森「会長」の後任に「副会長」が昇格しないわけ……大会組織委員会の特有の組織事情を辛坊治郎が解説
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2021年2月18日 12時10分

IOCのトーマス・バッハ会長との電話会談を受けて記者会見に臨む五輪組織委の森喜朗会長=24日、東京都中央区
キャスターの辛坊治郎氏が2月17日、自身がパーソナリティを務めるニッポン放送「辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!」に出演。東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長の辞任にともなう後任選出において、「副会長」が昇格しないという「公益財団法人」特有の仕組みを解説した。

IOCのトーマス・バッハ会長との電話会談を受けて記者会見に臨む五輪組織委の森喜朗会長=2020年3月24日、東京都中央区 写真提供:産経新聞社
辛坊)今回のニュースをお伝えするにあたってオリンピック組織員会ってどういうものになっているのだろうと、一部のネットメディアでは、「会長は森喜朗さんだった。だけど、副会長が6人いるんだから、会長がこけたら副会長のなかから誰か選ぶべきだろう」という。
増山)普通、それが順当ですよね。
辛坊)ところが、その副会長をみてみたら、わかりました。まず、山下(泰裕)さんは副会長なのですよね。
増山)ああ、はいはい。
辛坊)柔道の山下さん。今回名前が取り沙汰されていましたよね。だから山下さんは、副会長の中から名前が挙がっていないわけではないですが、ほかに副会長になっている人がパナソニックの社長だとか、東京都の副知事だとか、明らかに立場的に名誉職的に入っている人たちがいますから、その人たちを会長にあげるというものではありません。おそらく、組織委員会ってものすごくワンマンな組織で、実動部隊は、事務方が全部やっていろいろなことを決めるのだけれども、最終的に森喜朗さんの名前で各所調整して押し切るという組織なのでしょう。実際、副会長も活動しているか、何かの決定権があるかというと、組織上存在するだけで、それほど大きな決定権を握っていたとは思えないです。
同様に、理事という皆さんがパッと見ると20人か30人くらいいるのかな。いるのだけど、理事の皆さんも私今回初めて名簿をみて、「こんな人たちがオリンピック組織委員会の理事なんだ」と思ったのが、言いますよ。作詞家の秋元康さん。プロ野球ソフトバンク球団会長の王貞治さん。今回候補を選ぶ組織のなかに入っていますが、田中理恵さん。それから写真家・映画監督の蜷川実花さん。衆議院議員の馳浩さん。それから参議院議員の丸川珠代さん。日本スポーツ協会常務理事のヨーコ・ゼッターランドさん。みたいな名前がずらっと入っているので、このメンバーをみる限り、たぶん理事会というのも、この人たちが話し合って何か具体的なことを決めていくというよりは、「こういう理事の皆さんが組織委員会のメンバーですよ」ということのために存在するということです。

東京五輪 開幕まで半年 東京駅前のカウントダウンクロック 開会式までの日数が182日と表示=2021年1月22日午後、東京駅前 写真提供:産経新聞社
辛坊)これは実はどこの公益財団法人でもそうなのですが、基本的に事務方がいろいろなことを決めて、会長が差配し、最終決定権がある。評議会というのが別にあるのですが、どこの財団もそうなのですが、基本的に評議員会というのがあって、評議員会のメンバーで理事会のメンバーを決めるという建前になっていますが、多くの財団公益法人なんかは、会長トップが全体を率いて誰を理事にするかとか、誰を評議員にするかみたいなことも実はそこに権限が集中しているということが多いです。
なんで私がこんなことを申し上げるかというと、私はいままで大きな声で言っていなかったのですが、数年前までとある公益財団法人の評議員をやっていたことがあるんです。
増山)そうなのですか。
辛坊)はい。知らないでしょう、全然。
増山)知らない、知らない。
辛坊)私言っていなかったのですが、ちょっと事情があって「勘弁してくれ」ということで辞めたのですが、私評議員だったんです。だから、実はその公益財団法人の理事を決める立場なんです。我々評議員が理事を決めるんです。だからそういう意味では評議員の方が立場が上だったりするのですが、でも実際は全体を仕切っている人たちがいて、その人たちの意向に反対しないですよね、基本的には。今回のオリンピック組織委員会の評議員、理事会の人たちをみても、実働は事務方がいろいろなことを決めていて、最終的に森喜朗さんという人がお墨付きを与えるという全体の組織だったのだろうなということが、組織委員会の全部の名簿を改めて見返すといろいろと透けてみえる。
「次副会長の6人のなかから選べばいいじゃん」と簡単に言うけれど、この人たち基本的に名誉職でなっている人たちで、とてもじゃないけどすぐに副会長だったから次に会長ができるだろうという人たちではないと。唯一、副会長のなかで言うと、山下さんはJOCの会長ですから、そういう立場なのでこの人はできる可能性があるけれども、ほかの副会長はまあ基本無理だろうなというのが実際の感覚です。

東京五輪・パラリンピック開催に向け、笑顔でガッツポーズする(左から)萩生田光一文部科学相、組織委・森喜朗会長(元首相)、橋本聖子五輪担当相 =東京都中央区の東京2020組織委員会晴海トリトンスクエアオフィス 撮影日:2020年09月17日 写真提供:産経新聞社
辛坊)そんななか、ただ橋本聖子さんという名前が。これはいち早く、明らかにリークですから。橋本聖子という名前を出してどの程度世論の反発があるのか。本人が受ける素振りをみせるのか。この辺りで決まりますね。
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