バイデン政権になると「日米同盟のあり方」はどう変わるのか
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2020年11月27日 17時35分
19日、米デラウェア州で記者会見するバイデン前副大統領(ゲッティ=共同)
ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(11月27日放送)に前統合幕僚長の河野克俊が出演。バイデン氏が「大統領日報」を受け取ることが正式に許可されたというニュースについて解説した。
バイデン氏が大統領日報を受け取ることをホワイトハウスが許可
「大統領日報(PDB)」というのは、国家情報長官室が大統領や副大統領、上級顧問のために作成する文書のことを言う。アメリカの大統領が毎日、情報機関から受けるものだが、ホワイトハウスは26日までに、バイデン次期大統領が大統領日報を受け取ることを正式に許可したようだ。機密情報のブリーフィングを受けられるのは、大統領選に勝利した候補者に付与される最初の権限の1つで、そうした情報には、大統領に就任後すぐに直面する国家安全保障に関する事項が含まれているということである。
飯田)いつ始まるかということは、現時点では不明だとアメリカのメディアは伝えていますが、この権力の移行期というのは、安全保障上は注意しなくてはいけないポイントですか?
河野)もちろんです。ある意味で空白期間になります。この時期に、王毅外相が日本、韓国を訪問しているのも、いまトランプ大統領が身動きの取れない状況なので、そこを突いているということは間違いないと思います。そして、今回の大統領日報ということですが、これもよく言われていますけれど、ゴア対ブッシュのときも決着がつかなくて、この移行期の安全保障上の申し送りの遅れが、9.11の対応につながったということも言われています。いずれにしろ、移行期における安全保障上のトランジションというのは非常に重要ですので、大統領日報、情報のブリーフィングだと思いますが、これが受けられるようになったということは、大きな前進だと思います。
飯田)台湾に、アメリカのインド太平洋軍の情報方のトップが訪問しました。あれもこういう移行期だからこそ、というのを睨んでのことなのでしょうか?
河野)トランプ大統領が台湾に対して力を入れていますよね。厚生長官を送るなど、高官を相当送っています。その一環として、インド太平洋軍の情報担当の責任者も送って、緊密化をはかっています。これは移行期だからということではなく、まだトランプ大統領の政策の下でやっているということだと思います。
バイデン政権に移行した場合~米の方針が危ない方向に行くことはない
飯田)なるほど。今後、選挙の訴訟がどうなるかというのはありますが、仮にバイデン政権に移行して来たということになると、外交安全保障でどういうスタッフになるのかということは、日本にとって重要だと思います。国防長官はまだ出ていないですが、国務長官がブリンケンさんという方だということです。どういう外交、安全保障政策になりますか?
河野)国務長官は決まりましたよね。国防長官には、フロノイさんがなるのではないかと言われています。この方は、前に国防次官の経験もされている方なのです。同盟国との関係も、常識的にコントロールされる方だと聞いています。トランプ大統領の場合、リーダーシップが強く、トップダウンという決定の仕方だったと思います。しかし、バイデン元副大統領については、おそらくパーソナリティ的にリーダーシップを強く発揮されるより、ボトムアップを重視される方だと思いますので、国務、国防にそれなりの方をおけば、大きくアメリカの方針が転換するとか、危ない方向に行くということはないと思います。
飯田)一時期スーザン・ライスさんという方が来ると、相当中国に融和的になるのではないかと言われていましたが。
河野)私はスーザン・ライスさんをよくは知りませんが、いま飯田さんが言われたような評価がありますよね。
飯田)オバマ政権時代の評価が。
河野)ただ、当時の中国にアメリカが抱く脅威の認識と、実際のいまとではまったく違って来ていますから、そこはスーザン・ライスさんも認識は変わっているのではないかと思います。
日米同盟の重要性を理解しているバイデン氏~しかし日本が相応の責任、負担をすることは変わらない
飯田)民主党政権は、国防費を減らす方向性に行くのではないかと言われています。そうすると、アジア太平洋での米軍のプレゼンスはどうなりますか?
河野)バイデン氏は同盟国重視ということを明言されています。私は現役時代にバイデン氏にお会いしたことがあります。そのときにも、日米同盟の重要性を強調しておられました。その認識は間違いないと思います。ただ、バイデン次期大統領も言っておられるのが、同盟重視だということです。だから「アメリカにすべて任せてくれ」という話ではないのです。「一緒にやって行きましょう」ということなのです。日本が勘違いをしてはいけないのは、日本も「相応の責任、負担をしなくてはいけない」ということです。それはトランプ政権時代と変わらないと思います。
飯田)集団的自衛権の一部容認ということになったではないですか。これは「日本も責任を負おうとしているな」とアメリカは思っていますか?
河野)これは大きいですね。特に安全保障法制で、もう1つ日米同盟という観点から大きく前進したのは、平時からアメリカの軍艦や飛行機を、アメリカが要請すれば守れるようになったのです。集団的自衛権は有事の話ですが、これは平時の話で、いま現在、目に見える話ですので、非常に感謝をされました。
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