新型コロナウイルス感染拡大~「市単位」など細かい範囲での自粛要請が必要
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2020年11月18日 17時30分
北海道独自の5段階の警戒度を札幌市限定で「4」に引き上げ、記者会見する鈴木直道知事=17日午後、北海道庁
ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(11月18日放送)にジャーナリストの佐々木俊尚が出演。新型コロナウイルスの第3波が来つつある状況のなか、経済と感染予防をどのように両立するべきか。川崎市健康安全研究所所長で内閣官房参与の岡部信彦を電話ゲストに迎えて解説した。
新型コロナウイルス感染拡大~北海道で自粛を要請へ
鈴木直道北海道知事)札幌市民の皆様を含め、札幌市内に滞在している皆様は感染リスクを回避できない場合、不要不急の外出、そして札幌市外との不要不急の往来を控えていただきたいと思います。
新型コロナウイルスの感染者が急増していることを受け、北海道は11月17日、札幌市内で不要不急の外出を控えることや、札幌市と道内の他地域との往来を控えるよう道民に向け要請することを決めた。期間は17日から27日までとしている。
飯田)共同通信によると、17日は全国で1700人の新規感染者が確認されています。
佐々木)完全に第3波が来つつある予感がします。
飯田)経済活動とどう両立させるのか。北海道知事も苦渋の表情で会見に臨んでいました。ここで、川崎市健康安全研究所の所長で内閣官房参与でもいらっしゃる岡部信彦さんと電話がつながっています。いまの状況をどうご覧になっていますか?
岡部)患者さんが増えていて、全国的ではありませんが、注意しなければいけない状況です。数週間前とは違うのではないかと思います。
飯田)第2波、第3波の定義の問題はありますが、徐々に拡がっているのは季節的なものとは関係ありますか?
岡部)季節的なものかどうかは断定できません。一旦落ち着いていたのが、また増えて来たのであれば、それに対して、違った形での対策を取らなければいけないと思います。
ワクチンは確かな評価ができてから導入するべき
飯田)17日に行われた厚生労働委員会にも出席されて、ワクチン接種の方針について言及されましたが、これに関して期待することなどを教えてください。
岡部)もちろんワクチンがあった方がいいと思うのですが、その評価をきちんとしなくてはなりません。ワクチンはできあがるのに時間がかかります。それを詰められるところはあるけれども、見るべきところを見ないといけません。多くの方が接種するので、余計な反応が起きては困ります。偶然に起きた反応で「ワクチンのせいだ」と言われると、その先ワクチンが使えなくなりますので、確かな評価ができてから導入した方がいいと思います。昨日(17日)出席した参考人の方、皆さんが同じようなことをおっしゃっていました。
飯田)「ワクチンさえあれば変わる」という過度な信仰のようなものに至ってはいけないということですよね。
岡部)悪いワクチンということではもちろんありませんし、夢のようなワクチンだとも言い切れません。データがきちんと出て来て、その評価をするのであって、まだ見えないものに対して「いい悪い」の判断はできません。ウイルスが見つかって、1年足らずでワクチンの開発まで来ているのは、科学の進歩だと思います。
飯田)ワクチンに期待をかけつつ冷静に見つつ、いまは対策として、これまでもやって来た基本的なことを愚直にやって行くということになりますか?
岡部)それから仮にワクチンができたとしても、基本的な対策を取らなくていいということではありません。基本的なことは引き続きやって行く必要があります。
状況を見ながら、経済と感染予防のバランスをうまく取る
佐々木)ヨーロッパでも、「3密を避けよう」という日本のやり方を真似ているところが多いと思います。3密に加えて、大声での会話と長時間の食事なども避けようということも出ていますが、これはいかがでしょうか?
岡部)3密というのは、基本に近いところで「大声で話さない」ということが入っているので、ことさら大きく加えることではありません。極端な大声を控えるということは、「大騒ぎをしないでください」ということだと思います。
佐々木)長い時間の会食をしない方がいいということですかね?
岡部)買い物に行ってすれ違ったくらいで感染することはないと思いますが、そこで長い間話したりするうちに、だんだん声が大きくなる、また、時間が長くなるというのは、その分だけリスクが上がります。長時間いたり、声が大きくなりそうなときは、口の周辺を遮蔽するためにマスクが必要になります。
飯田)感染者の数が増えて来ると、経済活動を止めなければとか、Go To キャンペーンがいけないとか、悪者探しが始まりますが。
岡部)経済を大事にするのか、感染防止を大事にするのかどちらかではなく、そのときどきで重心をどちらかに取らなければいけないと思います。例えば、右側に足を向けたまま、全部の体重を乗せるのではなく、少し左側にも乗せる形にするなど、状況を見ながらバランスをうまく取らなければいけません。
市単位など、細かく自粛要請をする
飯田)今回、北海道は、札幌市という市の単位で自粛要請をお願いする形になりました。「ここはいいけれども、ここは自粛する」というような、細かい自粛要請などに今後はなって行くのですか?
岡部)地域の様子によって変えるというのは、正しい方向だと思います。いまでも患者の少ない地域もありますし、一方で気を付けなければならないところもあります。それをすべて同じにやると緩過ぎたり、きつ過ぎるということがあるかも知れません。あまり細かくやるときりがなくなるので、ある程度の地域別、都道府県単位、または市の単位になると思います。
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