発足直後に窮地に立たされる「バイデン政権の厳しい事情」
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2020年12月14日 17時45分
米デラウェア州ウィルミントンで演説するバイデン次期大統領(アメリカ・ウィルミントン)
ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(12月14日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。アメリカ大統領選をめぐり、テキサス州が選挙結果を無効とするよう連邦最高裁に求めた訴訟で、最高裁が訴えを退ける決定をしたというニュースについて解説した。
アメリカ大統領選、最高裁が法廷闘争を退ける
アメリカ大統領選挙をめぐって、テキサス州が接戦州4州の選挙結果を無効とするよう連邦最高裁判所に求めた訴訟で、最高裁は12月11日、訴えを退ける決定をした。法廷闘争によって勝敗を覆そうというトランプ大統領の思惑は事実上終焉を迎えたと見られている。
飯田)これは憲法上違反するのではないかという話だったのですが、州の政府にそのような権限はないだろうということが最高裁の判断として下ったそうです。
「最高裁は大統領選挙の問題に関与しない」ということ
須田)そのような権限があるかないかということよりも、今回は「却下した」という、ある意味での門前払いという形になったわけです。その意味は何かと言うと、そのような訴えを起こす権利があるかないかということ以前に、「最高裁としてはこの大統領選挙の問題に関与しませんよ」というスタンスを示したということです。テキサス州、また法務長官としては何を要求したのかと言うと、法廷においてとにかく我々の話を聞いてくれというものだった。それについて聞くこともせず、門前払いということで却下してしまった。おそらく今後もそのような形になるのだろうと思います。ですので、事実上の終焉を迎えたということになっているのですが、はたしてこれで全部の決着がついたのかと言うとそうではなくて、憲法上の規定がある州議会判断というものがあるのです。不正が行われた場合は、「選挙人ではなくて州議会が大統領選挙を投票する」という憲法上の規定があるので、州議会の判断はまだ残されているということなのです。
飯田)各州の州議会ですか。
須田)そうですね。ですから、そこに一点突破で懸けて行くしかないのだと思いますが、相当厳しい局面になったことが明らかになったのだと思います。
飯田)最高裁は保守派が多いとされていましたが、これに関しては思想信条ではなく、憲法との照らし合わせで今回の判断が下った。最高裁としては、党派的な仕事はしないということですよね?
須田)その判断をしなかったということです。
ペンス副大統領が「不正があったから開票しない」という選択肢もある~議会で大統領を選出するという可能性も
飯田)選挙人投票は現地時間の14日にかけて出て来ますが、一応は過半数に必要な270人を超えるだろうと。大統領として正式に選出されるという運びになる。これは揺るがないところなのですか?
須田)ただ不思議なことに、投票したものについては副大統領のもとに届けられるのですが、その時点ではまだ開票はしません。
飯田)まだ開票しないのですね。
須田)2021年1月6日になって、ペンス副大統領が開票して、結果的に選挙結果を確定させるという作業があります。そのときに、もちろんそうならない可能性の方が高いとは思いますが、「開票しないという選択肢もある」という説までアメリカのなかでは出ています。
飯田)開票しない?
須田)「不正があったから、これについては副大統領には開票しないという権利があるのだ」と。これは副大統領というよりは上院議長の立場です。
飯田)なるほど。そうすると、1月6日に大統領選出ができなかったら議会で選出するということになるのですか?
須田)そのような可能性もゼロではない。
政権発足直後からレームダック状態になりかねないバイデン政権
飯田)合衆国憲法なりを読むと、そうとも読めると。否定はしていないということですね。
須田)本質的にはセレモニーとしての開票作業なのだけれども、そこのところで開票をしないという権利はあるのかないのか、という議論がアメリカでは起きているのです。
飯田)そうすると、まだ紆余曲折はあるかも知れない。
須田)いずれにしても、バイデン大統領が選ばれた後もトランプ大統領を含めて共和党周辺は、「この選挙には不正があったのだ」という主張や活動を取って行って来ると思うので、下手をすると政権発足直後からレームダック状態になりかねないのです。
ねじれ議会になる可能性が高い~民主党内での内紛も
飯田)なるほど。他方、2021年1月にはジョージアの2つの議席の確定をさせる選挙が行われる。この結果によっては共和党が定員を占める可能性が高いと言われていますが、そうするとねじれ国会も相まって、レームダックが進むということになるのですか?
須田)そうですね。2議席のうち1議席でも共和党が獲得すれば、ねじれ議会になりますので。おそらく1議席は共和党が確保するのだろうと私は思います。それだけではなく、民主党のなかでも内紛が起こっているのです。いまの閣僚名簿の予想の顔ぶれを見ていると、特に左派のバーニー・サンダース氏周辺の人たちが選ばれていないのです。これに対して、「我々の協力なくしてバイデン大統領の当選はなかっただろう」と、強い不満をバーニー・サンダース氏は発信しています。
飯田)「俺たちが降りたからこそ、バイデンが民主党の代表になれた」のだと。
須田)降りただけではなくて、政策協定を結んでバイデン推しをしたわけですから、それに対して閣僚人事で指名されないということに、強い不満を持っているのです。ですから、民主党のなかも割れ始めているのです。
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
米連邦下院選も共和党が勝利、大統領、上下両院ともに共和党が制する「トライフェクタ」に(米国)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年11月14日 11時40分
-
米大統領選、激戦2州含む南東部の全州でトランプ氏が勝利(米国)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年11月7日 10時55分
-
米大統領選の開票進む、結果は残る激戦5州の結果次第(米国)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年11月6日 16時15分
-
米議会選、共和党が上院の過半数奪還 下院でも伸長
ロイター / 2024年11月6日 15時48分
-
選挙判明が長引けば、相場はFOMCが左右!
トウシル / 2024年11月6日 15時43分
ランキング
-
1文京区のマンション火災で2人死亡、火元は猪口邦子参院議員宅…夫と娘1人と連絡取れず
読売新聞 / 2024年11月28日 10時25分
-
2北条氏政の墓所で卒塔婆を燃やした男、神社でご神木に火をつけた疑いで逮捕…樹齢250年の木から白煙
読売新聞 / 2024年11月28日 7時18分
-
3「子供の小遣い程度」「到底納得できない」旧ビッグモーターが12万人へのお詫びに選んだ品
週刊女性PRIME / 2024年11月28日 7時0分
-
42025年に思い出が消える!?「ビデオテープが見られなくなる」問題【THE TIME,】
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年11月27日 9時0分
-
5輪島市など震度5弱、住民不安「電柱倒れるのでは」…元日とは別の断層の可能性
読売新聞 / 2024年11月27日 21時54分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください