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紀伊勝浦駅「鮪素停育(マグロステーキ)弁当」(1080円)~勝浦温泉の名物洞窟風呂で癒しのひととき!

ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2020年11月19日 11時50分

紀伊勝浦駅「鮪素停育(マグロステーキ)弁当」(1080円)~勝浦温泉の名物洞窟風呂で癒しのひととき!

【ライター望月の駅弁膝栗毛】

283系電車・特急「くろしお」、紀勢本線・紀伊勝浦~紀伊天満間

新大阪朝一番の特急「くろしお1号」が、すっかり日が高くなった紀伊勝浦駅を発車して、終着・新宮に向けてラストスパートに入ります。
この時間の「くろしお」は、283系電車(オーシャンアロー車両)。
平成8(1996)年に登場したカーブに強い振り子式の車両は、太平洋のイルカをイメージしたという、どことなく愛嬌のある顔つきが特徴です。

(参考)JR西日本ホームページ

浦島丸

南紀・勝浦といえば、源泉本数200本以上を誇る温泉のまち。
まちの至るところでさまざまな泉質の温泉が湧いており、巨大な温泉リゾートがあるのも特徴。
今回は、勝浦を代表する温泉宿の1つ、「ホテル浦島」を目指しました。
ホテル浦島へは、紀伊勝浦駅から歩いて数分の桟橋に、船のお迎えがやって来ます。
イルカの電車を降りたら、カメの船に乗るというのも、なかなか面白いですよね。

勝浦温泉・ホテル浦島

昭和31(1956)年、木造2階建ての旅館から始まったという「ホテル浦島」。
いまでは、本館のほか山上館、日昇館、なぎさ館という4つの宿泊館があります。
それぞれの宿泊館も巨大で、長いトンネルや長大なエスカレーターで結ばれていて、“4つの巨大なホテル”が集まった一大スパリゾートが「ホテル浦島」といった印象です。
何と、館内には来訪者向けの大手コンビニエンスストアがあるほどなんです。

ホテル浦島「忘帰洞」(画像提供:ホテル浦島)

加えて、「ホテル浦島」のすごいところは、巨大な宿ながら温泉がかけ流しである点!
館内には10本の源泉、5つの風呂(山上館宿泊者は6つ)があり、湯巡りが楽しめます。
なかでも、宿のシンボル的なお風呂・天然洞窟風呂の「忘帰洞」には、51.5℃、ph7.3、成分総計5671mg/kgの含硫黄-ナトリウム・カルシウムー塩化物泉が注がれています。
波の音と硫黄系の香りに包まれて、乳白色の湯に浸かれば、それは最高の癒しです。

ホテル浦島「玄武洞」(画像提供:ホテル浦島)

もう1つの天然洞窟風呂「玄武洞」がある日昇館は、本館・山上館とは違う泉質の温泉が使われており、ゴボッゴボッと注がれるお湯は、地球の呼吸が伝わって来るかのよう。
玄武洞の海側の浴槽には、無色の硫黄系のお湯があるのも興味深いところ。
私は内湯の「磯の湯」に注がれる、無色透明の44.2℃、ph7.8、成分総計3606mg/kgの含硫黄-ナトリウム・カルシウムー塩化物泉の「磯の湯1号泉」がとくに気に入りました。

ホテル浦島(日昇館)からの朝日

日昇館からは、天気に恵まれると“日昇館”の名の通り、日の出を拝むことができます。
水平線から昇る太陽を眺めれば、その日は、きっといい1日になりそう。
日帰り入浴も行っている「ホテル浦島」ですが、できることなら泊まりで、贅沢を言えば、連泊で湯巡りしながら泉質の違いを感じて、存分に湯浴みを楽しみたいものです。
Go To トラベルを活用し、東京からJR・宿泊料金込みで連泊すれば、かなりお得です!

鮪素停育(マグロステーキ)弁当

勝浦の温泉を思い切り楽しんだら、紀伊勝浦の駅弁を存分に満喫したいもの。
川柳」の看板駅弁といえば、「鮪素停育(マグロステーキ)弁当」(1080円)!
国鉄からJRに移行した昭和62(1987)年、新生JRから「ご当地名物を使った新作を」と開発依頼を受けて誕生したという、全国的にも希少な“マグロ駅弁”です。
鮪が描かれた少し横長のボックスには、紀伊勝浦の味がたっぷり詰まっています。

鮪素停育(マグロステーキ)弁当

【おしながき】
・白飯
・さんま寿司
・めはり寿司
・マグロステーキ レタス
・有頭海老 ブロッコリー
・ウインナー
・玉子焼き
・きんぴらごぼう

鮪素停育(マグロステーキ)弁当

蓋を開けると、特製たれで絡めて揚げられた“マグロステーキ”の甘い香りが広がります。
「川柳」によると、安全性を最優先する駅弁である以上、生のマグロは使えないことから、試行錯誤を重ねて、この“ステーキ”に落ち着いたと言います。
後に「さんま寿司・めはり寿司」も盛り込むリニューアルを行って、勝浦の味を1つの折で楽しめる形にしたそうで、すっかりロングセラー駅弁の1つとなりました。
紀伊勝浦から乗るときは、このたれの甘い香りを感じないと、旅が始まりませんよね!

283系電車・特急「くろしお」、紀勢本線・新宮~三輪崎間

「くろしお1号」として新宮へやって来た283系電車は、新宮12:50発の「くろしお24号」として、熊野灘をバックに新大阪へと戻って行きます。
自然が造る雄大な景色のなかで、地球が育む温泉の恵みと、海の幸を存分に楽しめる紀勢本線の鉄道旅。
万全の対策をして、思い切って足を運べば、きっと身も心も満たされることでしょう。

連載情報

ライター望月の駅弁膝栗毛

「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!

著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/

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