橋下徹「緊急事態宣言は100%効果があったわけじゃない」……『まん延防止等重点措置』の仕組みにも疑問符
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2021年2月21日 22時30分
元・大阪府知事で元・大阪市長の橋下徹氏が2月15日、ニッポン放送「辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!」に生出演。緊急事態宣言、まん延防止等重点措置などの運用の仕組みについて苦言を呈した。
まん延防止等重点措置で、本来の“筋”になった
西村経済再生担当大臣は2月14日のテレビ番組で新型コロナの感染拡大に対応するために新設されたまん延防止等重点措置について、緊急事態宣言を発出している10の都府県に宣言解除後に直ちに使うわけではない、との考えを示した。
辛坊)新法が13日に施行されて、まん延防止等重点措置というのができるようになって、緊急事態宣言に一足飛びじゃなくて、病気が流行り始めたらまずまん延防止等重点措置が適応されて、その次にもう少し悪化したら緊急事態宣言と。だから逆転させるための法律ではないので、初めから緩和した後こっちに移行するということでもなかったということなのですかね。
橋下)僕ちょっと西村さんが言っていることはよくわからないのですけれども。まさに今回の改正法が本来の筋であって、TBSの『グッとラック!』にご出演していただいたときにね、緊急事態宣言というものが、「全国」なのか「地域」なのかという議論をさせてもらって。辛坊さんは「地域ごとのものだよ」と、「区域指定があるからといってね」というのですが、ちょっと田村(厚労大臣)さんとも別の番組で議論させてもらって、やはり緊急事態宣言は「全国発令」なのですよ。「全国発令」で「区域」を設定しているのは、知事が具体的な措置をやる「区域」を設定しているだけで、あくまでもあれは「全国」に向けての緊急事態宣言。だから、ものすごくたいそうな(規模な)ので、なかなか緊急事態宣言出せなかったわけですよ。本当は緊急事態宣言にいくまえに消火活動をピンポイントでやらなくてはならなかったのに、それがなかったから、まん延防止等重点措置がやっとできて、本来の筋になったと僕は思います。
専門家会議判断をしているうちに感染がひろがってしまう仕組み
橋下)問題なのは……まん延防止等重点措置は、ある意味地域限定の緊急事態宣言みたいなことになるのですが、これを誰が判断するのかというと、政府が判断するというのですよ。いままでは都道府県単位だったものをこれからは市区町村単位で、知事が具体的な措置をやることになるのに、全国で1700ある市区町村の状況を毎回毎回政府の専門家会議で判断するっておかしくないですか。
辛坊)なぜそんなに政府は権限を放したくないのですか。
橋下)これを田村さんや加藤官房長官のほうにもいろいろと議論させてもらったら、結局支援がつくのです。この特措法で。休業要請や時短要請をやったら支援を講じるという条文が入ったでしょう。だから国のお金が発生するから、国が関与しないことにはだめだと。勝手に自治体に任せていたらどんどんお金が出ていくというのだけれども、そういう仕組みの方が感染抑止になると思うのです。お金はしっかり政府が出して、危ないと思ったときには知事が、もっと言えば市町村長たちがパッと時短要請できるというような仕組みにしておかなくてはならないのに、またこれですよ。尾身さんたちの分科会が、それぞれの市町村ごとの状況報告を聞いて審議する。
で、また野党が、まん延防止等重点措置を国会報告しろと言うのですよ。全国の国会議員が、自分とは全然関係ないところの市区町村の状況なんて関心があるわけないじゃないですか。こんなのはその当該の地方議会に報告をして透明性を図ればいいのに、国会議員たちは国の仕組みというか、マネジメントの仕方がわかっていないのかなと。現場に任せるということができないのですね、あの人たちは。
辛坊)新型コロナは、もともと新型インフルエンザ対策特別措置法コロナの一行を加えるだけなのに、その時一部のマスコミが、国に報告しろとか国会承認をとか。結局、今回もまた同じような議論をしていて。
何が目的なのかと。感染防止が目的なのに、本当に緊急事態でもっと恐ろしい病気がいままさにそこにある状況のなかで、そんなことを言っている場合じゃないだろうと。他の国ではなんとか火消しに成功しても、この国だけは議論をしている間にどんどん感染が広がるということが十分考えられるよねと。
国会議員のマネジメント力の低さ
橋下)だから僕はやはり、これは何でもかんでも地方に権限と責任を渡せばいいということでもないけれども、まん延防止等重点措置というのは本来は地域限定の、もっと言ったら市区町村限定、もっと言ったら、大阪でいったミナミとか、キタとか、ここをぱパッと火消しに入るのがまん延防止等重点措置なのに、これをやるのに一旦政府の方で議論をする。4日も経てば、感染状況が一気に変わるのですよ。不思議な国だなと思いますけどね。
辛坊)何が悪いのでしょうね。
橋下)やはり国会議員の意識、組織を動かすという。経営マネジメントするためにはどう国家を動かしていくのかという。
辛坊)橋下さんもしかし維新の代表だったことがあって、維新には厳然と国会議員がいるわけで、そのへんのガバナンスというか、国会議員統治は、例えば維新はどうなっているのですか。
橋下)僕のときには統治は全然だめだったと思うのですけれども、いまの松井さんや吉村さんになってきちっとできていると思うので。ただ維新の国会議員は言っても衆議院で10ちょっとしかいないですから、維新の主張はなかなか通らないですよね。
責任を取らなければならないので「効果がなかった」とは言えない緊急事態宣言
橋下)僕はまん延防止等重点措置がこれからの柱になると思うのだけれども、やはりいまいちばんやってもらいたいのは緊急事態宣言の効果検証。これをちゃんとしてもらいたい。2020年4月7日の緊急事態宣言の効果検証。どれだけ効果があったのか、みんな、あれが「効果がある」「効果がある」と言っているけれども、あそこまで社会経済活動を止めなければいけないのかね。
辛坊)それはね、「効果なかった」ということになると、みな責任を取らなければいけなくなるから、それはもう口が裂けても言えないし、議論もできないのよ。
橋下)逃げているじゃないですか。あそこまで科学的に、尾身さんはじめ専門家の皆さんが言っているのだったら……
辛坊)とにかく「緊急事態宣言のおかげで感染が縮小しました」と言っておいたら皆がハッピーだから。だからそれ以上のことは誰も考えない。
橋下)だから僕らが言っていきましょう。あれは100%効果があったわけじゃないですよ。だからもっと限定する社会経済活動の抑制でいいのですから。
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