2019年まで減少していた自殺者が2020年から増加 精神科医師が解説
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2021年3月21日 7時20分
電話で話す、いのちの電話の女性相談員=2月2日、東京都内
東京都医師会副会長で八王子の精神科「ひらかわクリニック」院長の平川博之氏が2020年12月22日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。昨今の、自殺者が増加している問題について解説した。
飯田浩司アナウンサー)昨今、自殺者が増えていることが問題になっており、警察庁が発表した2020年10月の調査でも、2000人を超える方が亡くなったというデータが出て来ています。先生から見ても、やはり増えていると感じられますか?
平川)はい、非常に残念なことです。年間の自殺者数は、平成10年以降、14年間で毎年3万人を超えていたのですが、自殺対策基本法の施行などによって徐々に減って行きまして、2019年はおよそ2万人ほどにまで減少しました。それが2020年6月ごろから、前年を超える数に増えて来ています。
飯田)今回の自殺者増加において、特徴的な部分はありますでしょうか?
平川)とても特徴的ですね。2020年10月の自殺者数を前年の同月と比較してみると、4割も増加していますし、なかでも女性がとても増えています。10月で言うと、女性の自殺者数は前年同月比で8割増、男性は2割増ですから、女性の増加が本当に顕著です。ここ何年もの間、自殺者の割合というのは、男性7割・女性3割という状態が続いていたのですが、女性がここまで増えるのは特異的なことで、私もあまり経験がありません。
飯田)女性のなかで、年齢別にするといかがでしょうか?
平川)今回目立つところで言うと、例えば8月なら、20歳未満の女性が前年の自殺者数の約4倍に増えています。10月を見ても、20代、30代、40代の女性の各年代で、2倍に増えています。これは本当に珍しく、これまでにあまりなかった増え方です。
飯田)そうなると、いままでの環境のなかでは説明できないので、やはりコロナが原因なのではないかと思ってしまうのですが、その辺りの要因についてはいかがでしょうか?
平川)全てがそうであると軽々しく口にはできないのですが、これまでにないパターンで増加していますので、そういった要因はやはり大きいと思います。
他にも、経済的な問題が大きいと思われます。報道でも見られるように、いま非正規職員は大幅に削られています。そもそも非正規職員は女性に多い傾向があります。また、影響を受けた職種も、飲食や観光、宿泊など、比較的女性が多い職場だったこともあり、仕事を失う女性が多かったことが大きいです。これは誰も想定していなかったことですし、突然職を失うということは、たいへん大きな負担になります。そういったことも、気持ちが落ち込んで行く要因になっていると思います。
飯田)自殺者の増加については非常に心配なところではありますが、行政もさまざまな窓口を設けて対応しています。
新行市佳アナウンサー)「こころの健康相談統一ダイヤル」は、0570-064-556です。その他、「いのちの電話」や「よりそいホットライン」など、さまざまな窓口があります。東京都では、「東京都自殺相談ダイヤル こころといのちのホットライン」0570-087478で、14時~翌朝5時30分までお悩みを受けつけています。また、LINEでも相談することができます。詳しい相談窓口については、厚生労働省のホームページにも記載されておりますので、ご確認ください。
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