阪神・淡路大震災から26年 コロナ禍のなか、祈りを捧ぐ【みんなの防災】
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2021年1月21日 17時20分
「報道部畑中デスクの独り言」(第230回)
ニッポン放送報道部畑中デスクのニュースコラム。今回は、阪神・淡路大震災から26年、オンラインで公開された追悼行事について—
2021年1月17日、6434人が亡くなった阪神・淡路大震災の発生から26年、四半世紀が過ぎました。
追悼行事はおととし(2019年)、去年と東京都内でも開かれ、私も足を運びましたが、今年(2021年)は新型コロナウイルスの影響で東京の開催は見送られ、現地・神戸の行事を含めてオンラインで公開されました。
開催そのものも危ぶまれましたが、主催者のNPO法人代表、藤本真一さんは悩みながらも実施を決断しました。「時間を分散するなど工夫してくれた。続けることが第一だと思う」と話します。
神戸市中央区の東遊園地で開かれた「1.17のつどい」では、「希望の灯り」で「がんばろう 1.17」の文字がつくられました。主催した「阪神淡路大震災1.17のつどい実行委員会」によると、コロナ対策で来訪時刻をずらす人もいましたが、現地には延べ約2万2000人が訪れました。
また、これまで灯ろうに使われていた竹筒の数は2500とほぼ半減。山から切り出して来る竹の調達が、今年はコロナの影響で難しかったそうです。代わりに集まったのが紙製でラミネート加工された筒。その数は8000に上りました。
現地では発生時刻の午前5時46分、その12時間後、午後5時46分にも黙とうがささげられました。希望の灯りは、これまでは神戸から分灯されて東京に向かい、夕方の黙とうが行われていましたが、こちらは見送りとなっています。
オンラインでは午前360人、午後160人が参加し、さまざまな人たちの言葉がありました。
当時、兵庫県西宮市に住んでいた男性は一軒家が丸ごと押しつぶされ、家から出られない状態に。夜が明けたころに救出されました。いまは東京在住、「元気に生かされている」という言葉が印象的でした。
宮城県出身の男性は、26年前は小学5年生。当時、外国で起きた出来事のように思っていたそうですが、その後、東日本大震災で実家が被災。「神戸が立ち直ったなら、我々も立ち直れるのではないか」……そんな思いを胸に毎年、神戸に出向いていました。今回はオンラインでの参加です。
震災から10日後に神戸市東灘区で生まれた男性もいました。生きるか死ぬかは「紙一重」……亡くなった人もいるなか、いま生きていることに感謝と同時に「大事にしなくてはいけない」と話していました。
さらに、震災のときには生まれていない人もいました。
1999年に生まれた女性は、小学4年生だった2011年、福島県浪江町で東日本大震災に遭います。一時避難をしましたが、いまは福島に戻っています。「場所が違っても日本で起こったのは事実。毎年黙とうをして行きたい」と話しました。
東日本大震災からまもなく10年、いま住んでいる場所でもこういうイベントが開けないか、企画しているそうです。
そこには参加した1人1人にしかない、さまざまな思いがありました。
NPO法人前代表で俳優の堀内正美さんは、現地で「1階に寝ていて2階がつぶれ、生き埋めになった人が多い。2階があれば2階で寝た方がいい。まさに生き残るための知恵。生き残るための知恵を積み重ねて行きたい」と話し、行事を続け、語り合うことの意義を強調します。
その上で、「たった1秒先が予知できない。いつどこで何が起こってもおかしくない。そんななか、我々は生きている。みんなでどう補い合って行くのか、考えなくてはいけない」と語りました。前述の男性にもあった「生かされている」……この言葉の重みを改めて感じます。
思えば、東日本大震災もまもなく発生から10年となります。東北を中心に甚大な被害をもたらしましたが、首都圏でも計画停電が実施されるなど、生活に大きな影響を及ぼしました。首都圏も被災地という認識の下、ニッポン放送でも発生直後から62時間の生放送を断行しました。
一方で、阪神・淡路大震災は「メディアは何のためにあるのか」を学ぶ機会だったと改めて感じます。被災者の方々の気持ちに決して追いつくことはありませんが、防災報道というものはどうあるべきなのか、これからも悩みながら臨んで行きます。
今回はオンラインの開催となった行事ですが、祈りは場所を選ばない……ある意味、最も大切な「つながること」「語り継ぐこと」が別の形で広がったのではないかと思います。(了)
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