「Go To トラベル」全国一斉の一時停止~一方で外国からのビジネス入国者にはPCR検査もせず
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2020年12月15日 17時30分
新型コロナウイルス感染症対策本部を終え記者団の取材に応じる菅義偉首相=14日午後、首相官邸
ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(12月15日放送)に自由民主党・参議院議員の青山繁晴が出演。Go To トラベルが全国で一時停止されたニュースについて解説した。
菅総理~「Go To トラベル」全国一斉の一時停止を表明
菅総理)年末年始というのは、集中的に対策を講じられる時期だと思いました。そうしたなかで、Go To トラベルを全国で一旦停止すべきであるという決断をいたしました。
菅総理大臣は12月14日、総理官邸で開かれた新型コロナウイルス感染症対策本部で、観光支援事業「Go To トラベル」について、12月28日から2021年1月11日まで、全国一斉に利用を一時停止すると表明した。
飯田)従来の札幌・大阪に加え、東京都、名古屋市を目的地とした旅行については、今月(12月)27日まで、Go To トラベル事業の対象から除外するということも合わせて決定されたようです。青山さんはどうご覧になりますか?
Go To だけが原因か~韓国・中国からのビジネス入国者はPCR検査もせず入国している現実
青山)第3波の原因がGo To トラベルだけにあるかのような話にすり替わっているのが、奇怪な話だと思います。中国・韓国を含めて、ビジネスで来た方には検査なしの入国を認めていますよね。それが第3波の発生と関係があるのかないのか、そういう疫学的な調査が行われていないのです。PCR検査も一切やっていません。
飯田)事前の証明書があれば、というような。
青山)そうなのですが、日本政府はどうやってその証明書を保証するのでしょうか。短く整理して言うと、まず外務省がその国の感染状況をレベル1~レベル4まで分けます。ほとんどの国はいまレベル3です。つまり日本に入国するときには、少なくともPCR検査などを受けなければ入れないということになっている。しかしそうではなく、レベルをもう1つ下げた国々があって、それが9ヵ国あります。そのレベル2の国のなかに、中国・韓国が入っているのです。
渡航レベル2の9ヵ国~中国・韓国も含まれている
青山)中国だけを標的にして言うわけではなく、客観的に言って、武漢熱の発生源となった中国において、いま感染は収まっていると中国共産党は言っているわけですが、その根拠は何なのか。世界的な疫学の追跡によって、どうも今回のウイルスは異常な点が多く、せっかく免疫を獲得しても平均3ヵ月ほどで消えている、あるいは弱まっている。そうすると一旦収まった中国で、免疫が消えた後の感染状況がどうなのか、公衆衛生は日本並みになっているのか……保証はどこにもないわけです。レベル2というのは、外務省の区分けのなかでは「不要不急の渡航は止めてください」というものになっているのですが、逆に言えば「急ぐ方はどうぞ」という話なのです。これを「ビジネストラック」と称し、「トラック」というのは要するにビジネス用途という意味です。ニュージーランドなども入っていますが、これで来られる中国、韓国を含めた9ヵ国の方は現在、日本の空港に着いたときにPCR検査も受けないで、陰性証明書を持っていれば、それでOKなのです。私に対する弁解として役所が繰り返しおっしゃるのは、「公共交通には乗らないように求めています」ということだけです。
飯田)求めている。
青山)本当に乗っていないのかどうか、フォローしていません。さらに政府の弁明としては、「その後きちんと受け入れ先の日本企業でフォローアップしています」ということです。日本企業は私も信頼しているし、信頼したいけれども、強い姿勢の中国側と商売されている日本企業が、完全に彼等をコントロールできるのか。できないでしょう? それがむしろ正当なご商売というものではないですか。商売ではそれができないから行政でやるというのが、立法府の私たちを含めた政治の責任ですよね。
肝心な外国からの入国が「手付かず」
青山)いまPCR検査は、偽陽性・偽陰性はありますけれども、だいぶよくなりましたし、何よりも時間が短縮されて、早いものだと1時間です。ですから空港に1時間いていただければいいわけです。費用もずいぶん抑えられました。それを考えると、Go To トラベルの問題だけではなくて、全体を見なければいけない。人の移動が感染症を拡げるということが基本的にはありますから、Go To トラベルが関係ないということは申していません。もちろん関係があるでしょう。しかし、肝心な外国からの変異したウイルスの持ち込みというのを、いわば手付かずの状態にして……手付かずというのは、中国・韓国のビジネス用途だという方については手付かずですよね。さらに言えば、本当にビジネス用途なのかと。私のところにも一般の方から、例えば空港で目撃するとそうは見えないという声があります。それは単に見かけだけということもあり得ますが、そこも含めて本来は行政が責任を持たなければいけない。第3波が起きて、しかも通常の感染症の場合、波を重ねるごとに小さくなって行くのが、逆に深刻になっています。これからワクチンで食い止めるわけです。しかしワクチン万能説に立ってもいけないので、Go To トラベルを見直すのはむしろ当たり前のことです。移動制限というのは避けられませんから。
公衆衛生レベルが高い日本の文化的側面
青山)ワクチンが出たら出たで次に問題になるのは、さすがの日本人も気が緩んで来るかも知れない。ただ、手を洗わなくなるというのは日本では想像しにくいです。もともと手を洗っていますし、玄関で靴も脱ぎます。本当は床面にいちばんいるのです。空気中に漂っているウイルスは必ず落ちますから、少ないのです。どんなに小さくても重さがありますし、重力で下に落ちる。しかも飛沫に乗るとかなり重たいので、すぐ落ちるわけです。床面には必ずウイルスがある。日本はどんな高級洋風マンションでも、玄関には三和土(たたき)があって、そこで皆さん靴を脱がれるので、家のなかに持ち込まれるウイルスが少ない。本当は玄関で下着姿になるといいのです。ウイルスは自分で移動できないから、下着には付かないので……。
飯田)表面の服に付く。
青山)そうです。だからそこで止めて、危機管理で言うゾーニングをし、すぐに浴室に入ってシャワーを浴びれば下水に流れて行き、日本の下水は優秀なので戻って来ません。それで相当防げるから、インフルエンザ自体も極端に少なくなっているわけです。
日本国民の移動だけが問題ではない
飯田)確かにシンガポールや香港なども、一時期ビジネス往来を再開しましたけれど、香港は感染者が増えた段階ですぐにこれをやめた。感染症相手なのだから、その辺りは柔軟にオン・オフをやらなければいけないですよね。
青山)そうなのですよ。人の移動が感染拡大のキーワードの1つなのですが、日本については国内の日本国民の移動よりも、公衆衛生のシステムが違う、靴を脱ぐ習慣も違う、外国からの人の移動の方が、あるいは日本人でも外国に行って戻って来るときの方が、おそらくは深刻なのです。しかしその疫学調査をきちんとやっていないということが、ごまかしに見えるわけです。常に中国に対しては優先権を与え、遠慮をする。尖閣諸島だけではなく。だから岸さんの、中国の国防大臣に対する発言は画期的なのです。本当はこれが画期的ではいけないわけです。岸防衛大臣のおやりになっていることが、国際社会でも普通です。だから感染症についても普通のことをやらなければいけません。日本国民の移動だけを問題にしないでいただきたい。
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