「多様なエリートの政党」である米民主党への不満~トランプ氏の獲得した7400万票
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2020年11月24日 17時35分
ウィルミントンで、報道陣の質問に答えるバイデン前副大統領(アメリカ・デラウェア州)
ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(11月24日放送)にジャーナリストの有本香が出演。バイデン氏が政権発足に向けて、閣僚と高官6つのポストの人事を発表したニュースについて解説した。
バイデン次期政権が閣僚候補を発表
アメリカ大統領選挙で勝利宣言をした民主党のバイデン氏は11月23日、2021年1月の政権発足に向け、閣僚と高官6つのポストの人事を発表した。
飯田)かなり注目されていましたけれども、国務長官にはブリンケン元国務副長官の名前が挙がっています。大統領選そのものの行方も、まだまだというところではありますが。
有本)日本ではあまり報道されないので、ご存じない方もいらっしゃるでしょうけれども、トランプ大統領側は、この選挙そのものに大規模な不正があったのではないかということで、法廷闘争に打って出ています。州によっては、それが法廷にまで行かなかったところもありますが、最終的には、最高裁での判断を待つということです。トランプ政権側の弁護士はジュリアーニ元ニューヨーク市長です。80年代に初めてニューヨークに行ったとき、本当にニューヨークは怖い街だったのです。そこからマフィア勢力を一掃して、ニューヨークをいまのように歩ける街にしたという名市長です。
飯田)昔歩けなかったわけですよね。
有本)歩けるどころではないですよ。最初に行ったとき、「何てところだ」って思いましたからね。
飯田)地下鉄も怖かったっていうね。
有本)9.11のテロのときも、非常に目覚ましい働きをされた方が、トランプさん側の弁護士としてついてやって行くということで、まだ頑張っているわけです。そこで、バイデン氏側は、自分たちが1月からは政権を担うのだということで、日本時間で昨日(23日)の夜中、閣僚の候補が発表されました。アメリカの場合、上院で承認を受けなければならないので、いろいろ言われていた国務長官に関しても、上院で無理だという人ははじかれましたね。
飯田)スーザン・ライスさんとか。
人種や性別をいちいち言う必要があるのか
有本)日本にとっては、いちばんなって欲しくなかった人ですね。ただ、長年バイデンさんの側近をしているブリンケンさんもいろいろなことを言われています。バイデンさんの、特に息子さんにまつわるスキャンダルもあります。黒人の女性である、トーマスグリーンフィールドさんを国連大使に、あるいは、キューバ系アメリカ人のマヨルカスさんを国土安全保障長官に指名していますが、「人種や性別をいちいち言う必要があるのだろうか」と思うのです。
飯田)仕事ぶりとか働きにどこまで関係があるのか。
「多様なエリートの政党」である民主党への不満がトランプ氏の獲得した7400万票となった
有本)それなりに皆さん立派なキャリアをお持ちの方だとは思うけれども、このように高度な国家を担うだけの重責に就く人のことを、属性で紹介するのは失礼ではないかと思うのです。むしろ平等感がないような気がします。日本も機会の平等は完全に保障されているなかで、「女性がこうなりました」ということを、ことさらに言われるのは、女性として、私は抵抗があります。「多様性のある人事を」ということで、これで売り出そうとしているのだとすると、「それは違うのではないか」と思ってしまいます。
飯田)そもそも言われているアメリカの分断が何かというところです。民主党というのが、多様なエリートの政党になってしまった。これに対して、一般の人たちが「それは違うのではないか」という怒りが、トランプさんの獲得した7400万票のかなりの部分を占めているとも言われています。修復するのならば、別のアプローチをしなくてはならないのだけれど、オバマさんのときとあまり変わらない感じがします。
有本)いま、まさに「多様なエリートによる」とおっしゃったではないですか。この「多様な」というのは、人種的なとか属性の問題であって、「エリートたちによる政治が行われて来た」という意味では、多様性がないことが問題なのです。4年前のトランプさんがヒラリー・クリントンさんに勝ったときも、ラストベルトでの得票もまさにそういうことだったわけではないですか。
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