トランプ氏のツイッターアカウント凍結に「パーラー」排除~独禁法に触れるGAFAの許されざる行為
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2021年1月13日 17時40分
ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(1月13日放送)に数量政策学者で内閣官房参与の高橋洋一が出演。米クラフト国連大使の台湾訪問が中止となったニュースについて解説した。
アメリカのクラフト国連大使~台湾訪問を中止
アメリカのポンペオ国務長官は1月12日、政権移行の一環で国務省が今週予定していた外国への公式訪問をすべて中止すると発表した。報道官によると、1月13日から予定されていたクラフト国連大使の台湾訪問も中止。またポンペオ長官は自身のヨーロッパ歴訪も中止すると発表した。
飯田)きょう(13日)から2泊3日で予定していた台湾訪問が中止になるということです。
トランプ氏は大統領就任式に出席するとして、台湾訪問などの政策を最後にやるべきであった
高橋)残念ですね。行っていただいたら、いろいろな意味でよかったのですが。政権移行を円滑にやると言っていますから、トランプさんの意に反してはいますが、就任式に出ると言っておけば、いろいろなことを延期しなくてよかったのだと思います。延期の方が残念ですよね。
飯田)当然中国を睨みながらですよね。
高橋)これだと中国に屈したようになってしまいます。トランプさんが就任式に出ないと言うと、就任式までに襲撃されるからというような報道があります。FBIがそういう情報を入手しているという報道もされています。逆に言うと、トランプさんは「就任式に自分は出るのだから、襲撃などは止めろ」とはっきり言って、最後にいろいろなところに行く政策はやった方がよかったと思います。
飯田)現地6日に起こった議事堂に乱入した事件などが効いて来ているのですかね。
高橋)去年(2020年)12月14日の選挙人投票まではいろいろな手続きもありますから、ここまではよかったと思います。
飯田)結果はどうなるかわからないからですね。
高橋)その後は儀礼的な手続きですから、結果は嫌でも、裁判を受けることと同じ感覚です。あとは平和に行って、台湾の訪問などはやった方がよかったと思います。
飯田)あの当時までであれば司法の方も証拠が出し切れませんでした。
トランプ氏のツイッターアカウントが凍結~独禁法の原則に触れる
高橋)司法の方も不満かも知れませんが、1つのルールです。政治家は何でも結果責任があります。意図と別なことが起こったら、結果の責任を誰かが取らなければいけなくて、政治家はその対象なのです。結果責任の話と、最近起こっているGAFAとトランプさんの関係はまた別の議論です。
飯田)SNSのトランプさんの個人アカウント凍結などが出ています。
高橋)個人企業だと割り切って、個人アカウントの凍結までは理解できます。「独占はいけない、優越的地位の濫用はいけない」という独禁法の原則があります。なぜそれが担保されるかと言うと、ツイッターのように、代替的なという意味で、別の企業がSNSをやってそのサービスを提供できることが必要なのです。そこを確保するのが民主主義の国です。そこが全体主義の国と違うところです。
アップル、アマゾン、グーグルが結託して「パーラー」を排除
高橋)パーラーというトランプさんの支持者である右派の人に人気のSNSのアプリ提供を、アップルとグーグルが停止しましたよね。アップルとグーグルがアプリを削除して、アマゾンの方は運営サービスの提供を打ち切りました。アップル、グーグル、アマゾン、そしてフェイスブックもツイッターと一緒になってやるわけでしょ。GAFAが完全に結託して独占を行使しているのです。こちらの方が気味が悪いです。
飯田)そうですね。
高橋)ツイッター社の話では、フェイスブックが代替機能を果たすとか、フェイスブックがやらないのであればパーラーがやるというのが普通です。それが民主的な解決だと思うのですが、GAFAが独占力を使って、パーラーの供給を止めてしまっています。こういうことはアメリカの独禁法の世界では許されないことです。独禁法に厳しいのは民主党政権でした。民主党新政権の課題がさっそく出ましたね。独禁政策をどうするのか、どのようにして競争を確保して民主主義の世界を保つかということです。ここが試金石になるのではないでしょうか。
飯田)これに関して、いろいろなところから表現の自由との絡みもあり、批判が出ています。ドイツのメルケル首相も、「一企業の恣意的な規約によって表現の自由の機会が奪われるのはどうか」と言っています。トランプさんの言動は別として。
民主主義の危機的な話
高橋)トランプさんの話は別として、民主主義の危機的な話だと思いますよ。トランプさんの話はヨーロッパと似ていて、結果責任があるということです。だからと言ってツイッター社の話、パーラーをダウンロードできなくしたアップル、グーグル、それとパーラーの運営サービスを打ち切ったアマゾンは許されるものではありません。
飯田)アメリカでは、代替策がある場合は、特に政府が介入したりしません。メルケルさんは「ツイッター社が独自にしてはいけない、政府がやるものだ」というヨーロッパ的な考え方です。
高橋)メルケルさんはもともと東ドイツの人だから、そう言うのです。ある意味中国とシンパシーが似ています。普通の民主主義国であれば、介入しないのが普通で、だから独禁法があるのです。トランプ政権だって、グーグルの話について司法省が訴えました。それは基本的に民主主義国のやり方なのです。政府は介入しないけれど、介入するのは独禁法までです。言論については一切言わないということです。
バイデン政権にとって最初の試金石となる
飯田)表現の自由や言論の自由はアメリカの憲法ではかなり上の方にありますよね。
高橋)そのために競争を確保するという意味です。競争を確保するためには企業の進出を止めてはいけません。フェイスブックが責められているのはライバルを全部買収してしまうからです。それはアメリカの標準的な独禁法の考え方です。今回のことは、バイデン政権にとって、最初の試金石となるでしょう。ツイッター社はいろいろな意見を取り入れていて、自分たちは出版社ではないからというロジックがあります。
飯田)プラットホーム企業でメディアではないということですね。
高橋)今回、自分で意見を言ってしまったでしょう。そしたら特権取り消しですよ。
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