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「胎児検査」を考える~日本ダウン症学会理事長・玉井浩

ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2020年12月1日 19時0分

「胎児検査」を考える~日本ダウン症学会理事長・玉井浩

ニッポン放送「すくすく育て 子どもの未来健康プロジェクト」(11月29日放送)に、日本ダウン症学会理事長の玉井浩が出演。ダウン症の専門家から見た「胎児検査」について語った。

ニッポン放送「すくすく育て 子どもの未来健康プロジェクト」

自見はなこ:玉井先生のお子さん(三女・みほさん)もダウン症のため、育児について取材を受ける機会も多いそうですね。

玉井:赤ちゃんのころは筋力が弱くて、哺乳するのも弱々しく、妻は母乳を絞ってスポイトであげていたこともあります。また手術も何度か受け、よく入院していたので、子育てというよりも、毎日夫婦で分担して奮闘していたというのが実際のところですね。よく家族会などで講演を依頼されますが、医師でもあり親でもあるので、父親としての気持ちを喋って欲しいと言われたりします。しかし、そんなに褒められた父親ではなくて……(笑) 子どもは家族のなかだけで生きているわけではなく、社会のなかでも生きているわけですから、家族以外の人とも気持ちよく暮らせるように、決まりを守れるように育てましょうと、よくみなさんにお伝えしています。

自見:みほさんは、2年前に成人式を迎えられて、奥様の振袖を着られたそうですね。

玉井:おめかしするのが好きなようで、とても嬉しそうにしていました。妻が20歳の成人式のときに着ていたもので、私たち親の方が嬉しかったです。

自見:みほさんの存在は、他のご兄弟の生き方にもいい影響を与えたと、玉井先生はお考えだそうですね。

玉井:はい。みほは4人兄弟の末っ子で、小さいころはよく入院していたので、兄弟には留守番をお願いすることが多かったのです。いつも「申し訳ないな」と思っていましたが、逆にとても我慢強い子に育ってくれました。みほが20歳になったときに、すぐ上の姉が書いた手紙があります。文章の最後に、「私はいいお姉ちゃんになれたかな?」とありました。私たち親は、子どもたちにはいつも我慢させていると思っていたのですが、兄弟は兄弟として、できることを精一杯やっているのだと思い、嬉しくなりました。

淵澤由樹(アシスタント):ダウン症に関して、よく取り上げられる話題に「胎児検査」があります。専門家のお立場から、どのようにお考えですか?

玉井:超音波検査の進歩により、かなりのことがわかるようになって来ています。今回、話題になっているのは、妊娠中の母体血液中には胎児由来のDNAがわずかに混入していて、その微量なDNAを解析することで、胎児の遺伝子情報を知ろうという技術です。母親の血液検査でわかるという簡便さから、安易に検査を実施されることが懸念されて来ました。不安を持つ妊婦が多く、十分なカウンセリングを受けずに染色体異常と診断され、不安のあまり中絶に至るケースが多いと聞いています。

現在、厚労省でも出生前検査のあり方について、まさに議論が開始されたところです。中絶のように、命の選別につながるということで問題視されています。不安になる理由としては、「ダウン症」などの名前は聞いたことがあっても、実際に見たことがなく、どのような暮らしをしているかなど、一般の方は知らないことばかりだからです。

病院で知らされるのは、合併症など病気のことばかりで、「育てるのが大変ですよ」というネガティブな情報しか聞かされません。暮らしの実態、どんな教育が受けられるのか、仕事はできるのか、コミュニケーションはとれるのかなど、一緒に暮らせばすぐにわかるようなことでも、「知らない」という実情が不安の材料になっています。

自見:知ってもらうことが大事ですよね。

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