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笙奏者・宮田まゆみ~最初の3年間は楽器に触ることができない「雅楽の練習法」

ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2020年12月1日 8時10分

笙奏者・宮田まゆみ~最初の3年間は楽器に触ることができない「雅楽の練習法」

黒木瞳がパーソナリティを務める番組「あさナビ」(ニッポン放送)に音楽監督・笙(しょう)奏者の宮田まゆみが出演。笙を演奏するまでの経緯について語った。

宮田まゆみ

黒木)今週のゲストは雅楽で使われる東洋の伝統楽器「笙(しょう)」の演奏家、宮田まゆみさんです。宮田さんはもともと国立音楽大学のピアノ科で学ばれていたということですが。そこから雅楽と出会ったのですか?

宮田)「音楽美学」の授業で古代ギリシアや古代中国、古代インドなどの音楽観を教えていただいたときに、古代の人たちの共通する感じ方には、「宇宙のハーモニー、森羅万象に響きがある」という考え方を教えていただいて、「私も宇宙の響きを聴いてみたい」と思ったことがきっかけです。

黒木)宇宙のハーモニーに出会われて、すぐに雅楽に行ったのですか?

宮田)そうはならなかったですね。雅楽は実際の演奏も聴いたことがあり、面白い音楽だなとは思っていたのですが、すぐに飛びつきはしませんでした。ある日、見慣れた近所の風景のなかで、雲の間から光が差して来たのです。その景色と笙の音が完全に一体化して、「これが自分が探していた音楽なのではないか」と思いました。それから実際に笙を習いに行ったのです。

黒木)それは大学在学中ですか?

宮田)いえ、大学卒業後です。

黒木)初めて音が出たとき、どんな感じでしたか?

宮田)雅楽の楽器の場合、3年以上楽器の音をなぞった歌を練習して、その間は楽器は持たないのです。雅楽の曲は、知らない人が聴くと捉えどころがないので、初心者の場合には、昔から「唱歌(しょうが)」というシステムがあって、歌って曲の流れを覚えるわけです。それがきちんとできるようになって、初めて楽器を持つことができるのです。

黒木)そういうものなのですね。それは他の楽器もそうなのですか?

宮田)笙に限らず、篳篥(ひちりき)や龍笛なども同じです。まずは歌で雅楽の旋律を覚えて、覚えられたら初めて楽器を持ちます。そこで楽器を持つと自然と音楽が流れ出て来るというような、そんな練習の仕方です。

黒木)面白いけれど、大変そうですね。

宮田まゆみ

宮田まゆみ(みやた・まゆみ)/音楽監督、笙奏者

■1954年生まれ。東京都出身。国立音楽大学ピアノ科を卒業後、雅楽を学ぶ。
■1979年より国立劇場の雅楽公演に出演。
■1983年より「笙」のリサイタルを行って注目をあび、第3回リサイタルにより芸術選奨文部大臣新人賞を受賞。
■1998年の長野オリンピック開会式では「君が代」を演奏。
■海外ではニューヨーク・パリ・アムステルダム・ミラノ・ウィーンにてリサイタルを行う他、ドナウエッシンゲン現代音楽祭、ウィーン現代音楽祭に招かれ、数多くの国際的作曲家の新作初演を行うなど、西洋の音楽家と積極的に交流。
■現在、国立音楽大学招聘教授。古典的な演奏の他に、オーケストラとの共演や現代音楽にも取り組み、「笙」の音色を通じて、多彩な音楽表現を追求している。
■雅楽の合奏研究を目的に1985年に発足した雅楽演奏グループ「伶楽舎(れいがくしゃ)」の音楽監督を務め、第50回ENEOS音楽賞・邦楽部門を受賞。

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