「桜を見る会」安倍氏自らの説明で懸念される“あること”
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2020年12月24日 17時45分
ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(12月24日放送)にジャーナリストの鈴木哲夫が出演。安倍前総理の「桜を見る会」懇親会をめぐる問題について解説した。
安倍前総理、12月25日にも国会で「桜を見る会」懇親会について説明
安倍前総理の後援会が「桜を見る会」前日夜に主催した懇親会をめぐる問題で、安倍前総理自身が25日にも、国会で一連の経緯を説明する方向で与党が最終調整していることがわかった。衆参両院の議院運営委員会で質疑を行い、テレビ中継も検討しているとのことである。
飯田)21日に、任意での特捜部の聴取を受けたということが報じられました。検察の動きが一段落したところで、国会で安倍前総理が説明するのかどうかという話になっています。
鈴木)この件について取材をしていたら、検察の捜査云々より先に、「年内に安倍前総理が何らかの形で国会で説明することになるだろう」という情報が先に出ていたのです。
飯田)そう言えばそうでしたよね。
鈴木)「捜査が終わってから説明する」と言っていたわけです。「年内に説明があるだろう」ということは、「年内に捜査が終わるということが、わかっていたのですか?」という話になります。そうすると、捜査が終わるだけではなく、どういう決着になるかということですが、ここも十分想像がついていて、結局は、政治資金規正法の不記載で、会計責任者だけの責任で安倍さんは「知らなかった」という話になるだろうと。こういう話は永田町では出回っていたわけです。どうもその通りになって来たということです。
飯田)そうですよね。
安倍前総理が自ら国会の場で説明するのが筋
鈴木)問題は、「どういう説明責任を果たすのか」、「どういう形で」ということになって来ます。最初は非公開、いまは公開の場で、そして記者会見でという見方も、23日の夜にはある議員が言っていました。だけど、これはみんなの前に出て来てやらなければいけない。一政治家ではないのです。7年8ヵ月という最長の政権のトップにいた元総理大臣として、「絶対にない」と言っていた政治とお金の問題を、自ら、国会の場で説明することが筋だとは思います。
飯田)野党側は証人喚問、あるいは予算委員会を開いて参考人招致の形にすべきだということを言っていましたが、その辺りも含めて、今回はこの議運でという形になるのでしょうか?
鈴木)これまで過去、こういう事件があったときに、国会でどういう形でやったのかというのはケースバイケースです。でも、これまでと同じ道を辿っているのは、最初は、与党側はできる限りクローズだと言っていた。それに対して、野党側は証人喚問も含めてオープンでやれと言っていた。お互いにそんな遠いところから歩み寄って、最終的には議運の理事会というような場で、一応オープンでというところに収まる。
飯田)真ん中くらいで。
鈴木)「またそのパターンだな」という想像がつきますよね。
飯田)足して2で割るというような、昔ながらの国対政治みたいなものが復活しているのではないかと見えます。
安倍氏が説明することによって墓穴を掘ってしまう可能性も
鈴木)もう1つ気になるのは、安倍さん自身が桜の問題について、ちょうど1年前、12月20日くらいだったと思うのですが、突然出て来て、20分くらいぶら下がりで説明したのです。国会でも黙っていたのだけれども、急にぶら下がりで説明した。これはいいことなのだけれども、説明をすると、そこで出た言葉などで墓穴を掘ってしまうことがあるのです。「では、ここは?」と突っ込まれて、さらに問題が深刻化して行きました。今回も安倍さんが説明をすることによって、そこからまた突っ込まれて疑惑が出て来る可能性がある。そうなると、これがさらに来年(2021年)まで続くかも知れないということになる。
飯田)墓穴を掘ってしまうと。
官房長官当時、桜問題の危機管理から外されていた菅総理~情報がなく、話すことに限界も
鈴木)それからもう1つは、これは菅さんの責任だとも言われています。しかし、当時、官房長官でしたが、桜問題の危機管理は実は安倍さんの周辺がやっていて、菅さんは外されていたところがあったではないですか。
飯田)去年(2019年)のこの時期を考えると確かに。
鈴木)当時の安倍総理の危機管理は本来、菅さんなのだけれども、あのころは安倍さんの周辺と菅さんの間で危機管理に溝があったのです。そのために、菅さんに桜問題についての情報が入って来なかった部分があった。それでも当時、答弁は内閣府で担当が菅さんだから、菅さんが答弁をしていた。
飯田)会見でも菅さんが話していました。
鈴木)当時取材していた人間はわかるけれども、ギクシャク感がありました。当時危機管理をやっていたのは菅さんだからと、いま「桜問題の全責任を」と来られても、菅さんが話すことには限界もあると思います。要するに、知らないこともあったのです。
飯田)あの当時もそうですね。
菅総理は桜問題をきっちり調査するべき
鈴木)だから、いちばんいいのは、菅さんは総理になった瞬間に「桜をやめる」と言ったけれども、そうではなく、きっちりこれを調査するべきなのです。これは、誰がいい悪いという話ではありません。事実関係を調べるのです。それが私はベストだったと思います。それをやらずに「桜はやらない」と逃げてしまって、またこの立件があって、そして安倍さんの説明責任があり、そして「菅さんは」という話になっている。ボタンを掛け違えている感じがするのです。連立与党のベテランに話を聞いたら、「来年は政局の年になるから、とにかく桜問題は年内に収めたい」と。選挙もある。それから菅さんの支持率が下がっているので、「菅おろし」なんて言っている人もいるのですよ。
飯田)もういるのですね。
鈴木)いるのですよ、自民党のなかに。これはかなりベテランの議員です。「そうなるから、とにかく年内に終わらせたい」ということだろうけれども、いま言ったように複雑な部分があるので、これはまた来年に引きずり、政局にさらに加わるというか……。
飯田)突っ込まれて、さらに「こんなメールが出て来たぞ」などということになると……ということですよね。
鈴木)要注意ですよ。
菅総理には「菅官房長官」がいない
飯田)吉川貴盛元農林水産大臣の話も出て来ました。この辺りが支持率に影を落とすのではないかとも言われていますが、「仕事人内閣」なのに、仕事と違うことでこういうことが起こるのは、何とも残念な感じがします。
鈴木)自分が官房長官のときは、まさにそういう危機管理をやって来ました。総理になったら、その危機管理を誰がやるのかという、「そこが不在」だと感じますね。
飯田)菅政権には菅官房長官がいない。
鈴木)感じます。そうなると、来年はまさに政局になる。選挙も絡むでしょう。
飯田)都議選もあるし。
鈴木)コロナ対応もあるでしょう。大変な年になるような予感がします。
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