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「ワークマンプラス」はどのようにして生まれたのか

ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2021年3月22日 8時10分

「ワークマンプラス」はどのようにして生まれたのか

黒木瞳がパーソナリティを務める番組「あさナビ」(ニッポン放送)に「株式会社ワークマン」専務取締役の土屋哲雄が出演。「ワークマン」から派生した「WORKMAN Plus(ワークマンプラス)」を設立することになった背景について語った。

土屋哲雄

黒木)毎日さまざまなジャンルのプロフェッショナルにお話を伺う「あさナビ」。今週のゲストは「株式会社ワークマン」専務取締役の土屋哲雄さんです。よろしくお願いします。

土屋)よろしくお願いします。

黒木)土屋さんは2018年に、アウトドアやスポーツなど一般向け商品の専門店「WORKMAN Plus(ワークマンプラス)」を、作業服の専門店だった「ワークマン」から派生させて設立、そして成功。高機能・低価格という4000億円のホワイトマーケットを切り開かれたという方なのですが、もともとは商社マンでいらして、そこでも素晴らしい実績を残して来られました。そして60歳あたりになって、株式会社ワークマンに入社されたということなのですが、叔父さまが会長でいらしたということですよね?

土屋)そうですね。呼ばれまして。

黒木)そのときはどのような気持ちだったのですか?

土屋)商社では新規事業しかやっていなくて、少しやっては撤退して、引き上げるということをやっていました。

黒木)5年で飽きてしまうとか。

土屋)そうなのです。中国ではじめてワープロをつくって、はじめて中国文字をデジタルで打ったのですが、これも飽きて、ファイルを配属部下に渡してしまいました。

黒木)そしてワークマンに行かれた。そのときのワークマンがどうだったかというのは、この度、ダイヤモンド社から出版された『ワークマン式「しない経営」』というご本に書かれています。ワークマンに入社して、はじめに何をされましたか?

土屋)創業者から「いい会社だから何もしなくていい」と言われました。それが『ワークマン式「しない経営」』という本の始まりなのですが、それまでサラリーマンでガツガツやって来ていたので、その言葉を聞いて嬉しくなりました。2年間、本当に何もしないで、現場のスーパーバイザーという加盟店を回る若い方たちと同行営業をして、放談ばかりして1日過ごしていました。

黒木)そのなかで見えて来たものがあるのですよね?

土屋)そうですね。2年もかかったのですが、重大なことに気づきました。それまで業績がとてもよかったのですが、「あと数年で終わる」ということがわかったのです。

黒木)数年で終わるというのは、「作業服の市場規模には限界がある」ということがわかったのですか?

土屋)そうですね。作業服の個人向けの店舗だけですので、1600億円ほどのマーケットなのですが、1000億円を獲ると、食べつくしのようになってそれ以上獲れないのです。

黒木)それをデータをとりながら、2年間かけて実際に動き出して、本当に変わって行くのですよね?

土屋)当時、作業服も個人で買う人が増えて来たのです。個人で買うようになると、皆さん、派手でスタイリッシュなものを選ぶようになって来た。そのスタイリッシュな服を「作業服」と呼ばないで、「アウトドアウェア」とか「機能性ウェア」とすれば市場が広がるような気がしたのです。

黒木)いままでは、作業服を必要な方だけが買いに来ていた。それを一般の方にも足を運んでいただけるような戦略を1つずつ考えて来られたということですか?

土屋)そうです。何となく進んで行きました。「客層拡大」という言葉がありますが、どうすればいいのか、まったくわかりませんでした。たとえばカッパだと、ゴワゴワの黒色や茶色のようなものしかなかったのですが、少し派手なものを入れたらどうかと。全体の3%だけ赤や緑をつくるようにしました。すると、それが先に売れてしまったのです。「なぜ作業服を着ない人を対象にしたものがこれほど売れるのか」と悩んだのですが、調べたら、バイクのライダーさんがたくさん買っていただいていたのです。

黒木)作業服を必要としない方々が買いに来るようになった。

土屋)それに気づくのに1~2年かかりました。現場に行って店長さんから「きょうはバイクばかりが並んでいる」とか、「園芸風の女性の方がいらしている」というような話がたくさんありました。

黒木)そのようなことがあって、2018年に「ワークマンプラス」を設立されたのですね。

土屋)はじめに、一般客向けの色の製品を増やしました。そして、いいものができて来ました。ところが製品はよくなっているはずなのに、売り上げが1年あたり3%~4%しか伸びない。そこで「売り方がよくないのではないか」と思ったのです。製品はいいけれど売り方が悪いのならば、いままでのワークマンと真逆の店をつくろうと。そして生まれたのが「ワークマンプラス」なのです。

土屋哲雄

土屋哲雄(つちや・てつお)/株式会社ワークマン専務取締役

■1952年、埼玉県深谷市生まれ。
■東京大学経済学部を卒業後、三井物産株式会社に入社。
■1988年、社内ベンチャー制度を利用して三井物産デジタル株式会社を起業。
■その後、三井物産経営企画室次長、エレクトロニクス製品開発部長、上海広電三井物貿有限公司董事兼総経理、三井情報開発株式会社の取締役執行役員などを歴任。
■2012年、株式会社ワークマンに入社。常務取締役として情報システム部・ロジスティクス部を担当。2017年から経営企画部も担当し、2018年出店の新業態「WORKMAN Plus」を仕掛けた。
■2019年からは専務取締役として開発本部と情報システム部・ロジスティクス部を担当。
■2020年10月に初の著書『ワークマン式「しない経営」 4000億円の空白市場を切り拓いた秘密』を出版。

<株式会社ワークマン>
■1982年8月設立。本社は群馬県伊勢崎市。日本全国800店舗以上。
■主に現場作業・工場作業など働く人に向けた作業服や関連商品を取り扱う専門店。
■ブルーワーカー向けの高機能で低価格な商品が数多く揃っていることもあり、仕事だけでなく、バイクの運転手やアウトドア愛好家の間でも人気。滑りにくい靴底の靴が、安全性に着目した妊婦さんに売れるなど話題となった。
■2018年にはカジュアル性を加えた「ワークマンプラス」を開店。2020年には作業着ではない女性向けの商品を扱う「#ワークマン女子」を開店。圧倒的な知名度と機能性でアパレル業界を席巻している。

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