2020年の文春スクープ~「森友」自殺職員遺書、黒川検事長賭け麻雀、渡部健不倫……
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2020年12月29日 19時33分
ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(12月29日放送)に週刊文春記者の和田泰明が出演。今年2020年の週刊文春のスクープを振り返った。
2020年は3度の「完売」
この出版不況のなか様々なスクープを出し、今年も3度完売を出したという週刊文春。週刊文春の和田泰明記者が、一連のスクープ記事から見た今年を分析する。
飯田)12月16日に光文社から出版された「2016年の週刊文春」。週刊文春の見出しを見れば今年1年何があったか大体わかるだろうという風に書いた批評家の方もいらっしゃいましたが、今年2020年も3度の完売。和田さんは今年都知事選があったので、小池さんを追いかけるということが多かったと思いますが。3度の完売というのが、まず、森友学園の問題で自死された財務省の職員の方の遺書の全部公開。
和田)そうですね。これは私も感動したのですが、相澤冬樹さんという方、告発される方がNHKをやめた相澤さんに告発したいと。だから、NHKの肩書きでとった情報ではないのです。やめたからもらえたと。だから、相澤さんのやはり人間力だったのですかね。
飯田)なるほど。そして、5月28日号、「黒川東京高検検事長、接待賭けマージャン常習犯」という、写真グラビアも。
和田)すごいですよね。これは私はいずれも絡んでいないので、偉そうに言えないのですが、黒川さんなどはやはりすごい取材班や張り込み班がプロフェッショナルな仕事をしたということだと思いますね。
飯田)そして、6月11日号、右のトップが「嘘の女帝小池百合子と同居男、疑惑の錬金術」左のトップはアンジャッシュの渡部建さん。
和田)この渡部さんの件もずっと長い間取材していたみたいです。
編集部の人数と取材チームの組み方
飯田)そうなのですね。例えば小池さんのことを書くということになると、大体何人ぐらいの人がついて書くことになるのでしょうか。
和田)例えば、この「嘘の女帝」というのは石井妙子さんの「女帝」という本が大ヒットしていたのに因んでやったのです。これも私が書いたわけではないのですが、取材班として言って、3、4人だったと思います。大きめの記事の場合は大体チームでやることが多いのですよね。
飯田)なるほど。2016年の週刊文春という本で、なるほどと思ったのが、ある新聞記者の人が、新聞の場合1つの記事を追いかけるのは1人の記者だと。応援が入ることはあっても基本的には1人でやるのだと。しかし、文春の場合はチームで食らいついて一気に食っていくという。
和田)そうですね。そこは編集長の差配というところがあって、監督みたいな感じだと思うのですが、誰がどこに配置するかとか。例えば河井克行夫妻のウグイス嬢の問題のとき。
飯田)規定の額以上を払ったという。
和田)はい。これも私は絡んでいないのですが、10人くらいを広島に一斉投入して、その翌朝8時にウグイス嬢の家を一斉に当たるのです。そのためだけに10人投入して、当然旅費も宿泊費もかかっているわけで、そのお金と労力をかけてあの記事ができているということですね。
飯田)一斉にやるというのはポイントなのですか?
和田)口裏合わせをさせないということですよ。
飯田)なるほど。1件1件当たっていったら「何か変な人がきた」という風(な噂)になってしまうと。
和田)そうですね。だから、ありったけの人材を派遣するという編集長の判断というのも必要ですね。
飯田)とすると、このネタでいく、という風にけっこう傾斜するのですね。
和田)そうですね。
飯田)そもそも編集部って何人くらいいるのですか?
和田)全部で60人くらいと言われていますが、いわゆる記者は30人くらいだと思いますね。
飯田)そのなかの10人投入というのはけっこうな決断ですよね。それが空振りに終わってしまったら空いてしまうというリスクも。
和田)それはもちろんあると思います。だから、そこはリスクをとってやるということだと思います。
飯田)しかし、その10人がいくということは、その住所は全てわれているということですよね、
和田)ウグイス嬢って収支報告書みたいなものがあるのですよ。選挙の報告書があって、お金を渡した人に住所を書いてあるのですよ。
飯田)それが公開情報として出ていると。
和田)そのときはそれがまだ公開されていないときだったかもしれませんが、入手したということですね。
“ネタ”は人間関係がものを言う
飯田)なるほど。では、事前の下調べも含めて、1つのネタを何週間くらい追いかけるのですか?
和田)この河合さんの件はそんなにかかっていなかったと思います。しかし、それこそ1年くらいかけてとか、甘利明さんの件なども相当時間をかけてやっていましたね。
飯田)秘書がいろいろなところからお金をもらっていたり、大臣室でやりとりがあったり。
和田)そうですね。いまどきこういう話があるのかと思いましたが。私はこの取材班に最後の方で少し加わったのですが、最初に聞いたときにこんな人がいるのかとびっくりしました。しかし、告発者は自分が逮捕されてもいいという感じで告発してきた、稀なケースでなかなかないですからね。
飯田)そういうタレコミの真贋ってどうやって見極めるのですか?
和田)いまは文春リークス(※情報提供を受け付けるWEBサイト)ってありますよね。毎日大量にくるので、編集長が見て、大体たくさん見ていると、これはものになるなとか、異様に詳しいものとかけっこうあるのですよ。
飯田)詳細にわたってと。確かに甘利さんの件を告発した人ってものすごいメモ魔だったという話で。
和田)そうですね。あれは完全に記者との人間関係でとってきたネタだったみたいですが。
飯田)人間関係がものをいう場合が多いですか?
和田)そうですね。甘利さんの件で言うと、最初は読売の記者に持っていったけれども、つれなかったと。そして、私の同僚の記者が粘り強くやっていったということでしたね。
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