厳しい罰則で第3波抑え込みに成功した韓国~日本は“我が道”を行くべき
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2021年2月3日 11時35分
韓国の文在寅大統領(韓国・ソウル)
ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(2月3日放送)にジャーナリストの佐々木俊尚が出演。新型コロナ対策を強化する新型インフルエンザ対策特別措置法などの改正案が参議院本会議で審議入りしたニュースについて解説した。
新型コロナ対策特措法改正案が参議院で審議入り~刑事罰ではなく過料に
新型コロナ対策を強化する新型インフルエンザ対策特別措置法などの改正案が2月2日、参議院本会議で審議入りした。参議院内閣委員会の審議を経て、3日成立の見通しである。
飯田)新型コロナウイルスに対応する特別措置法と感染症法、検疫法の改正案ということで、事前に与野党協議していますよね。
佐々木)当初、時短要請に従わない店や、入院要請に従わない個人などに刑事罰を加えるという項目が追加されましたが、野党が猛反発しました。その結果、刑事罰はやめて過料という行政処分になりました。罰金のようにお金を払うのですが、それは前科にはなりません。日本の民主主義の判断としては、これでよかったのではないかと思います。罰則を与えるとみんな怖くて逃げてしまいます。日本で過去にハンセン病で強制隔離をした結果、家族が山のなかに患者を隠してこっそり食糧を運んだりしていました。それはよくないと感染症学会など、いろいろなところからも反対されていたのでよかったと思います。
飯田)そうですね。
通ったとたんに韓国の状況を持ち出し、逆のことを言うマスコミのあり方
佐々木)ただ、昨日(2日)まで「罰則はよくない、刑事罰はよくない」とメディアも野党も言っていたのに、いざ通って、韓国が強力な罰則規定をつくって、年末年始に増えていた感染者を抑え込んだという話が出ると、途端に「韓国はキッチリやっているのに日本は甘い」と言い出すメディアが現れて、いったいどうしたいのだと。一本筋の通ったポリシーはないのかと。何でもその場で「政府のやることに反論すればいい」という風潮があってよくないです。日本としては、刑事罰にせずに過料で済まして、みんなで協力してやって行きましょうということでいいのだと思います。「なかなか感染者数が少なくならない」と言いながらも、ここまで東京は実効再生産数0.8まで落ちて来ているので、効果は出ています。これでよかったのではないかと思います。
飯田)実効再生産数とは「1人の感染者が平均で何人に感染させるか」を表した指数です。それが1を割れば、減って行くだろうとされています。
佐々木)本当は0.6くらいまで落としたいということを、京都大学の西浦博先生もおっしゃっています。いま0.8で、数日前まで0.78くらいまで落ちていたのがまた0.01くらいずつ増えて来ているので心配ですが、それでも罰則なしで都市封鎖もせず、ここまで落としていることに日本人は誇りを持っていいと思います。韓国や中国を見習う必要もないと思います。我々は我々の方法でやるのだということを、全面的に打ち出してもいいのではないでしょうか。
飯田)法律的にも緊急事態宣言を出していますが、その権限というか、やれることはほとんどないと去年(2020年)の4月にわかっていることですよね。
佐々木)現実的には、「手を洗って3密を避ける」ということしかないので、これ以上やるとなるとそれこそ罰則しかありません。そこで踏み留まったということだと思います。
有事と平時の切り分け
飯田)他方、有事と平時の切り分けが何となく「ヌルッ」としてしまって、ないのではないかという指摘もありますが。
佐々木)日本は感染症に限らず戦争状態もそうなのですが、「どこまで有事を認めるか」ということを永遠と議論していて、まだ決着がついていない部分があります。今回はいい機会になったと思いますが、現状はメディアも巻き込んだ広範囲の議論になっていません。どこまで有事の体制をつくるのかという話に関しては。
飯田)突き詰めて考えれば、憲法の話にまでなるのかも知れませんし。
佐々木)基本的人権のコントロールという話になって来ます。非常に重要な話で、今後議論しなければいけないと思います。感染症のみならず、大規模な災害や戦争状態などが起こるかも知れないと考えると、いいテストケースになり得るはずなのですけれどね。
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