星野リゾート代表・星野佳路~コロナ禍における旅「マイクロツーリズム」
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2021年1月12日 8時10分
![星野リゾート代表・星野佳路~コロナ禍における旅「マイクロツーリズム」](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/nipponhoso/nipponhoso_266397_0-small.jpg)
黒木瞳がパーソナリティを務める番組「あさナビ」(ニッポン放送)に星野リゾート代表の星野佳路が出演。コロナ禍における新しい旅のあり方「マイクロツーリズム」について語った。
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星野佳路
黒木)今週のゲストは星野リゾート代表の星野佳路さんです。星野リゾートでは新たに「マイクロツーリズム」という旅のあり方を提案されているということです。どのような旅のスタイルなのですか?
星野)マイクロ、小さな単位ですね。家族3人~5人で自家用車に乗って、車で走っても1~2時間くらいの旅に出る、小さな単位で近場に行く。これを「マイクロツーリズム」と呼んでいます。2020年4月から新型コロナの影響で大変なことになって、売り上げが90%落ちてしまった。それでも第1波と第2波の間、第2波と第3波の間の国内需要を狙いました。そのときに、「戻って来てくれる人はどんな人だろうか」ということを考えました。私はこのマイクロツーリズム市場が最初に戻って来ると思ったのです。いろいろな市場調査もかけたのですが、皆さん、遠いところに行くことに対する恐怖感があるのですね。飛行機でどこか遠いところに行く、そしてそこで家族の誰かが熱を出す。そうすると、コロナの疑いということで、帰りの飛行機に乗れなくなります。空港でも熱を測りますし、飛行機に乗る前にも測ります。そうなると、熱があるのに帰れない。その場所で病院に入って隔離されて、というのも怖い。しかし、1~2時間の近場ならば、「あのホテルはコロナ対策をしっかりやっていたからもう1回行こう」ということで、もう1度いらしていただくというところを含めて、マイクロツーリズム商圏を頑張って来ました。
黒木)リピートが大切ということですよね。
星野)そこで、予想以上の業績を残すことができたと思っています。
黒木)緊急事態宣言が解除された2020年6月から展開されたということですけれども、地元に目を向ける、地元のよさを再発見するという、そういうフレーズでお客様を呼ばれたのですか?
星野)そうですね。再発見なのですが、「知っているところだけれど、こういう時期だから仕方ないね」ということになるともったいないなと思うのです。近場でも発見をつくることが大事なので、普段のサービスではなく、「近場のマイクロツーリズム商圏の方々でも興味を持っていただける内容に変える」ということも同時に努力しました。
黒木)例えば、京都の嵐山では、「星のや京都」。
星野)そうですね。京都の嵐山も京都府内、そして大阪、兵庫からいらしていただくにはどうしたらいいかということを、一生懸命考えました。食事の内容も、いままでは遠くからいらしていただくので、「地元食材」ということに依存していました。「ここではこれが有名です」と言えば、遠くの方々には喜んでいただけた。けれど近場の方々にとっては、それは日常なのですよね。ですから、少し料理の内容を変えて、食材は一緒なのですが、「こういう食べ方はしたことがなかった」と工夫してお出しするということを、日本全国でやりました。材料を一気に変えたわけではないのですが、出し方を変える、ということはすごくよかったなと思っています。
黒木)3密を避けてのイベントもやられたのですか?
星野)2020年の夏はお祭りが日本全国で中止になりました。お祭りが中止になってしまったことで、売り上げがまったくなくなってしまった職人さんや陶芸家の方などがいらっしゃるのです。そういう方々と協力して、旅館内に小さな販売所をつくったり、地元の方々が楽しみにしていたお祭りが旅館に一泊すると少し味わえるというようなところを演出しました。そうすると、地元のマイクロツーリズム商圏の方々にいらしていただけて、その上、夏の売り上げのなくなってしまった陶芸家、工芸家、青森の場合はねぶた師さんの仕事を出すことができたのです。2020年の夏は、そのような方々との絆が深まり、それが私たちが得た財産だと思っています。
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星野佳路
星野佳路(ほしの・よしはる)/星野リゾート代表
■1960年、長野県軽井沢町生まれ。
■慶應義塾大学経済学部卒業後、米国コーネル大学ホテル経営大学院修士課程修了。
■1991年、星野温泉(現在の星野リゾート)社長に就任。所有と運営を一体とする日本の観光産業でいち早く運営特化戦略を取り、運営サービスを提供するビジネスモデルへ転換。
■2001~2004年にかけて、山梨県の「リゾナーレ」、福島県の「アルツ磐梯」、北海道の「トマム」とリゾートの再建に取り組む一方、星野温泉旅館を改築し、2005年「星のや軽井沢」を開業。
■現在、運営拠点は、ラグジュアリーブランド「星のや」、温泉旅館「界」、リゾートホテル「リゾナーレ」、都市観光ホテル「OMO(おも)」、ルーズに過ごすホテル「BEB(ベブ)」の5ブランドを中心に、国内外45ヵ所に及ぶ。
■2013年には、日本で初めて観光に特化した不動産投資信託(リート)を立ち上げ、星野リゾート・リートとして東京証券取引所に上場させた。
■2020年、星野リゾートは創業106周年を迎え、「星野リゾート BEB5土浦」(茨城県・土浦市)」や「星のや沖縄」など、新たに5施設を開業。
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