまいが、おそらく2期目になったら、「いままで言えなかったことを言う」ということも十分あり得るわけです。それは我々も心していかなければいけない。

18日、オンラインの米民主党大会で、司会役を務める女性の後ろの画面に映し出されるバイデン前副大統領とハリス上院議員の写真(ゲッティ=共同)=2020年8月18日 写真提供:共同通信社

バイデン氏になった場合、中東との関係はどうなるのか

飯田)中東についてなのですが、トランプさんはイスラエルとのあいだの橋渡しをやっていましたが、バイデンさんに変わった場合、どうなりますか?

宮家)イランとの関係がいちばん大きく変わるでしょうね。イランとの核合意については、民主党のオバマ政権がやったことですから、元に戻そうとするでしょう。しかし、無条件で戻るのではなく、イランに対して言いたいことを言うと思います。トランプさんのやり方とは、まるで違うやり方になる可能性は十分あると思います。

飯田)協議に復帰するけれども、厳しい条件はまた付けて来るのでしょうか?

宮家)イランもハードルを上げていますから、「まずはそのハードルを下げなさい」「合意に戻りなさい」ということでしょう。

 

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