「児童相談所の弁護士」とはどんな仕事なのか
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2020年11月9日 8時10分
黒木瞳がパーソナリティを務める番組「あさナビ」(ニッポン放送)に東京都江戸川区の児童相談所常勤弁護士・船崎まみが出演。児童相談所の常勤弁護士になった経緯、また、その仕事について語った。
黒木)毎日さまざまなジャンルのプロフェッショナルの方にお話を伺う「あさナビ」。今週のゲストは、東京都江戸川区の児童相談所で常勤弁護士をされている船崎まみさんです。よろしくお願いいたします。
船崎)よろしくお願いいたします。
黒木)児童相談所で常勤されている弁護士というのは、東京では初めてということです。
船崎)江戸川区と荒川区と世田谷区が、区で初めて児童相談所を開設しました。
黒木)ということは、いままではなかったのですか?
船崎)いままでは東京都の児童相談所が地域を分けて管轄を持っていて、江戸川区もそのなかの一部だったのですが、2020年4月からは、江戸川区の子どもたちについて児童相談所が関わる案件は、すべて江戸川区児童相談所で対応するということになりました。
黒木)ニュースを見ていても、児童相談所に相談される案件はとても多いような気がするのですが、いままでは数が足りなかったのでしょうか?
船崎)児童相談所は件数も多くてどこも忙しく、人材の確保ということは、どこも課題ではあるのです。今回、区で児童相談所を開設したのは、江戸川区という地域のなかで、江戸川の子どもをきちんと守って行きたいということからです。法律の改正で区でも開設できることになりましたので、江戸川区はいちばん最初に手を挙げました。
黒木)どういった仕事を日々なさっているのですか?
船崎)私はいま、児童相談所に籍を持っています。子どもの問題を担当する児童福祉司というケースワーカーがいるのですが、そのケースワーカーが親子の問題など、いろいろな相談や解決に当たっていて、そのケースワーカーから法律相談を日常的に受けています。親自体がいろいろなことで揉めていることもありますので、その法律的なところを見ています。また、児童相談所は非行少年の指導もしていますので、少年事件になったときの手続きや見通しについても見ます。虐待の案件ですと、場合によっては、親子を離すという重い判断をしなければいけないこともありますので、そういうときに、保護者に法的なところをどのように説明するかということも含めて、相談を受けています。
黒木)やらなければいけない役割がたくさんありますね。
船崎)そうですね。非常に大きな判断をせざるを得ない場面は多いかなと思います。
黒木)弁護士として働くようになって、何年くらい経っているのですか?
船崎)14年目くらいです。通常の法律事務所で7年働いて、その後はずっと自治体の組織のなかで、専門職の弁護士として働いています。
黒木)いまのようなお仕事が、やりたい分野なのですか?
船崎)そうですね。弁護士としてやっていたときも、高齢であったり、外国人であったり、女性だったり、子どもだったりして、弁護士の敷居が高くて、法律事務所に来られない人たちを支援するために、弁護士会や国がつくった法律事務所で働いて来た期間が長くあります。基礎自治体というのは、住民の方に身近な行政機関なので、現場もありますし、これまで自分のやって来た弁護士としての経験が活かせるのではないかと思います。
黒木)社会の手の届かないところで、知恵と愛で皆さんを救う、という日々なのですね。
船崎まみ(ふなさき・まみ)/江戸川区児童相談所常駐弁護士
■1980年生まれ。東京都足立区出身。
■中央大学法学部卒業。早稲田大学大学院法学研究科修士課程修了。
■2007年弁護士登録。東京弁護士会の都市型公設事務所、愛知県岡崎市の法テラス三河法律事務所と公設系事務所に約4年半勤務。
■2012年1月より北千住法律事務所勤務。
■2014年4月から東京・多摩市役所に任期付き職員として勤務。
■現在は東京・江戸川区総務部副参事。
2020年4月に開所した江戸川区児童相談所の常駐弁護士として勤務。
児童相談所常勤弁護士は東京都では初めて。
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