米財務省のハッキング被害~日本がサイバー戦を生き残るには
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2020年12月15日 17時35分
米財務省の庁舎(アメリカ・ワシントン)
ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(12月15日放送)に自由民主党・参議院議員の青山繁晴が出演。アメリカ財務省などが外国政府によるハッキング被害を受けたというニュースについて解説した。
アメリカ財務省などが外国政府からハッキングされる
ロイター通信は12月13日、アメリカ財務省など、複数の政府機関が数ヵ月にわたって外国政府によるハッキング被害を受け、職員のメールなどを監視されていたと報じた。また、アメリカのワシントン・ポスト電子版は、ロシア政府のハッカーが背後にいるとして、FBIが捜査していると報じている。
飯田)ここ数年でも最大規模のサイバー攻撃だと各メディアは伝えています。
サイバー空間での第三次世界大戦は始まっている
青山)こんなことは日常茶飯事のことです。私はだいぶ前から、「第三次世界大戦は既に始まっている」と申しています。それはサイバー空間での第三次世界大戦なのですが、実害を含めて事態は相当深刻です。第二次世界大戦のように、生身の人間が数千万人も殺されることがないのでわかりにくいのですが、実害はとても大きいのです。
攻撃しない限りサイバー攻撃は防ぐことができない
青山)主な参戦国はアメリカとロシアと中国と北朝鮮とイスラエルと、その他いくつかの国です。アメリカが主たる参戦国なことは事実です。軍のどこかということは正確に言えませんが、民間の専門家として、ある米軍の指令機能のあるところへ何度か行く機会がありました。あるとき、「きょうは違う人と議論して欲しい」と言われて、行った先がサイバー戦の司令官の部屋でした。「いままでアメリカは防ごうとしていた。しかし、これはもう攻撃しない限り、サイバーで防ぐことはできないということを我々は悟った」と。「サイバー空間で、専守防衛ということはあり得ず、攻撃するしかないのだ」と言いました。私は自由な立場でしたから、「このことを日本の防衛省・自衛隊にきちんと伝えてくれ、総理大臣にも伝えてくれ」とお願いされました。
日本も巻き込まれていて、ハッキング対象となっている~防衛費は10兆円必要
青山)すぐに自衛隊も攻撃能力を持たなくてはならない。これは日本にとっては9条で予想していない事態で、「サイバー空間で、これがどういう攻撃と防御にあたるのか」ということがまったく整理できていないのです。だから私は、日本を先ほど言いました主たる参戦国に入れていませんが、すでに完全に巻き込まれているのです。当然、ハッキングされるのはアメリカの財務省だけではありません。しかし、予算額は0が2~3個違います。2個と言いたいのですが、私は3個違うと考えています。日本の防衛費の5兆円ですむわけがありません。それは大半が後年度負担というわかりにくい言葉で言っていますが、本当はローン払いです。
飯田)何年にもわたってという。
青山)日本の防衛装備は輸出できませんし、国産は高い。アメリカから輸入するにしても高い。それから人件費があります。それでほとんど一杯で、自由に使える枠がありません。このサイバー戦を生き残るためには、10兆円必要です。たまたまロシアがハッキングをやってアメリカ財務省が被害を受けた、という話ではないのです。それは氷山の一角どころか、氷山の一角のなかの氷の一かけらというような話です。私たちの生活空間にも入り込んでいて、私のスマホやパソコンはもちろん攻撃対象です。皆さんの日常にも入り込んでいます。そういう意味では、まさしく世界大戦と言わなければいけないときが既に続いているのです。
憲法96条にある「改正条項」
飯田)そしてここにも専守防衛、9条のくびきみたいなものが横たわると。
青山)もう右とか左とかという話ではなくて、まったく時代に合っていないのです。
飯田)70年以上前の……。
青山)公布から74年、施行から73年です。憲法自身がそれを知っているから96条という改正条項があるのです。それを発動することこそ護憲派なのです。私は国会内で「私こそ護憲派」だと、「改正条項を使って時代に合わせようとするのが護憲派です」と言っています。
飯田)「解釈、解釈」で行くと、形骸化してしまうということですよね。
青山)「いまの憲法を変えないということが護憲派」というのはおかしいではないですか。そうであれば、96条の改正条項はないはずですよね。
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